山手線に乗っていたときのことです。車内のテレビに御徒町の紹介ビデオが流れていました。御徒町といえばアメ横ですが、次はどこなのか何気なく見ていると大正時代の下町の街並を再現した「下町風俗資料館」と 最後に湯島天神が紹介されていました。
1階には いまだ古き良き江戸の風情をとどめる東京・下町の街並みを再現しています。
通りに面した大店(おおだな)は、花緒の製造卸問屋です。「出桁(だしげた)造」といわれる当時の商家の典型的な建物には作業場と帳場があります。
狭い路地に囲まれた裏店(うらだな)の長屋では、薄壁一枚に仕切られた隣同士、井戸も共同で使いました。
ここの住人は「駄菓子屋」を営む母娘と「銅壷(どうこ)屋」の職人一家。中は小さな一間ですが、さまざまな調度品や生活道具があります。これらはすべて実際に使われていたものです。
商家・長屋には 上がってご覧いただけます。ちゃぶ台や長火鉢の前に座り、ゆったりと時を刻む柱時計の音に耳をかたむければ、四季折々の下町の風情と暮らしを体感できます。
路地の奥のお稲荷さんの前で 柱時計のチクタクいう音を聞いて いると どこからともなく小唄のお師匠さんの三味の音が聞えて きて時代をずっと遡った気分になります。
2階では各コーナーに分けて台東区を中心とした下町地域にゆかりの資料、生活道具や玩具、さらに季節やそれに応じた年中行事に関連するものなど、さまざまな資料が展示されています。
人びとの生活は、時代とともに大きく変化してきました。街並みにしても生活道具にしても、その変化とともに忘れ去られたもの、消え去ったもの、姿形を変えたものなどさまざまです。
展示された資料は、それほど遠くない昔の下町とそこに暮らす人びとのようすを、そのまま今に伝えるものです。なお二階では大衆浴場の番台がそのままセットされています。もちろん番台に上がって座ってみることも出来ます。 興味のある方は一度お出かけください。
ところで最近は映画もアナログからデジタルへと変化しています。 27日付日経新聞文化欄の記事によると、アナログ情報である映画のフイルムと デジタル情報と化しつつある映像データの保存コストには10倍以上の差が出るとのこと。
さすがデジタルはコストセーブにつながるものと思ったらさにあらず。デジタル化されたフイルム情報はその維持に10倍以上のコストが発生しており、100年単位で考えると、この先その格差は広がる一方と予測されています。まさにデジタル・ジレンマです。
ITの世界で生きてきた人たちにはすぐにピンと来る話です。 関連機器やソフトの進化が早すぎて、OSやソフトやディスクが変る度に 保存してあるデータが消失していないかチェックする必要が生じたとのこと。それにディスク製造コストの低減にともない品質も低下してることを見逃せません。
米国の関係機関の調査ではディスクは3ヶ月以内でデータ消失の危険性2%。5年以内で10%がその危険性を持ち、バックアップをとるにしても膨大なコスト増に繋がりそう。映画フイルム一本のデータ量はテラ*の世界ですから数百万本あるいはそれ以上の映画データ全ての変換はもはや無理です。
*(記憶されるデータの単位 メガ:100万 ギガ:10億 テラ:1兆)
2011年、テレビの映像は全てデジタル化し その記録もアナログ情報ではなくなりますが、この保存コストを勘案して スタートするものとも思えません。 新たに生じる落とし穴 保守とマイグレーションコストの増加まで 地デジ化を決定した当局の関係者はわかっていましたかな。
いよいよ残り3日で今年も大晦日、ついに年の瀬大詰めですね。
お時間のある時に またちょっとだけ覗いていただければ嬉しいです。
デジタル化されたフイルム情報の維持にアナログフイルムの10倍以上のコストとは以外でした。
「映画データ全ての変換はもはや無理」とは困りましたね。次世代へ残すにはどうしたらいいのだろう。
「新たに生じる落とし穴」、正にその通りです。
本当にデジタル化は正しい選択なのでしょうか。
丁寧に保存さえしておけばアナログフイルムは100年以上持つそうですが無限ではありません。
デジタルは マイグレーション時に稼動検証保守さえしておけば 永遠ですが OSがアップグレードするたびに 全ての作品のチェックは不可能ですね。
ほんとに どうするんでしょうね?
「丼」