44. 色々な出会い
六十年も生きていると色々な出会いがある。
会社勤めしていた頃、ある上司はよく部下をほめ、励ましてくれた。ビジネスが不調な時にも部下に愚痴らないでいつも笑顔を絶やさなかった。最悪のときには力になりいつでも部下の欠点をカバーしようと努力していた。十数人の上司に仕えたが、少なくとも三人はこんな人たちであった。
勇気とはやさしさであり 愛は勇気が必要であることを 私は彼らから教わった気がする。自分にとってこんな上司に三人も出会ったのは奇跡に近い幸運であったと思っている。人生に行き詰ったり迷ったりした時には、色々と相談に行き 夕方よく一緒に飲んだのは この三人のうちの誰かであった。
その一方で ある上司はいつも好き嫌いだけが尺度でなぜか人を愛せないように見えた。部下がうまくいかない時には非難し、けなし、罵倒していた。彼は他人に対して理想が高く足りないところを指摘する知恵にたけていた。
会社に対しても不平が多く、自らの未熟さには常に言い訳ばかりしていた。なにかいやなことがあると感情を露にし 怒りそして大声でわめいていた。
ビジネスが順調なとき、後者の上司とゴルフやギャンブルでよく一緒に遊んだ。
人物としてみた場合 誰が見ても前者の三人のほうが良いと言うに決まっている。しかし彼らと付き合い 彼らを真似していくには大変な努力を必要とした。理由が定かではないが、私は後者の元上司がどうしても憎めなかった。
今でも 気になってたまに電話するのは 後者の元上司である。 七十歳に近いのに 今もなお元気に頑張っておられる。 お会いするたびあの時のように独断と偏見を披瀝される彼を見ていると どこかホッとしている自分がいた。
「良いか・悪いか」と「好きか・嫌いか」は違うものである。
だって人間だもの。
今日もお立ち寄りいただき有難うございました。
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◆ブログ「丼季報亭の四方山話」(2002年9月投稿開始)は こちら
◆4Travel「Donkyさんの旅のブログ」(2013年6月投稿開始)は こちら
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素直に自分の感情を表現する事が、人間としの至らなさも露呈して、逆に親しみと安堵を感じるのかもしれません。
あまりに人格者だとすきがなく、かえって心が緊張してしまいますね。
前者のお三方には今もって色々心配していただいています。 有難いことです。私の行動がハラハラしてみていられないのかも知れませんね。
一方 やはりお世話になった後者の元上司はやんちゃで腕白なまま大人になったような人でした。平気で弱点をさらけ出せるのが彼の強みだったのかも知れませんね?
「丼」