新潟久紀ブログ版retrospective

地域農政推進課15「他県調査に行くべし(その6)」編

●他県調査に行くべし(その6)

 青山商店での体験を終えると、アポの関係でこの日は夕方まで時間が少し空いたので、映画の舞台にもなった"一畑電車"に試乗してみる。ついさっき自分が作った「あご野焼き」をお土産にもらっていたので、ちくわのような形のそれを食べていると車窓に宍道湖が見えてきた。のどかなローカル線のレトロな車両に揺られて夕日の照り返す穏やかな湖面を眺めていると、これほどの景観と雰囲気は誘客のための大いなる魅力になっていると、誰から言われるまでもなく実感できる。この線路の先に彼の出雲大社もあるのだから強力過ぎる地域資源だ。新潟の越後線などももっと誘客に展開できないだろうかと難しさを承知でもつい考えてしまう。
 自分で仕組んだとはいえハードな出張日程はまだ続く。松江駅から"特急やくも"に飛び乗り岡山駅で新幹線に乗り換えて向かうは広島駅。夜の帳が降りた頃合いで路面電車の広島電鉄に乗り継いで広島市内中心部のホテルに着く。夕食は独りでカウンター居酒屋に入って、やはりここに来たらとばかり牡蠣料理を頂く。新潟でよく食べる大きな岩牡蠣とは全然別物の感があり、小ぶりでも濃厚な味わいが印象深い。板前が細かく施す手仕事が旨味を増しているようだ。タイトな出張日程で疲れ気味のところだったが元気が蘇り日本酒が進む。
 今回の出張最終日は広島県庁にて農林水産総務課の経営戦略グループ担当との面談だ。広島といえば船舶や自動車の製造など大規模製造工場のイメージであり、急な山間地を背景にした狭い平地で農業の振興など強化出来るのかと考えていたが、標高差を生かして長期間生産できるキャベツなどの野菜や、瀬戸内の温暖な気候を生かしたレモンの生産が全国1位であるなど、言われてみればなるほどの農産物自慢を結構聞かせてもらえた。特に柑橘系は加工の展開も幅広く全国を視野に更に戦略を強化したいとの鼻息を感じさせる。
 広島に限らず平地に恵まれない県の職員と談話すると、如何に狭い郷土から最大限の利益を生み出すかということについての真剣さが、新潟の農地利用の感覚とは比べ物にならないほど強いといつも感じて刺激を受ける。新潟にとっての広島など、一見するとあまり関係のなさそうな地域間であっても、現地に赴いて現場を見たり体感することは普段見落としがちな視点とか真新しい切り口の気付きにつながるものだ。
 この時の強行軍とも言える3泊4日のハードな出張は、ここまで書き記してきた概況以外にも県職員としてのその後の業務に活かしていける知見を随分と吸収できたものとなったのだ。

(「地域農政推進課15「他県調査に行くべし(その6)」編」終わり。「地域農政推進課16「懐かしの職場から2年で異動」編」に続きます。)
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