皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

誰のための皇位継承論議か

2024-09-24 21:40:09 | 皇室の話(3)
令和6年9月23日20:01、サンデー毎日×エコノミストより配信の「女系天皇議論に反対した寬仁親王の危険な政治活動 成城大教授・森暢平」と題する記事がある。

そんなこともあったなと、何とも懐かしい感じがする。

このブログでも、当時の寬仁親王殿下の言動の問題について述べたことがあるが、今回の森暢平氏のまとめ方は、正確であることはもちろんのこと、簡潔にして要点をよくおさえていると思う。

筆者としては、寬仁親王殿下の立場に同情する気持ちもあり、また、福祉活動への取組は実に心のこもった立派なものであったと感じている。

ただ、政治的活動については、非常に問題ありであった。

いわば本家の長である天皇陛下、皇太子殿下が発言を差し控えられている問題につき、分家の者が好き勝手に意見表明し、政治的活動まで行うというのは、本家の顔に泥を塗る行為ということになるのではないか。

それでも、寛仁親王殿下の言動に接することで、筆者なりに理解できたことはある。

それは、皇族男子にとって、男系男子という原則は、自らのアイデンティティの重要な要素になっているらしい、ということである。

皇族男子であっても、分家であれば皇位継承順位は下位となるが、それでも本家に男子が誕生しなければ、一発逆転、皇位継承の機会が巡ってくる可能性はある。
そういう可能性があるということで、自分自身の価値を認識することができるわけであるが、男系男子の原則が崩され、女系・女性拡大になってしまうと、そういう可能性はかなり低減し、0に近くなってしまう。
それはすなわち、自らのアイデンティティの拠り所の危機となるのだ。

他人の心の中を勝手に想像するのは良くないことかもしれないが、以下の記事における寛仁親王殿下の告白を読んでみるといい。

平成19年10月22日20:08、JCASTニュースより配信の「寛仁殿下「非行少年だった」 米紙に衝撃告白のすごい中身

寬仁親王殿下はアルコール依存症を患っておられ、その原因として皇室の環境ということも示されておられるが、具体的には以下の記載がある。

-----引用開始-----
寛仁さまは1982年、社会福祉活動に専念したいとして「皇籍離脱発言」を行い、世間を驚かせた。この背景については語らなかったが、皇室については、このように述べたという。

「皇室は、要するに何なのかと聞かれれば、良く良く考えた上での結論というのは、私たちの(存在する)意味というのは、私たちが単に存在していることにある、ということです」

「存在することの意味は存在すること」と、半ば哲学的な見解をお示しになった形だが、皇室の役割についても、独特の見解を披露なさった。

寛仁さまによると、皇族は、単に

「朝起きて、朝食を食べて、昼食を食べて、夕食を食べて、眠りに就く。これを1年365日繰り返す」

ことで役割を果たすことができる、というのだ。
-----引用終了-----
*太字が寛仁親王殿下の告白の箇所

これは明らかに、アイデンティティが虚ろな状態であるということを示しているであろう。

そのことを隠さずに告白したという点は、ユニークであり、ある意味立派であるとも感じられるところであるが、このような状態にある方にとって、皇統の原理としての男系男子ということが如何に重要な拠り所となっていたかについては、想像に難くないであろう。

同じような心理というものが、おそらく、旧宮家の子孫の一部の方にもあるのかもしれない。

すなわち、
男系男子という原則が最重要ということであれば、もしかすれば、今は一般国民の身分だけれども、制度改正が行われ、一発逆転、皇族になる可能性があるかもしれない。
そんな可能性のある自分は、特別な存在だ。
もし、男系男子という原則が崩れ、女系・女性拡大が実現してしまえば、旧宮家の子孫の出番の可能性はほぼ0になる。
それは絶対に認めたくない。

こういう心理になるとしても、不思議はない。

ただ、「可能性」というところがポイントで、いざ実現となれば、大変なプレッシャー、プライバシー侵害にさらされることとなるが、その覚悟までお持ちなのかは分からない。

本当にそういう覚悟があるのであれば、自分を厳しく律し、天皇陛下をお守りする活動を積極的に展開し、自ずと多くの人々の人望が集まりそうなものであるが、どうなのであろうか。
筆者の認識不足なのであろうか。

「可能性」のままが一番心地いいということかもしれないが、そろそろそうも言っていられなくなる状態になるかもしれない。

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