妄想ドラマ『スパイラル』 (23)
川崎は小田中を無視して、再びソファに腰を下ろした。
「私たち長いのよ。この人が美菜を可愛がっているのは将来性のあるタレントだから
じゃないことくらいとっくに気が付いていた」
「バカなこと言うな」
小田中が声を荒げたが、川崎は一瞥しただけで美菜の方を向いた。
「美菜、心配しないで。この人が高野さんを陥れようとしたら、私が黙っちゃいないから」
「川崎さん・・・」
「私を脅すとはね。どういうつもりだ」
「あなたとは別れます。それから会社も辞める。高野さんに何かしたら、
マスコミにあなたとの7年を赤裸々に語ることになるかも。原稿料バッチリいただいてね」
「君が育てた美菜が、恩を忘れていきなり辞めると言っているのに、どうしてそこまでしてやるんだ?」
川崎はフゥーっと大きく息を吐くと美菜を見た。
「罪滅ぼし・・・かな。ごめんなさい美菜。あなたの食べたクッキーにそば粉を使ったクッキーを
混ぜておいたのは私なの」
川崎の告白に渉も美菜も、そして小田中までもが呆然としていた。
やがて美菜はゆっくりと首を振った。
「どうして・・・信じられない」
涙が溢れだしてあとは言葉にならない美菜の手を、渉はしっかりと握った。
美菜のショックが痛いほどわかった。
同時に川崎への怒りが一気にこみあげてくる。
「美菜はあなたのことを誰よりも信頼していたのになぜ」
「この人を困らせてやりたかった。バカな女の嫉妬よ。週刊誌に二人の交際をリークしたのも私。
本当にごめんなさい。許してもらえるとは思ってないけど、出来るかぎりの償いはさせて」
「好きにしろ。あとはすべて君に任せる」
小田中は拳でテーブルを1回叩くと、それだけ言って出て行った。
渉は美菜にかける言葉が見つからずに、ただその肩を抱き寄せた。
------------つづく----------
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川崎は小田中を無視して、再びソファに腰を下ろした。
「私たち長いのよ。この人が美菜を可愛がっているのは将来性のあるタレントだから
じゃないことくらいとっくに気が付いていた」
「バカなこと言うな」
小田中が声を荒げたが、川崎は一瞥しただけで美菜の方を向いた。
「美菜、心配しないで。この人が高野さんを陥れようとしたら、私が黙っちゃいないから」
「川崎さん・・・」
「私を脅すとはね。どういうつもりだ」
「あなたとは別れます。それから会社も辞める。高野さんに何かしたら、
マスコミにあなたとの7年を赤裸々に語ることになるかも。原稿料バッチリいただいてね」
「君が育てた美菜が、恩を忘れていきなり辞めると言っているのに、どうしてそこまでしてやるんだ?」
川崎はフゥーっと大きく息を吐くと美菜を見た。
「罪滅ぼし・・・かな。ごめんなさい美菜。あなたの食べたクッキーにそば粉を使ったクッキーを
混ぜておいたのは私なの」
川崎の告白に渉も美菜も、そして小田中までもが呆然としていた。
やがて美菜はゆっくりと首を振った。
「どうして・・・信じられない」
涙が溢れだしてあとは言葉にならない美菜の手を、渉はしっかりと握った。
美菜のショックが痛いほどわかった。
同時に川崎への怒りが一気にこみあげてくる。
「美菜はあなたのことを誰よりも信頼していたのになぜ」
「この人を困らせてやりたかった。バカな女の嫉妬よ。週刊誌に二人の交際をリークしたのも私。
本当にごめんなさい。許してもらえるとは思ってないけど、出来るかぎりの償いはさせて」
「好きにしろ。あとはすべて君に任せる」
小田中は拳でテーブルを1回叩くと、それだけ言って出て行った。
渉は美菜にかける言葉が見つからずに、ただその肩を抱き寄せた。
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