新潟久紀ブログ版retrospective

新潟暮らし推進課20「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その2)」編

●新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その2)

 制作を決めた「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック」は、世に出して流通させるモノであり、それに耐える冊子製品としての仕様と装丁、仕上りが求められるので、印刷業者をプロポーザルを経て選定して制作を進めることとした。冊子の構成案や編集や印刷のノウハウや実績もさることながら、今回はありがちな移住促進ガイドブックと異なり、ターゲットとなる若い女性達自身が企画立案から関わるということこそがキモであると決めていたので、その意図を汲み取った企画会議の設営などの考え方が業者選定の優劣に影響した。
 若い女性の興味を引いて手にしてもらえて、新潟暮らしに関心を持ってもらえるような、オシャレな見かけと実のあるコンテンツとはどうすれば作れるのだろうか。そもそも、移住促進のターゲットとしては明白ではあるものの「若い女性向け」というコンセプトを前面に出した取組みというのがジェンダー平等の時勢に共感を得られるのであろうか。私のような年寄りの男には判断のしようもない。編集から冊子製版までを請け負ってくれた業者は、役人である我々には縁遠いインフルエンサーと呼ばれる若い女性をコアメンバーとして企画会議を設営してくれた。
 なるほど企画会議の会場も県庁の会議室とか野暮ったいところではない。彼女たちが仕事を終えた夕刻から集まるのは、県央地域のそれこそ洒落たカフェであり、居心地の良い空間で軽食を摂りながらのアイデア出しは、イメージを広め無限の引出しを開け続けていくかのようだ。男社会での会議にありがちな、既存事例を踏まえた無難な仕上りの出口を念頭にした予定調和的なそれと異なり、まさに何も恐れず無からの創造を模索する過程のようだ。私のようなオーソドックスな爺には「そんなんでまとまるのか」と気をもませるが、彼女達は奔放のように見えていても、まとめるべき時は強かに収斂させていく。請け負いの責任をきっちり果たすプロなのであった。
 果たしてどんな仕上がりになったのか。現物が出来上がっていて一目瞭然なので、ここで一々説明する必要もなく、ネットでご覧頂きたい(こちらをクリック)。ページ数も多くなく非常にコンパクトで何気なく読み飛ばして行けるような冊子ではあるが、これが新潟で撮れる画像なのかという写真や、説明くさくない割に心情や状況により伝わる意味が変わってくるような文章。いつも手帳など持ち歩くバックに併せて入れておいてもらって、思い出したように眺め直して頂きたいという想いに適うものになっているのではないだろうか。
 限られた予算と日程の中で、忙しい中を繰り合わせて企画編集に積極的に協力してくれた女性の皆様には大いに感謝だ。取組み始めの頃は、とりとめのないような発意の数々が聴かれる中で、上手くまとめ上げることができるのかなどと杞憂した私は、その意識そのものが古典的な男性意識だったのではないかと反省する。女性に選ばれない風土というのは、男性の誰しもがそうとは意識していない中で漂わせてしまっているものなのかもしれない。この企画を考えた時は、ジェンダー平等が叫ばれている折、また、ある意味でベタな「女性向け」というコンセプトそのものが、もしかしたら当事者達そのものに否定されるのではと考えていたが、この取組みに参画してくれた女性達は、その切り口が広めて行く男性中心的な封建的意識への働き掛けも見据えて、敢えて関わろうという"しなやかさ"を見せてくれたのかもしれない。

(「新潟暮らし推進課20「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その2)」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課21「知事不在の中で人口減少対策ワーキングチーム開催」編」に続きます。)
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