西京極 紫の館

サッカー観戦、映画や音楽鑑賞、読書などなど、
日々のなんやらかんやらを書いてみようかな、と♪

A Ω -アルファ・オメガ- 超空想科学怪奇譚 小林泰三/著 角川書店

2024年02月03日 09時10分41秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
旅客機の墜落事故が発生。凄惨な事故に生存者は皆無だったが、諸星隼人は1本の腕から再生し蘇った。奇妙な復活劇の後、異様な事件が隼人の周りで起き始める。謎の新興宗教「アルファ・オメガ」の台頭、破壊の限りを尽くす大怪獣の出現。そして巨大な「超人」への変身  宇宙生命体“ガ”によって生まれ変わり人類を救う戦いに身を投じた隼人が直面したのは、血肉にまみれた地獄だった。科学的見地から描き抜かれたSFホラー超大作。

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
明らかに元ネタは『ウルトラマン』の第1話「ウルトラ作戦第1号」。ウルトラマン誕生秘話をグッチャグチャドロッドロのスプラッターなホラー演出で再現しているところが面白い。中盤は怪獣(っていうより『遊星からの物体X』)との戦い、終盤は『デビルマン』のアルマゲドン。58歳で早世した著者と僕は同年代だからそりゃ好みも一致するわなwちょっとオチが弱い気もするけど、特撮モノと怪奇って相性が良いんだよね、ウン。

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掲載禁止 撮影現場  長江俊和/著  新潮社

2024年01月02日 10時20分04秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
不気味な廃墟で言い合いをする二人の男の衝撃的結末「例の支店」、自分が犯人だと自首してきた男と、問い詰める側の間で進行する奇妙な議論「哲学的ゾンビの殺人」、カリスマ映画監督の作品に出演した役者が見た、とんでもない光景「撮影現場」、仕掛けが冴える著者の真骨頂特別書下ろし「カガヤワタルの恋人」。その他「ルレの風に吹かれて」「この閉塞感漂う世界で起きた」「イップスの殺し屋」「リヨンとリヲン」など、怖いのに読むのが止められない全八編。心臓の弱い方は、ご注意ください。

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
8本のエピソードを収録した短編集。どのエピソードも巧みなミスリードと意外な結末が用意されていて、読み終わる度にニヤリとさせられる。では各エピソード毎の一言レビューをば。
例の支店:霊能力者とジャーナリストが訪れた森の廃墟。霊が出現する心霊スポット内で二人は霊の存在の有無について口論を始める。タイトルの意味を読めばオチが…
ルレの風に吹かれて:海外赴任先で行方不明になった友人を捜しにやって来た男は、その国の素朴な生活に魅せられる。男は妻を娶り子供にも恵まれるが…。読み終わった後もう一度最初から読み返したくなる一作。
哲学的ゾンビの殺人:殺人事件の犯人が自首してきた。警察の取り調べで男は「哲学的ゾンビだったから殺した」と主張する。哲学的ゾンビってなんやねん!ってなりましたが、オチはある程度読めました。
この閉塞感漂う世界で起きた:失業し住む家も失った男は、ある豪邸へ忍び込むが、住人が戻って来て…。二度三度とミスリードされて迎える結末がなかなか面白い。
イップスの殺し屋:ある殺し屋は依頼された殺人を果たせなかったが、翌日目的の男は遺体となって発見される。誰が殺したのか?殺し屋の正体は誰か?ちょっと笑えるところは星新一っぽくもある一作。
撮影現場:カリスマ監督の映画撮影に参加するために無人島に集められた役者とスタッフ。監督の指示は役者たちを精神的に追いつめていく。他の7作に比べるとちょっと設定に無理はある気がしますが…。
リヨンとリヲン:青年が連れて来られたその村には双子ばかりが棲み暮らしていた。そしてその村で自分と瓜二つの男と引き合わされるが…。設定が面白い。
カガヤワタルの恋人:芹沢は学生時代の友人・加賀谷からある相談を持ち掛けられるが、それは交際中の女性についてだった。二転三転する展開は予想出来なかった。これも読み返すと「なるほど!」と思わせられる。

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小説版 ゴジラ-1.0  山崎貴/著  集英社

2023年12月21日 21時57分51秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
戦争から生還するも両親を失った敷島浩一は、荒れ果てた東京で単身強く生きる大石典子に出会う。焦土と化した日本を復興しようと人々は立ち上がるが、その前に突如として未知の巨大怪獣が現れて…!! 残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。ゴジラ70周年記念作品となる映画『ゴジラ-1.0』を山崎貴監督が自らの手によって最速小説化!!カラーピンナップも収録。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆★★★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
まんま映画のシーン構成を文章化したものなので、まずは映画『ゴジラ-1.0』を先に劇場で観てから読む事をお奨めします。その方が脳内でシーンをイメージしながら読めて読み易いはず。反面、映画以上の情報は得られませんので、そこは期待しないように!映画を観た人ならこのノベライズを読んでも泣けますw

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関東大震災  吉村昭/著  文藝春秋

2023年12月18日 21時12分01秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく  。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
  実用性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
映画『福田村事件』を観て興味を持った一冊。日本近代史で最大最悪の災害として語られる関東大震災についてその甚大かつ深刻な被害の状況を克明に描写。そこから派生した虚報流言によって起こった在留韓国人の虐殺事件、さらには当時問題視されていた社会主義者へのパージの数々。それがやがて軍国主義の萌芽となり、第二次大戦へ繋がってゆく。災害の悲惨さと共に、溢れるフェイクニュースに踊らされる現代人にも通じる人の心の弱さと怖さを思い知らされます。

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近畿地方のある場所について  背筋/著  KADOKAWA

2023年11月18日 09時24分56秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
はじめまして、背筋と申します。この本に収録されている様々な形式の文章は、オカルト雑誌に掲載する特集のために、ライターの私と、編集者で友人でもある小沢くんの手によって収集されたものです。それらは、近畿地方の「ある場所」に関連した文章です。私たちは、「ある場所」に潜む怪異の存在に気づきました。そして調べを進める中で小沢くんが消息を絶ってしまいました。私は彼を捜しています。どうか皆さんこの本をお読みいただき、情報をお持ちの方はご連絡ください。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
雑誌取材の形を採ったモキュメンタリ―ホラー本。小説と言うよりはエッセイか?いずれにせよちょっと毛色が違ってて新しい。オチが曖昧なのもオカルトとしてのリアリティがあって良い。近畿在住の人間としては舞台となる場所(文中では●●●●●と伏せられている)がどの辺りなのかがめっちゃ気になる!う~ん、きっと〇〇府と〇〇県の県境にある〇〇山辺りじゃないかな?近寄らんとこw

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