カズオ・イシグロの「わたしを離さないで~Never Let Me Go」を読み終えた。
最初読みはじめたときに、ちょっとサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を思い出した。
子供の想像した夢物語をリアルに進めていくカズオ・イシグロの緻密な表現力はすごいと思った。
そしてこれは単なるミステリーでもSFでもないのだなとも思う。この小説に出てくる登場人物はある種のメタファーなのだ。
以前書いたことだが、「夜と霧」のフランクルがいうように「我々が人生を問うのではなく、人生に問われている」のだ。
奇妙な設定かもしれないが、彼ら登場人物は最終的には自分の人生を引き受けた人たちなのだと思う。