エンスーMの「クルマとともに」

私が愛したクルマたちのことを忘れないために…

昭和48(1973)年式トヨタスプリンタートレノ(5MT) S63.8〜H2.10

2022-06-30 18:00:00 | 日記
しっかし良い写真がありませんな。
このトレノ、購入後に詳細な写真を撮ったんですよ。でも、何とフィルムが白黒だったという笑い話ならありますがね。

私がミリタリーものに凝って、しばらくクルマから離れていた時期がありました。
27のレビン&トレノはその頃に誕生したクルマ。
新聞広告などで、同じ2T-Gを積んだセリカ1600GTのことは知っていたけれど、27のことは全く知らなかった。

父の転勤で稚内に住んでいた頃、ウチのクルマは未対策の初代シビック3ドアGLだったことは既に書きましたが、ある日、偶然に立読みした雑誌のグラビア記事にレビン(かトレノ)と、それに「J」の付いたものとの比較がありました。
な〜んだ、カローラじゃないか、とシラケ気分で斜め読みしたら、ゲゲッ、DOHCエンジンを搭載⁉︎そんなカローラがあっただなんて…
その記事はモノクロで、ダート路面でのインプレッションが中心だったと記憶。両車の違いのひとつにアクセルペダルが挙げられており、そのことが理解できなかったせいかやけに印象に残っています。

以来、私はカローラやスプリンターのクーペに遭遇するたび、オーバーフェンダーが付いているかどうかを気にしましたが、レビン&トレノは飛び抜けて高価だったせいか、ほとんど目にすることはなかったですね。

ってな訳で、中1の春に立読みした雑誌のおかげで、かつてのクルマ大好き少年へと本格的に回帰していった私。
しかし、その年の秋には第一次オイルショック、また、米国のマスキー法に端を発した低公害車礼賛の流れによって、高性能車たちが次々と息の根を止められていくことになります。

昭和49年には、カローラ兄弟が30系へとフルモデルチェンジし、レビンはカローラハードトップ、トレノはスプリンタークーペという異なったボディーへと刷新され、他のグレード同様、オーバーフェンダーの付かない姿になりました。

当時、世間では暴走族が社会問題化し、シャコタン、オバフェン、ワイドタイヤが諸悪の根源であるかのように見なされ、オーバーフェンダーを運輸省が認可しなかったのだと言われています。
同時期のシビックRSも、本来ならばオーバーフェンダーとCV4連キャブで武装し、『ロードセーリング』ではなく『ラリースポーツ』又は『レーシングスポーツ』としてデビューするはずだったという噂が流れていましたね。

とにかく、昔、雑誌で見たレビンの衝撃が忘れられず、乗れるのは若いうちしかないと考え始めたのは大学3年の秋でしたから、実際の行動に移すまで6年ほどかかったことになります。
雑誌の売買欄に『買いたし』と掲載してもらったところ、たった1本だけ電話がありました。
私の希望はモンテローザオレンジのレビンでしたが、デイトナオリーブのトレノでほぼフルレストアに近い状態まで仕上がっている、黄色い跳ね馬印のクルマを購入することが決まったので手放しても良いのだが、とのこと。
出張の帰りに埼玉県の西部まで拝見しに伺い、中古車店に並んでいるTE27との圧倒的な程度差にぶちのめされた私は、鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス、とばかりに待ちの体制に入ったのでした。

その後も数回お会いして飲食を共にした結果、トレノはウチに来ることになり、フェリーの無人車航送で早朝の小樽港に到着。
私の影響でクルマ好きになった上司が、平日の昼休みにフェリーターミナルまで乗せて行ってくれたこと、懐かしい思い出です。

引き取って初めて乗ったTE27、ノンサーボのブレーキは渾身の力を込めて踏まないと役に立たず、未交換のままのショックアブソーバーはスカスカ、暖まらないうちは夏でもクズつくエンジン…と良い所なし。
ただ、ノーマルのスチールホイールに履いたタイヤだけは、前オーナーさんの好意により新品でしたから不安はなかったです。

27はラリー仕様にされたり極端に太いタイヤを履かせられたり、とにかく改造車が多かったので、可能な限りオリジナルの姿で乗ってあげたいと思い、KONIのショックとウルトラのフルトライグナイター、TRDのアルミホイールに換えた程度で、あとはキャブの調整をきっちりとやってもらい、新車時のフィーリングを目指しました。

こうして、イベントへの参加などで長距離を走っても不安のない状態となったのですが、乗り味は本当に荒削りでエンジンは良く言えば豪快、悪く言えば快音とは言いにくい音を発し、振動もそれなり。
軽量ハイパワーでローギアードのため確かに加速は鋭いけど、18.1:1から16.1:1へと速められたステアリングは標準の175/70R13でも重たくて、しかも中立付近の遊びが大きめで、峠に行ってもあまり楽しくない。
固められた足回りのため乗り心地は野蛮。
標準ではLSDが付いておらず、コーナーでリヤ内輪がリフトしてパワーが路面に伝わらず、拍子抜けしてしまう。
このクルマは、オーナーの好みに合わせてと言うより、競技に勝てるよう改造して乗るクルマなんだなぁと納得しました。

当時、古いクルマは1年車検でもちろんトレノはそれに該当。イマイチ信頼性に欠けるけど優雅なランチアデルタ、軽快なスターレットとの3台持ちは羨ましがられる一方、車税の納付時期は地獄。我ながらよくキチンと払っていたもんです。

このトレノ、街乗りには使わずもっぱらイベント専用車でしたが、なかなかの経済車で長距離ならばリッター13キロ以上は楽勝。パーツの経年劣化に気を付けさえすればトラブルもなく、さすがトヨタ品質。優等生でした。

ただ、専用のアクセルペダル、フットレスト、フロントウインドウは合わせガラスなど、あまり目立たない部分にお金のかかった、ある意味、贅沢なクルマだと思います。
先日、車庫のお宝を整理していたら、新品の助手席用フットレストが左右セットで出てきて、そういったパーツ類もトヨタ車の常で良心的な値段だったことを懐かしく思い出しました。

さて、ノーマルでは大した面白くも感じなかった、私の極上トレノ。
維持費も大したことないし、イベントでも程度を絶賛され、できればずっと手元に置いておきたかった。
でも、人並みに世帯を持つようになるとそうともいかず…


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