加齢性黄斑変性症とは網膜にある黄斑部(網膜中心部分半径3,000μmの範囲、視力が関わる最も重要な部分)が加齢にともない色々な異常をきたし、視力障害をもたらす病気です。
加齢性黄斑変性症には2種類のパターンがあります。
①萎縮型
徐々に視細胞が痛んで死んでいき、長期にわたって視力低下します。
治療はしません。
②滲出型
水がにじみ出てきて、黄斑に障害が生じるタイプです。
新生血管が網膜下の脈絡膜から出て来ます。
この新生血管は非常に脆く出血を繰り返し、視力障害に繋がります。
加齢性黄斑変性症(滲出型)の治療方法は?
①PDT 光線力学的療法→新生血管が中心窩に及んでいる場合
光に反応する薬剤(ビスタイン)を体内に注射した後に、病変部に弱いレーザーを照射する治療法です。
新生血管のみ閉塞出来るので網膜に損傷を与える従来のレーザー光凝固術と比べ、網膜へのダメージが少ない治療法です。
②レーザー光凝固術→新生血管が中心窩に及んでいる場合
レーザー光線で焼きつぶすレーザー光凝固術を施します。
これにより新生血管が無くなると病気の進行は止まり、その時点の視機能を保つことができます。
出血や滲出物が吸収されることで、視力が回復する人もいます。
しかし治療にはマイナス面もあります、血管を焼きつぶすほど強いレーザー光を当てるわけですから、新生血管とともに周囲の正常な網膜も破壊されてしまいます。
そのため凝固部は絶対暗点になり、見えない部分が出来てしまいます。
③ルセンティス 抗血管新生薬療法
視力改善効果が認められた加齢黄斑変性症治療薬です。
体の中には、脈絡膜新生血管の成長を活発化させるVEGFという物質があります。
抗血管新生薬療法(ルセンティス)は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。
④アバスチン 抗血管新生薬療法
本来は抗ガン剤として使用されている薬です。
VEGFの働きを抑制し異常な血管の増殖や成長を抑える薬です。
眼内の新生血管が原因となっている加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障などの発症、増悪にはVEGFが大きく関与していると言われています。
この薬はVEGFの作用を抑え、新生血管の増殖、成長を低下させます。
その結果、これらの疾患に対する治療効果が期待できます。
また、VEGFは血管の透過性を亢進させ、網膜の浮腫を起こす働きもあり、アバスチンは糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症による網膜浮腫に対する治療効果も期待されます。
⑤オキュバイト+ルテイン(サプリメント)
オキュバイトは、元来目の中にあるルテインという紫外線から目を守る物質を補うサプリメントです。
ルテインもメラトニン同様、加齢とともに体内から枯渇してきてしまいます。
その他に、抗酸化作用のあるビタミンEなどが含まれています。
加齢性黄斑変性症の症状により、適応される治療方法は変わります。
まずは紫外線や短波長(可視光線)から目を守る事が重要です。
アイプロテクションレンズや遮光レンズは紫外線や短波長から目を守ります。
眼鏡は視力矯正器具だけでは無く、ビジョンケアも兼ね備えているのです。