西京極 紫の館

サッカー観戦、映画や音楽鑑賞、読書などなど、
日々のなんやらかんやらを書いてみようかな、と♪

陽炎の旗 続・武王の門 北方謙三/著 中央公論新社

2024年08月04日 19時11分01秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
いまや並ぶ者なき力を手にした三代将軍・義満。しかし、海からやってきたある男の出現で、風雲急を告げる。男は、九州に大きな旗を打ち立てた征西将軍・懐良親王の血を継ぐ水師。さらに世を忍び剣で生きる足利直冬の一子が絡んだことから、三つ巴の宿命が時代の大きなうねりを呼び……。『武王の門』次世代による南北朝統一をめぐる壮大なドラマ。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
九州統一を果たさんとする懐良親王と菊池武光の奮闘を描いた『武王の門』は傑作だった。その続編と銘打った本作だが、主人公である来海頼冬がイマイチ魅力に乏しい。世を拗ね、ストイックに剣の道を究めんとするキャラだというのは解るけど、もう少し主人公としての熱い魂の滾りを描いて欲しかった。大野武峰とのラストバトルもどこか醒めてるし、盛り上がりに欠ける。結局は南北朝統一に帰着する訳ですが、本作の物語自体はどこまでも歴史の枝葉でありフィクションだしな~。

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じんかん  今村翔吾/著  講談社

2024年06月08日 15時48分48秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
主家を乗っ取り、将軍を暗殺し、東大寺大仏殿を焼き払う。悪名高き武将・松永久秀は、織田信長に二度目の謀叛を起こしていた。だが信長は、「降伏すれば赦す」と言う。驚愕する小姓・狩野又九郎を相手に信長は、世人は知らぬ久秀の壮絶な半生を語り始める  。魂を震わす歴史巨編!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
石田三成を名将として描いた『八本目の槍』の今村翔吾が、今回新解釈として扱ったのは、稀代の悪人とされた松永久秀。その久秀(本編中では主に九兵衛と称す)が実は、欲得の為に人を殺め世を乱す“武士”という存在をこの世から滅ぼさんとする清廉篤実な改革者として描いている。史実に残る久秀のイメージからはかなり飛躍した解釈なので、ちょっと盛り過ぎかなとも感じるが、これはあくまで小説、フィクションであるから、面白ければ良いのです。その意味では十分に面白い。惜しむらくはちょっと展開を端折り過ぎだし、急ぎ過ぎ。もっと多くの頁数を費やしてでも、各エピソードを丁寧に書くべきだと思った。

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小説 葬送のフリーレン ~前奏~ 八目 迷/著 小学館

2024年05月05日 16時51分02秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
これは、フリーレンが“人を知るため”の度に出るその少し前の物語。フリーレン、フェルン、シュタルク、ラヴィーネとカンネ、断頭台のアウラ、それぞれを主人公としたエピソード5編からなる大人気コミック『葬送のフリーレン』の世界を描いた短編小説集。

【総合評価】 ☆☆★★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆★★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
文句のつけようもない出来だった原作コミックやアニメの勢いにあやかって小学館が企画したであろうこのノベライズ。正直言って5つのエピソードのいずれもがお話として起伏が乏しく意外性もない。フリーレンのファンが読みたいのはこんな裏設定があったのか~という新たな発見だと思うのだけれど、その点ではやや期待外れ。辛うじて5つ目ラストのエピソード『葬送』が残されるフリーレンの哀切を感じられて良い読後感はありました。でも原作コミックとアニメの方が圧倒的に良いな。

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変な家2~11の間取り図~  雨穴/著  飛鳥新社

2024年04月24日 22時41分07秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
あなたは、この「11の間取り」の謎が解けますか?前作に続き、フリーライターの筆者と設計士・栗原のコンビが不可解な間取りの謎に挑む。「行先のない廊下」「闇をはぐくむ家」「林の中の水車小屋」「ネズミ捕りの家」「そこにあった事故物件」「再生の館」「おじさんの家」「部屋をつなぐ糸電話」「殺人現場へ向かう足音」「逃げられないアパート」「一度だけ現れた部屋」すべての謎が一つにつながったとき、きっとあなたは戦慄する!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
映画化も果たした前作に続く第2弾。前作に比べると構成が凝っていて、著者の作家としての成長を感じ取れる。前作にも増して豊富な図解と丁寧(過ぎる嫌いもある)な説明と平易な文章でとても読み易い。ヒトコワ系のイヤな気分を満喫出来る一作。この手のお話が好きな方にはおススメです。

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アウトサイダー(上・下) スティーヴン・キング/著 文藝春秋

2024年04月16日 22時01分25秒 | 西京極の本棚
     
【紹介文】
平穏な町で起きた、11歳の少年の惨殺事件。ラルフたち地元警察は、複数の目撃証言を得て、高校の教師で少年野球のコーチとしても慕われるテリーを逮捕した。しかし、彼には完璧なアリバイがあることが判明する。自身の潔白を主張するテリー。一方で、異常犯罪への憎悪を募らせる遺族と住民たち。そして、町を新たな悲劇が襲う。(白石 朗:訳)

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
調査員ホリー・ギブニーが活躍するファインダーズ・キーパーズ探偵社シリーズ第4弾にしてキングお得意のスーパーナチュラル要素満載のミステリー。予備知識なく読み始めたのだが、上巻の途中で容疑者が〇〇してしまうなんて…予想出来る訳がない。じゃあこの先一体どうなるんだ?って思ってたらもう下巻は邪悪な異形の者と対決するキング十八番のモダンホラーに。犯罪ミステリーの謎解きとしてはズルい気もするけど、やっぱりキングは面白い。

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