65. 少し硬い話ですが
江戸時代幕府教学の大家に佐藤一斎なる人物がいた。 国学者である佐藤一斎は郷国美濃岩村藩の要請で「重職心得箇条」を作った。 美濃岩村藩の憲法とも言える重職の心得である。
「心得」は「小さな過失にこだわり、人を容認して用いることが無いならば、使える人はだれ1人としていないようになる」「えり好みをせずに、愛憎などの私心を捨てて、用いるべきである」などと指摘。最後に「平生嫌いな人を良く用いる事こそが腕前である。この工夫がありたいものである」と締めくくっている。
「部下を引き立てて、気持ち良く積極的に仕事に取り組めるようにして働かせるのが重要な職務である」と「上に立つものの心得」を諭した内容である。 今も昔もリーダーに求められる資質と条件は変わらない。 長短ある人間を有効活用し上に立つものは信頼を得ていかねばならない。
かつて小泉内閣時代 外務大臣であった田中真紀子さんに 小泉首相が直接手渡したのがこの「重職心得箇条」であったそうな。 「親の心子知らず」と小泉さんは思っていたのかもしれないが….。
これは下で使われる側にも言えるのではないか。 チームで仕事をする場合など、メンバーの好き嫌いなど言っていられないのである。 むしの好かない上司や同僚に対しては、自ら一歩引いて 相手を引き立てること。 気持ち良く積極的に仕事に取り組めるよう 相手の補佐に徹してさえいれば いずれ心が通じるものである。
人の上に立ち ことをなしたい人はなおさらである。
以上は 人間関係に悩む新入社員と マイペースの部下に手こずる新任管理職に ご参考までにお届けしたい言葉。
何かのときにちょっとだけでも思い出していただければ 少しは嬉しいかなあ。
蛇足ながら真紀子さんの暴走に手を焼いた小泉首相が、直接手渡したという「重職心得箇条」の件は 一部メディアがしっかり報道した事実である。 創作でも想像でもないので念のため。
ほかにもブログを公開しています。
◆「丼季報亭の四方山話」(2002年9月投稿開始)は
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◆4Travel.「Donkyさんの旅のブログ」」(2013年6月投稿開始)は
URL:http://4travel.jp/traveler/donky2013/
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時代は変化しても、心得の真髄は普遍なのだと言う
ことを学びました。
「黒子に徹する」という意味を得心致しました。
素晴らしい教えを実践されておられました。
見識の高さに改めて敬服致します。
誠にありがとうございました。
佐藤一斎は’言志四録’を書いたが、特に’重職心得箇条’は有名で、現代でも簡単明瞭な抄本が出ている。
大組織のリーダーが成すべき事と心構えが書かれている。企業研修コースにはなりえないので、部長(2nd-ライン)以上には必読の書といえよう