西京極 紫の館

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翼を得た女性たちが見た地獄

2024年09月27日 19時17分03秒 | 日々の雑感
NHK朝ドラ『虎に翼』最終週。
弁護士、判事、裁判所長を歴任した初の女性・満淵嘉子をモデルとした
主人公・猪爪寅子を伊藤紗莉が演じたドラマ。

このドラマには絶対的な善人も悪人も登場しない。
優しさや正義に基づいて生きている人でもどこかに弱さや狡さを隠し持っている。
100%の悪もない代わりに、100%の正義も存在しない。
それは法律に携わる者であっても例外ではない。
法は絶対ではない、その解釈には色々な答えが存在する。正解はない。


米津玄師の歌う主題歌『さよーならまたいつか!』のMVも何度も観た。
歌詞の持つ意味についても色々考えさせられた。
ドラマタイトルである『虎に翼』って
実は虎のように強かな心を持つ女性に法律という翼(武器)を与えるという意味だと思うが、
旧態然とした男性社会で女性が自由に“飛ぶ”事は当時はもちろん現代でも簡単ではない。
“地獄”に耐える覚悟も必要だと言っている。
ドラマのテーマも綺麗事だけではないところが素晴らしい。
それが脚本家・吉田恵里香さんの女性ならではの実感なのだろう。

ドラマの中では女性差別はもちろんのこと、
少年法や尊属殺人そしてDV、さらにはLGBTQに被爆者補償など
放送で扱うのはタブーとされてきた事案が数多く扱われていた。
現代でも未だ解決出来ていない難しい問題に挑戦、
視聴者に問いかけたドラマの価値は大きい。

あなたにとって法律とは何ですか?

その答えを敢えて出さないままドラマは終わる。
答えは永遠に出せないかもしれない。
でも考え続けよう。
思考停止してはいけない。