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コロナに感染した。これから、ぶっ倒れて書けない状態でない限り日記を書こうと思う。僕の場合、特殊な例なので、あまり参考にはしないで欲しいとは思うけど。
体調に軽微な異変を感じたのは2021年3月7日(日)演奏仕事から帰宅した夜遅く。ゾクっと来たので、めちゃくちゃ熱い風呂に長時間しっかり浸かり、布団と毛布にくるまり眠る。朝起きたら寝汗をかいていた。熱を測るも36℃といたって平熱。そう言えば、昨夜から少し腹が痛い。下痢気味。胃腸炎になったのかも…と市販の薬を服用。実は縦隔気腫という気管支の病気を1ヶ月半ほど前にやったので、痰の絡む咳はそれ以降ずっと出ている。コロナから来る咳かどうかの判別はその時点で困難。
8日(月)も朝から演奏仕事だが、発熱が無い以上、コロナを疑う余地もなく、相変わらず胃腸炎かな…と思い、出勤。特に症状も無く元気そのものなので、そのまま夜はスクールでレッスン。
9日(火)朝、平熱。10日も朝から演奏仕事に向かわねばならないので、メールでメンバー集めや、打ち合わせなど。しかし、依頼したベーシストA氏から「発熱や腹痛など、体調が思わしくないので病院に行ったら、胃腸炎でしょうとの診断。でも、念のためにPCRを受けたので、結果が出るまで人に会わない方が良いと言われた。」との報告を受ける。仕方ないので彼のトラを探す事に奔走し始める。でも、そういや自分の症状がA氏と酷似しているな…と思う。ただ、自分にはやはり発熱が一切無い。
そう思っていた矢先に、六日前の3日(水)一緒に演奏したギターリストB氏から「コロナに感染して、明日入院する。」とのメッセージ。えー!っと驚くも、まだ自分は感染していないと高を括っている状態。でも、体調を崩したA氏も3日のライブでは一緒だったので、バンド内感染の疑いも有る。念のためにPCR検査を自分も受けよう!と考え、ネットで調べたら、安価な民間のデリバリーPCR検査を見つけ、早速予約する。2時間程でアジア系の女の子が現れて、僕にキットを手渡し、その後、僕の唾液の入った容器を持って去って行った。
この日(9日)も、実はライブが夕方から有り、感染の疑いが少しでも有る以上、出演すべきではないと判断し急遽出演をキャンセル、僕抜きでライブして貰う事にした。その流れから、翌10日朝の演奏仕事もキャンセル。
しかし、ここでどうしても言っておきたい事は、お上が掲げてるガイドラインの<濃厚接触者の定義>では、「発症2日前に1m以内の距離でマスク無しで会話」とある。3日のライブはB氏の発症から5日も前(僕はその後、B氏とデュオ・ライブをやったが、それも発症3日前)であり、サックスの僕は仕方ないとして、演奏中でさえ基本マスクをしてる者が殆ど。客席は埋まっておらず、全員マスク着用、ステージと客席の間には間仕切りのクリア板が吊り下げられている状態、演奏は20時終了、お客さんの検温、消毒はマスターがしてた筈…と落ち度は全く無かった。結局、それでも、濃厚接触の可能性は有ると言うことだ。日程や距離や状況に関わらず。
10日(水)朝、平熱。昨夜は太腿がキリで刺される様な痛みが寝てる間に何度も有った。午後、メールでPCR検査の結果が届いた。「高リスク」という判定。なんだこれ?分からないので、最寄りの保健所に電話したところ、保健所も分からない…と。要は保健所もちゃんとした医療機関のPCR検査の結果が出ないと動けないらしい。という事で、紹介された近所の病院で翌日(その日は全ての病院が押し並べて休診だった為)受け直す事になった。検査代3000円損しちまったぜ。その日の夕方、ベーシストA氏より連絡有り、「PCR陽性判定」との事。結構、ショックなご様子。これで、僕も腹を括った。
11日(木)朝、平熱。よく眠れた!紹介された病院にPCRの予約電話を入れる。保健所に紹介された病院のクセに、コロナ患者と疑わしき者からの電話に、電話の向こうが騒然となっている(笑)。アタフタする看護師さんに代わって電話口に出てきた先生は、江戸っ子って感じの人で、僕が既に受けた民間PCRの「高リスク」って判定に「いってい何だい!そのいい加減な判定はよぉ!そもそも、PCR検査ってのはよぉ…」(かなり大袈裟に書いてるけどこんな感じだった)と、何故か僕がお説教を食らう羽目に(笑)。ま、とりあえずお昼の12時半に来いと言われたので行く事にする。
