新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課10「イキイキまちづくり事業審査会」編

●イキイキまちづくり事業審査会

 外部有識者委員会において、市の仕事ぶりについて質疑責めにあって四苦八苦したり、市の施設運営の評価に際して委託先との仲立ちをしたりと、冷や汗しきりの仕事も多い企画財政課長だが、時には有識者の立場で物事の審査にあたる場合もある。
 「イキイキまちづくり事業審査会」の審査委員の一員となるのがそれで、この事業は民間の団体や数人のグループから地域活性化のアイデアの提案を受けて審査し、一定以上の評点を得られたものに市費で助成をするというものだ。地域おこし等に精通したNPO法人や観光振興団体、福祉団体などからの代表や幹部クラスの方々と共に、公費投入としての費用対効果などの観点でもの申すのが市の企画財政課長たる私の役どころと心得て審査に臨むことになる。
 夏前の休日の一日をかけて、公的施設の講堂にて審査員5人が居並ぶ前の舞台で、申請者が順次プレゼンテーションを行い、都度審査員が質疑した上で採点していく形式だ。活動規模が小さく構成員が比較的少ないグループにおいては代表者が資料やスライドも無しに朴訥(ぼくとつ)と語るものもあれば、地域住民に健康増進の取組を広げようというご婦人中心の有志団体においては、舞台狭しと並んでその演舞を披露してくれるなど、バラエティーに富み審査する側を飽きさせない。パフォーマンスを楽しんだり感心してばかりもいられないので、「税金による助成の適否の判断の場である」と気持ちを締めて、私も他の審査員と同様に都度いくつかの質問を投げかけさせて頂いた。
 助成は一年度きりという制限はないので、毎年のように申請してくる団体もいる。私は県からの出向で赴任したばかりだし、申請者が提案を展開しようとする地域の実情には疎いので、どうしても一般的に見た経済性とか合理性とかが物差しになる。継続して就任している審査員からは従前の活動の単純継続ではないかなどと鋭い指摘も入る。地域活性化の効果の伸びが無くなっても助成が常態化してしまうことは問題であり、こうした論点では日常的に地域に目配せしている地元の審査員が頼りになる。
 プレゼンが終わると個室で審査員達が各々の採点の集計結果を確認し、助成の適否や程度について協議する。自分たちなりに地域のことを思い、意を決して審査会に挑んできた提案者に対しては敬意を感じるが、やはり公費助成の適正性のみならず先々も見据えた支援の効果なども勘案すると、非情ではあるが結果として助成不可という結論に至る案件もあった。
 それでも審査結果の発表に続く、県内大手の地域振興系NPO法人の代表でもある審査委員長からの講評は非情に意が用いられたものであった。落選した団体に対して、その提案内容の良くなかった点を指摘するというよりも、より効果的なものとするための改善の方向性について言及し、「是非ともまたこのリングに戻ってきて欲しい」と激励するのだ。
 提案者の立場を考えると、とりわけ若者においては、審査員や会の見学者など大勢の前でのプレゼンは、正に"清水の舞台から飛び降りる"思いであっただろう。落選であっても、それは、より良い発意や企画につながる過程でしかないと受け止めて頂き、地域の振興を思い続けてもらえるような意識になってもらうような場づくりこそ、審査員としての最大のミッションなのかも知れないと思われた。

(「燕市企画財政課10「イキイキまちづくり事業審査会」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課11「総合計画審議会(その1)」編」に続きます。)
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