丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

509. 新説「猫の災難」で脚本家デビューか?

2018-06-19 18:39:31 | 閑話
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先月落語会でたい平師が古典「猫の災難」を演じました。
ふと思いついたのが「猫の災難といえば十二支にはなぜ猫が入っていないのだろう?」という素朴な疑問。
「猫好きの人には納得しかねる話で不満かもしれない、ほんとにどうして猫が入っていないのだろう?」

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そうだ、こういうことは いつものとおり、横丁のご隠居さんか大家さんに聞いてみよう。
物知りだからその経緯・いきさつを教えてもらえるかもしれない。

「コンチワ! ご隠居さん、お元気ですか?」
「おやおや 八っあん 今日はよく来たね。嬉しいね あたしも暇を持て余していたところだ。」

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「いえね、ひと月近く前に ちょっと出かけた落語会で林家たい平師匠が古典の「猫の災難」をやったんですけどね。「猫の災難」といえば、十二支には子・丑・寅・卯・辰・巳・午・羊・申・酉・戌・亥とあってこの世にいない辰(竜)が入っているのに どうして人間にけっこう親しい猫は入れなかったんでしょうね? 」
「なるほど、八っあん いいところに気づいたね。 その疑問はもっともだ。」
「そうでしょ、ご隠居さんは不思議に思ったことはありませんか?」

「ここに、いつ頃生まれた話か不明ではあるが、十二支の動物に関しての逸話がある。」
「それそれ、その逸話とやらを教えてくださいな。」
「そもそもお釈迦様は 新年の挨拶に来た順番に十二支の動物を割り当てたのだというなあ。」
「なるほどねえ。歴史がある話なのですね。」

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「まず牛は足が遅いので早めに行ったものの、一番乗りしたのは牛の背中に乗っていた鼠であった。」
「ほう 鼠の奴は昔から素走ッこかったんだ。」 
「ゆえに鼠が十二支の動物の最初に位置づけられることにあいなった。 二番目に牛が入って、子・丑となった。」
「早めに出た牛をネズミが利用したんですね。そいじゃ次は?」

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「兎を追いかけていた虎は勢い余って兎を追い抜いてしまったが、お釈迦様の前で殺生はできないから、あきらめて三番目に入った。抜かれた兎は命からがら四番目に入って寅・卯となった。」

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「なんだか説得力が出てきましたね。そいじゃ辰と巳は?」
「一緒に来た蛇と竜は 蛇が竜に敬意を表して、どうぞお先にと竜に順番を譲ったから、辰巳の順となった。」

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「馬と羊は?」
「これは スピードの差だなあ。 両者は長いこと走るスピードを競っていたが、その日も馬のほうが速かった。
牧羊犬が羊を追っているのは、ほんとは羊の走るスピードを上げるためかもしれない。 馬は羊のスピードアップが図れず、のちにアメリカでカウボーイの足となって牛を追うことになった。 そんなこんなで午・未の順ができた。」


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「そうだったんですか、そいじゃ猿とか鶏それと犬はどうなってます?」
「あれは 鶏じゃなくて ほんとは雉だったんだ。もともと犬猿の仲といって 両者は喧嘩ばかりしていた、その犬と猿の間に昔のよしみで雉が仲裁に入った。」


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「犬と猿に雉? どこかで聞いた話のような気がするんですけれど・・・黍(きび)団子が出てくるんじゃないでしょうね?」
「その雉が猿と犬の間に入って、それぞれの先祖が協業した『鬼が島を思い出しなさい、みんなで協力して鬼退治したじゃありませんか?』と、最近仲の悪い両者を仲裁した。」
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「なるほどねえ、そいじゃ『犬猿の仲』の仲裁役が雉だったんですね?」


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「そうだよ、雉は鳥の総称で いつの間にか干支の酉は鶏になっていった。 そんなわけで申・酉・戌」


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「そいじゃあ猪は、猪突猛進で走るスピードは速いのにどうして最後になったんですか?」

「猪は悶着中の三匹に追いつくには追い付いたんだけれど、見物していたイタチやカエル、キリンと一緒にとりあえずその騒ぎの結果を見ることにした。

気の良い猪は雉の仲裁が実にうまくて、感心し雉の話に納得していたんだが、お釈迦さまへの挨拶を思い出して三匹の後から猪突猛進でラストスパート すれすれでゴールイン。 
悶着を一緒に見物していたイタチを抜きはしたものの12番目になってしまった。
そんなわけで申・酉・戌・亥の順が決まった。」


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「へえ、そうだったんですか?なんだか古典の『やかん』みたいな話ですね。他の奴らは来なかったんですか?」
「イノシシの後から13番目にイタチが来て間一髪落選だ。 これは諸説あって13番目の動物はイタチではなく カエルやシカであったという逸話もある。」

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「イタチにカエルやシカですか? なんだかここで何か変な落ちを考えていませんか?」

「13番目であったために十二支に入れなかったイタチをかわいそうに思ったお釈迦様は、毎月の最初の日を「ついたち」と呼ぶことにした。」

「そうだったんですか? ところで 何故猫は挨拶に来なかったんですか?」

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「そこなんだけれどもね、鼠は猫に挨拶に行く日を尋ねられた際に嘘をつき、実際よりも一日遅い日を教えたんだ。このため、猫は十二支に入ることができなかった。」

「そうなるとちょっとばかし猫の奴は可哀そうで、これがほんとの猫の災難ですね。」
「そうなんだなあ それから猫はそれを根に持っって鼠を追いかけるようになったってわけさ。」

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「なるほどねえ。それで猫が入っていなかったんですか?」


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「ついでながら猫に関しては、鼠の嘘を信じて一日遅れて挨拶に行ったため、お釈迦様から『今まで寝ていたのか。顔を洗って出直して来い。』と言われ、それからよく顔を洗うようになった。」

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「ほんまかいな?まるで売れない落語家のはなしのネタみたいですが・・・。」


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 なんだかどこかで聞いたような落ちになりましたが、もちろん実
際の「ついたち」の語源はこの逸話のとおりではありません。



「ついたち」といえば普通は「一日」と書くがこれ以外に「ついたち」を「朔日」と書くことがある。何故かといえば、旧暦(太陰太陽暦)での 暦月の最初の日(一日)は、新月の日と決まっている。そして新月のことを「朔」と呼ぶため、すなわち「月」が朔となる日が、暦月の一日だから、「朔日」というわけ。
月の始まりは「月立ち(つきたち)」が転じて「ついたち」と言うため、朔日は「ついたち」と訓読みし、「朔」だけでも「ついたち」と読む。 出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

先月落語会でたい平師が演じた古典「猫の災難」を思いだし、新説「猫の災難」を思い付き自分流にさらりと書きあげてしまいました。
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NHK朝の連ドラ人気番組「半分、青い」で豊川悦治演じる「秋風羽織」の 影響を受けちゃったのかも。

おあとがよろしいようで・・・。
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以上 猫が鼠を追いかけるようになった経緯を除き 残りは まったくの筆者の作り話で 何の根拠もありません。新説「猫の災難」で脚本家デビューか?いえいえそんな話じゃありません。 念のため。

今日もお付き合いいただきありがとうございました。

 


注)記事中干支のイラストはフリーイラスト集より、そのほかの写真は筆者所有のアルバムより抜粋し掲載しています。


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