指示通り、予定の時刻に病院の前で電話。すると、裏口から入るように指示される。お婆ちゃんの看護師さんが出て来られて、うつしてはいけない!とこちらが気を遣ってしまう。廊下の長椅子に座らされると、あの江戸っ子先生が出て来た。活きのいいお爺ちゃんだった。「これをこうして、ああして…PCRはよぅ、兎に角てぇへんなんだよ!」といきなり愚痴られる。関西人から見ると江戸っ子はとても面白い…って江戸っ子かどうか分からんけど。容器にたんまり唾液を入れ、蓋を閉め、シールドみたいなのを巻き、袋に入れて完了。公費と思ってたら、1700円ほど払わされた。明日の午後から夕方には結果は出ますとの事。
その日のレッスンはオンラインだけやって、対面はキャンセル。
12日(金)朝、快眠&平熱。今日はライブが入っていたが、当然キャンセル。のんびりしていたら、電話が鳴り響く。江戸っ子先生だ。「結果出たよ!陽性!」なんだか興奮気味である。当の本人である僕はとっくに腹を括ってるんで、「あぁ、そうでしたか。」と至って冷静。「ちょっと、色々聞かなきゃなんねぇんだよ!コレとコレは保険証に書いてあって、身長と体重は?それから、えーっと…兎に角、一杯書かなきゃなんなくて、てぇへんなんだよ!保健所へはアンタからも連絡してくれんだよね?」…保健所からの紹介なのになんでこんなに慣れてないんだ?面白すぎる。「いや、先生が保健所に連絡したら、自動的にこちらに連絡が来るようになってますから、ご安心ください。」…ん?ご安心下さい…って、コロナ患者が医者に言うセリフじゃないよなぁ。俺もなんだか訳分からなくなってきたぞ。
それからは、地獄の様な電話&メール攻勢。感染した事を漏れなく伝える義務が有る。職場、仕事の関係者、生徒、特に僕と濃厚接触の疑いの有る人達には細かいレクチャーの必要も有る。既に数名は無症状やPCR陰性の報告も有り胸を撫で下ろす。僕は極端に症状が軽いのでこれが出来るけど、高熱で息苦しい中、自分でこれをやらなきゃならないとなったらホントに地獄だ。
その後、保健所から電話が有り30分ほどの聴き取り聴取が始まる。まず、法律上、決して出歩いてはならない…という脅し文句(まぁ、中国に比べたらかなり緩いけど。笑)を聞かされ、これまでの経緯を説明し、どこまで関係者に報告したか、相手の連絡先など根掘り葉掘り聞かれる。現在、入院かホテル療養のチョイスしかなく、自宅療養は無いらしい。僕の病歴、特に呼吸器系のトラブルを鑑みて入院が決定した。13日の昼頃、入院先の病院から連絡が有り、都が用意したお迎えのマイクロバスがピックアップに来るらしい。防護服に身を包んだドライバーらしい。「お迎え」と言われると、病院ではなく、あの世に連れて行かれそうな気もするけど。
その後、スクールからも何度も電話が有り、聴き取り調査を受ける。換気やマスクや生徒との距離の話、僕の体調の話、感染経路や日程の話、そして、僕が体調の変化に気付きながら無理にレッスンを決行しなかったか?…も、あちらとしては気になる所だったのだろうと思う。なので、ここに記した通りに説明した。
僕が今後、急変して体調を崩して、危険な状況に陥いる可能性はゼロではないし、未知の病気である以上、誰も正しい事が言えない状況だ。しかし、一つ言える事は、僕の症状はかなりの「ステルス型」、つまり、発熱も無く、咳も殆ど無く、倦怠感もさほど無い、腹がちょっと痛いだけ、で、眠って意識が無い状態の時のみ暴れている様な症状で、起きている時は元気そのもので、他人にも本人にさえも分からずに、あちこちにウイルスをばら撒く攻撃体制が整った、まさに高機能なステルス戦闘機そのものである。
さっさと、自費でPCR検査する事にした英断と、もしこのまま、生徒さんなど僕の周りで感染者が出なければ、日頃やっていた感染予防策が上手くワークしていた事になり無駄では無かったと胸を張れる。そして僕自身が、自分の体内に巣くったステルス戦闘機を止められて本当に良かった。
おまけ
最新作CD「Imagined Landscapes」と「Cool Ballads」は、都内のレコ発もままならず、また地方ツアーも全く出来てないまま、鬼の様なCDの在庫を我が家の押し入れに抱え、もしこのまま死んじまって、遺作となってしまったら、あまりにも無念だ!と思い、入院前に必死でダウンロード販売出来る様に準備したので、そちらも是非チェックして頂きたい。
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