世態迷想・・抽斗の書き溜め

虫メガネのようであり、潜望鏡のようでも・・解も掴めず、整わず、抜け道も見つからず

良いこと

2022-03-27 | 迷想が誘う寸言もどき

 

📌

人は良いことを考えるし、良いことをする。

優しいし、他人の立場を理解するし、尊重する。

だれも親切であるし、周りに配慮するし、協力し合う。

と、夢のようなことを、少年時代は心底信じていた。

 

ところが成長するにつれ、

そのどれもが、実はそうではないと気づかされる。

少年が信じていた、人の心と振る舞いの像が定まらなくなり始める。

何事か異変を感じた時、人の反応にとてもばらつきがあることを知る。

 

少年はそれをどう受け止めていいのか判らない。

そのころから長く、少年のものの見方が彷徨い始める。

 

なぜ、あんなひどいことを人は出来るのか、

どんな心の動きであんな恐ろしいことが出来るのか。

人の振る舞いの源を想像できなくなっていく。

 

考え始める。

良いこととはなにか、悪いこととはなにか、

何故良いことなのか、なぜ悪いことなのか。

そんな素朴で、誰にも等しくあると信じていた事柄の内側には、

実は他者から見えにくい野望や攻撃性が潜んでいる。

それが時の事情に応じて、ぬっと現れるものだということを、

知りたくないけど知るようになっていく。

 

それらの事情や潜んでいる欲望を、

他者が透視することなど出来るわけがない。

であるから、良いことは必ずしも良いことではなく、

悪いことも実は悪いことではないかもしれないと思い始める。

 

ものの見方や捉え方は、全く状況に相対的なもので、

絶対的基準というものが、人の考えのなかには、

ほんのわずかしか存在しないことがはっきりしてくる。

 

昨日も今日も、さまざまな社会的な事象は、どれをとっても、

人を破壊しないという価値の順位は、後方においていかれる。

そう意図してないにしても、現実は具体的な実利が最優先される。

人間から人間を守るために、人間集団から人間集団を守るために

様々に戦略というものが編み出されている。

 

かつての少年は、

重層的な社会の現実の課題や状況をとても解きほぐせない、

人間の営みに正解などあるのだろうか。

たくさんの正義と正解が・・・、だから人は”悪いこと”をする。

 


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