生き物は生きるのが大好き

朝、駅のキオスクで、スポーツ新聞の作為ある見出しに足がすくんだ。
よくよく覗き込むと、それはやはり、悲しい事件で。
だけど、その見出しから想像される内容と事実は、違っていた。
見出しを見た瞬間に、感じたのは、恐怖だった。
心臓が締め付けられる様に、ドキドキと苦しくなった。
スポーツ選手と、自殺の文字。
普通に好き。だけどそれほどの思い入れは持っていないはずの選手の名。
あの、力強さにあふれる天才が、そんな事をしたら、私は、怖くて耐えられそうになかった。
なんでだろう。
落ち着いてから思う事は、当事者は違ったけれど、痛ましい事件はあったのだよなと。
今年に入ってから、私の廻りでも、この言葉がよく出てくる。
自殺。
今日、絶対にそんな事は考えないだろう作家さんに聞いた。
「日々どう?」
「何、あるさん、いきなりそんな、難しい事」
「そうだよね。だけどあんまりに、辛いという人が多くて」
「私は物心ついた時から辛いから、辛いというのは基本だもん。私暗いもん」
「そうだよね。一緒だ。いやあなたは、暗い基本の中で明るいから」
「その通りだけどね」
作品を作り続けていて、貧乏だから血を売りたいと、からっという彼女の底に流れているのは、暗さを抱えたままの、おとぼけだ。
暗さと辛さと、そこにおとぼけを抱えたまま、生きて行ければいいのに。
タイトルはおっさん7、Gさんの歌詞。
大好きな一節で、普段はこの歌詞を思うとき、笑いたくなる。
アホなぐらいシンプルで、「そうなのかー?!」と突っ込みたくなる。
だけど今日は、この一節を思い出して、少し泣いた。
「自殺は、いつも近くにあるよ。だけど、やっぱりそれは、だめだと思う。
・・・みんな、馬鹿になればいいのに」
彼女が言った。