コロナ禍の影響で前作『麒麟がくる』の放送が延長されたあおりを受けて2月から放送が始まった今年のNHK大河ドラマ青天を衝けが最終回を迎えた。
主人公の渋沢栄一は明治維新以降の日本の経済界を創り上げた主要人物の一人ではあるが、戦国時代の織田信長や幕末の坂本龍馬みたいな英雄的エピソードを持ってはいない。なので大河ドラマとしては地味な内容になるだろうと言う事は、当初から予想出来ていた。案の定、序盤の展開は武州深谷の片田舎で養蚕と藍玉で商いをする栄一(演:吉沢亮)の奮闘記から始まるのだけれど、幕末の中心からは当然めっちゃ距離があって盛り上がらなかった。のちに栄一が仕える事になる徳川慶喜の実家・水戸徳川家のエピソードも並行して描かれてはいるが、いかにも無理やり。やはり時代の脇役や架空の人物をドラマの主役に据えるのは難しい。
それがようやく盛り上がってくるのは、ドラマも終盤にさしかかった明治になってからの岩崎弥太郎(演:中村芝翫)とのビジネス戦争の辺りから。弥太郎との海運業の値引き合戦は現代日本のデフレ状況を彷彿とさせて面白かった。実際、渋沢栄一が歴史の表舞台に出てきたのもこの辺りからだから盛り上がるのも当然だろうが、それならそれで割り切って青年期は完全に端折ってしまって、この明治期からドラマを始めてもよかったのにな、と思った。
そんな初めちょろちょろ中ぱっぱなドラマの前半部がどうにかこうにか持たせられたのは偏に徳川慶喜役を演じた草彅剛クンのおかげだろう。
ええとこのボンで、尚且つ頭がイイ慶喜にピッタリなキャスティングだった。
そして本作の脚本を担当した大森美香が、彼女が過去脚本を担当した朝ドラ『あさが来た』にも出てきた五代友厚を同じディーン・フジオカが演じていたのも面白かった。
まるで『あさが来た』で描き足りなかった部分を補完したようなエピソードには、五代サマファンが随喜の涙を流したに違いありませんw
最終盤では栄一はアメリカへ渡り、排日運動に沸くサンフランシスコで「理解出来ないから憎むべきではない」と述べ、「我々は敵ではない!友である!」と宣べ、さらに「NO WAR!」と叫んだ。それは現代の移民排斥への反論であり、分断社会への警鐘である。栄一の想いが現代の為政者らにも届けば良いのだが…
まぁ何にせよ、東京五輪を盛り上げようとしてコロナ禍で当てが外れた前々作『いだてん』に比べれば、2024年から替わる新一万円札の顔である渋沢栄一を国民に認知させておきたかった政府の意向はある程度は反映出来たかな?
けど、さすがに吉沢亮が91歳の渋沢翁を演じるのはムリがあったな(笑)
来年の大河は三谷幸喜脚本で小栗旬が北条義時を演じる『鎌倉殿の13人』。三谷脚本なのでツイストの利いたコメディ色の強い笑える大河になりそう。楽しみ、楽しみ。
主人公の渋沢栄一は明治維新以降の日本の経済界を創り上げた主要人物の一人ではあるが、戦国時代の織田信長や幕末の坂本龍馬みたいな英雄的エピソードを持ってはいない。なので大河ドラマとしては地味な内容になるだろうと言う事は、当初から予想出来ていた。案の定、序盤の展開は武州深谷の片田舎で養蚕と藍玉で商いをする栄一(演:吉沢亮)の奮闘記から始まるのだけれど、幕末の中心からは当然めっちゃ距離があって盛り上がらなかった。のちに栄一が仕える事になる徳川慶喜の実家・水戸徳川家のエピソードも並行して描かれてはいるが、いかにも無理やり。やはり時代の脇役や架空の人物をドラマの主役に据えるのは難しい。
それがようやく盛り上がってくるのは、ドラマも終盤にさしかかった明治になってからの岩崎弥太郎(演:中村芝翫)とのビジネス戦争の辺りから。弥太郎との海運業の値引き合戦は現代日本のデフレ状況を彷彿とさせて面白かった。実際、渋沢栄一が歴史の表舞台に出てきたのもこの辺りからだから盛り上がるのも当然だろうが、それならそれで割り切って青年期は完全に端折ってしまって、この明治期からドラマを始めてもよかったのにな、と思った。
そんな初めちょろちょろ中ぱっぱなドラマの前半部がどうにかこうにか持たせられたのは偏に徳川慶喜役を演じた草彅剛クンのおかげだろう。
ええとこのボンで、尚且つ頭がイイ慶喜にピッタリなキャスティングだった。
そして本作の脚本を担当した大森美香が、彼女が過去脚本を担当した朝ドラ『あさが来た』にも出てきた五代友厚を同じディーン・フジオカが演じていたのも面白かった。
まるで『あさが来た』で描き足りなかった部分を補完したようなエピソードには、五代サマファンが随喜の涙を流したに違いありませんw
最終盤では栄一はアメリカへ渡り、排日運動に沸くサンフランシスコで「理解出来ないから憎むべきではない」と述べ、「我々は敵ではない!友である!」と宣べ、さらに「NO WAR!」と叫んだ。それは現代の移民排斥への反論であり、分断社会への警鐘である。栄一の想いが現代の為政者らにも届けば良いのだが…
まぁ何にせよ、東京五輪を盛り上げようとしてコロナ禍で当てが外れた前々作『いだてん』に比べれば、2024年から替わる新一万円札の顔である渋沢栄一を国民に認知させておきたかった政府の意向はある程度は反映出来たかな?
けど、さすがに吉沢亮が91歳の渋沢翁を演じるのはムリがあったな(笑)
来年の大河は三谷幸喜脚本で小栗旬が北条義時を演じる『鎌倉殿の13人』。三谷脚本なのでツイストの利いたコメディ色の強い笑える大河になりそう。楽しみ、楽しみ。
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