新潟久紀ブログ版retrospective

地域農政推進課16「懐かしの職場から2年で異動」編

●懐かしの職場から2年で異動

 このころの人事はとにかく「停滞ムード」だった。そこかしこでの雑談の中で度々言われていたので、決して私だけがそう思うのではないようだった。
 県庁全体的に定数削減のための兼務化などが増え続け、課長補佐クラス前後のポストがどんどん減る中で、役所というのはもともとが三角形のピラミッド型組織で、昇進していく枠が次第に狭まっていくのところ、更に厳しくなっていった。優秀と言われる人でも課長補佐の職制のまま職場の横スライドを重ねる一方、女性登用促進への要請が強まる中で、厳しい業務経験などをさして重ねていない人が一足飛びに課長職に抜擢されたりするものだから、特に苦労を重ねた男性職員達が本当に報われない状況が顕著になってきていた。彼らは口には出さないが意欲を下げていたのは明らかで、県という大きな組織を俯瞰して見た時にこれは深刻な問題だなと個人的に考えていた。
 そんなわけで、私も課長級なのに係長兼務をさせられて、実質的に「降格」「左遷」させられたと内外から思われており、知人からは随分と慰めの言葉も頂いたりしたものだ。
 単に既往のポストを男性から女性へすげ替えるような登用促進には個人的に思うところがあったが、所詮は宮仕えであり、特に人事で文句を言える立場には無いと心得ていた。ただ、自分を活かしてくれないなら、組織としてその程度の評価であれば、それなりの奉仕で、と割り切れば良いと考えており、私生活の充実に重点を置けば良いと思っていたのだ。
 女性登用の影で、昇任などは期待できず、暫くの数年間は今と同格のポストを横滑りしていくのだろうなと覚悟しており、係長兼務の「降格辞令」が出てまだ1年であることを考えると、少なくとも来年は異動はないだろうなと確信していた。
 ところが人事というのはいつも良くも悪くも想像を裏切るものだ。思いもよらずに異動内示を受けることになった。
 「平成26年4月からは土木部監理課の参事となり課長補佐事務を取り扱う」ことになるというお達しだ。念のために確認すると次の職務では「係長兼務」は無いそうだ。降格のままの横滑りでは無く「復権」したことは少し慰めになる。また、課長補佐という立場は続くが、土木部という県庁屈指の大所帯の実務を統括する主管課の課長補佐となる。少しは位置づけが上がるかのようで、先行の光明も感じられるかのようだ。
 ただ、土木部といえば、河川、道路、砂防などを整備する公共事業や都市計画などなど、ただっ広い新潟県の郷土保全の要となる部署であろうが、これまでの四半世紀の県職員生活の中で全く未経験の世界。懐かしい職場に戻ってきて感慨深い中で仕事をしたかと思えば、次は全く未知の分野とは。想定外の内示のタイミングと内容に、改めて役所の人事の不思議を思うのだった。

(「地域農政推進課16「懐かしの職場から2年で異動」編」終わり。県職員9か所目の職場となる土木部監理課の回顧録「土木部監理課1「初の土木部勤務は草創の想いに重なる(その1)」編」へと続きます。)
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