新潟久紀ブログ版retrospective

新潟暮らし推進課19「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その1)」編

●新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その1)

 進学や就職を契機とする新潟育ちの若者の東京圏への転出増の深刻化が新潟県の人口社会減の大きな要因であり、その全体数には及ばないものの、新卒就職や暫く勤めてからのUターンなどの"戻り"も少なからずある。それを性別で見てみると、転出の比率は女性がやや高く、戻りの比率は女性が少ない。つまり、新潟の若い女性は東京圏へ向かいやすく一旦出て行くと戻りにくいのだ。
 機械的に言いたくはないが、若い女性が新潟で生まれ育っても出ていってしまい、他の地域からも女性が新潟に入ってこないとなれば、子供を産み育てる人も少なくなるという構造だ。若者の人口社会減は、少子化という人口自然減に直結している。
 地方の人口減少と東京圏への一極集中の加速化の深刻さが際立ってきた平成年代の後半のこの頃、国も地方創生を掲げて国全体としての人口増と東京圏一極集中の是正に力を入れ始め、色々な場面で人口減少対策の議論が目立ち始めていた。そうした中で有識者の論述をまとめた書籍を読んだりしていると、女性に選ばれない地方は衰退するという趣旨の指摘が目立ち始めていた。封建的な男性を中心とするイエ(家)の制度の下で今だ虐げられた生活環境に置かれる女性達。彼女達を母親や親族に持つ現代の若い女性達は、幼いころからパーソナルで高度な情報社会の中で培われた自由で開放的な価値観の下で、不自由を嫌い良くも悪くもしがらみが少ない大都会へと脱出して行き戻りたがらないのは至極明白な道理である。大抵はそんな文脈であり、現代に生きる中年男性としては耳の痛い思いもある指摘なのだ。
 そんなわけで、女性の目線で新潟暮らしを誘うアプローチの強化が必要ではないかということになった。移住相談会は既に相談者に応じた目線で、しかも女性相談者を配置して対応していたし、ホームページとかネット情報は閲覧者が自身の志向で検索していけば良いものだ。ただ、その発信の内容の中で女性の視点で考えられたコンテンツといえば特段なものは無いように思えた。そう、女性が目に留めやすくてとっつきやすい特枠的なコンテンツが必要なのかもしれない。ジェンダー平等と言われる時代に敢えて「女性向け」というのには批判もあるのではないかという不安も感じたが、その内容そのものの企画から当事者である若い女性達に参画してもらいながら考えていけば良いだろう。「今の時代に女性向けというのはバツ」とされるのならば、それはそれで良い。そうした議論の過程から何かヒントを見い出せば良いのだ。
 女性向けコンテンツを考えるに当たり、どんな媒体を"依り代"とするか。ホームページ向けのデジタル情報の制作も良いのであるが、何か「形作った感」が残らない。そんな時に、東京在住の新潟出身の若者を集めて同窓会よろしくUターン意識の高揚を狙って開催した「潟コンin六本木」において、新潟の魅力を伝えるガイドブックが陳列されている前で新潟出身の若い女性と立ち話をした時に、「役所の作るガイドブックやパンフレットっていかにもという感じと大きさで持ち歩きたくないのよね。カフェでお茶したり一息つくときに、スマホではなく、ふと開いてみることのできる小冊子が欲しいわね。ハンドバックに入るサイズで他の人から見られてもいいおしゃれな装丁のもの。」
 「それだ」と思った。潟コンなにおいては彼女以外からも移住促進のための媒体の"ダサさ"について女性陣から幾つかご指摘を頂いていたところであった。パソコンやスマホの画面で見る先鋭的なデザインや情報ではなく、敢えてほっと気持ち安らぐアナログな媒体が意外にも刺さるのかもしれない。「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック」の制作を決めた。もちろん我が課の職員を始めとする若い女性達にこの企画の趣旨や考え方の肯定的な反応も確認した上での判断だ。

(「新潟暮らし推進課19「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その1)」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課20「新潟暮らしを誘う女性向けガイドブック(その2)」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「回顧録」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事