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それまで良しにつけ悪しきにつけ、私のクルマ人生に影響を与えてきた父の病が相当に重たくなり、入退院を繰り返すようになりました。
市内の病院と大学の附属病院、それと在宅療養の行ったり来たり。
二度目か三度目に大学病院から市内の病院へ戻った際、医師から呼び出しを受けました。季節は秋。
ああ、来るべき時が近づきつつあるのかとの予想どおり、それは余命宣告でした。
「正直言って、来年の桜を見るのは厳しいと思います」
当時、お見舞いなどに自由に使える私専用のクルマはなく、かと言って真冬に"シビッ君"では可哀想。
雪が降る前に急いで足グルマを探しました。
すると、市内のトヨタディーラーにマニュアルミッションで走行が少なく、フルオリジナルに保たれた面白そうな一台が。それがトルネオとの出会いでした。
「NAで2リッター200馬力がこの値段かぁ…」これはもう、迷うことなく見積り依頼です。
お店も雪が降る前に在庫を減らしたいらしく、最初から良い条件を提示してくれたので、速攻で契約しました。
ただ、失敗したのは、せっかく納車前に用意したMC前のインテグラタイプR純正15インチホイールが、スペーサーなしではフロントに履けなかったこと。何せチャンピオンシップホワイトのタイプR用ホイール、大好きだったもので…まぁ、ブラックのボディーに映えつつフェンダー内に収まったから良しとしました。
とにかく程度抜群の個体で、シートの本革部分に擦れや傷もなく、メーカーオプションのカーナビも付いているし、父の病状が安定していた間は快適なスポーツサルーンとして働いてくれました。
リヤの小さなスポイラーと左右に振り分けられたマフラー以外、全く目立つ所のない4ドアセダンなのに、峠に入ってシフトダウンするとVTECエンジンの快音を響かせ、5,000rpm以上では痛快なレスポンス。ヘリカルLSDの助けを借りて強引にコーナーを攻めることができるのですから、もう堪りません。
ややローギアードのため、高速クルージングでは何となく急かされる感じがして、燃費も長距離でリッター13キロ前後、街なか8〜9キロと奮いませんでしたが、高速道路ではパワーステアリングの操舵力を重たい方に切り替えるとセダンらしい安定感も味わえ、そのジキルとハイド的な性格に大いに満足したものでした。
ドリームSA、CB72、CP77以来、ホンダ車好きだった父のお見舞いのための足グルマが偶然にもホンダ車、しかもスポーツグレードというのも、何かの縁だったのでしょう。
桜どころか真冬、しかも正月の三が日に父は亡くなりました。危篤の知らせを受けた時や葬儀の前後、その後に山ほどある様々な手続のための移動でもトルネオは大活躍。立派にその役目を果たし、某オークションサイト経由で新たなオーナーの元へと嫁いだのでした。
こんにちは。
トルネオですか!
F20BエンジンはCF-4アコードと同じですね。
これまた意外なチョイスで驚きです。
こうしてタイミングよくMTのいいクルマが現れるのか。完全にクルマの神様に愛されていますよ。
自分の友人、ふりいまん師はおじさんの形見で貰ったトルネオを今も大切に乗っていますよ。