つれズレ愚抄

つれ：「北朝鮮さんのミサイルだか衛星だかはいざ知らず、とにかく迎撃命令が出ていよいよ臨戦態勢だねぇ」

ズレ：「落ちてくれば当たるって前提になってるけど本当に大丈夫なんだろうなぁ」

つれ：「そこをしつこく突っ込んだ社民党さんの質問が失笑を買ってたくらいだから、心配はないんじゃないのかぃ」

ズレ：「事実か思い違いかも分からないほど大層昔に難破船か何かを自衛隊さんが魚雷で沈めようとして上手くいかなかったてな記憶があるせいで、もう一つ不安が拭えないけどよ」

つれ：「日々スキルアップしてるからにはよもや打ち漏らすことはなかろうけれど、万一外した場合は何かと問題が大きくなりそうだよねぇ」

ズレ：「寡聞にして定かならねどミサイル迎撃システムの実戦レベルでの運用はおそらく世界初だろうから、北朝鮮さんの打ち上げ以上にＭＤの首尾を世界が注目してるかもしれねぇぜ」

つれ：「世界中から日本にミサイルが落ちることを期待されたんじゃ堪らないよ・・」

ズレ：「昔の戦争映画だとドイツ軍と言いながら平気でアメリカ製の戦車を使ってたりしたもんだけど、さすがに巨額の制作費を投じてるだけあって稼働保存品か復刻品か模造品かは定かならねど往時の実写そのものといった車両・航空機がふんだんに登場するのにまず圧倒されらぁな。
　史実の映画化だから大筋の展開は予め分かっているとはいえ物の本から受ける印象よりも暗殺からクーデターへ至る動きがダイナミックに伝わってきて、その後も現在に至るまであちこちで同じような動乱が起きてることを思えば６０年以上前の話であっても旧さは感じさせず、今の時代にこの映画を世に問う意味ってもんも朧気ながら推し量れるんじゃねぇか。
　それにつけても思いを至すのは王統の出自でもなく世襲でもなく地盤も看板も鞄もない一介の青年がけして社会や政治が未成熟だったとも思えないドイツで絶対的な権力者として君臨したヒトラーさんてぇ希有な存在の不思議さで、その所業からけして立志伝としては取り上げられることがないだけに、時代や環境が整えばいずれまたこういう人物が歴史に登場することもあるんだろうかと改めて興味を掻き立てられるってもんよ」

　
つれ：「神奈川県さんで全国初の屋内喫煙を規制する条例が成立したんだってさ」

ズレ：「余分に税金を納めてるってのに愛煙家はますます肩身が狭くならぁな」

つれ：「”禁煙条例”でなく”公共的施設における受動喫煙防止条例”てぇネーミングにその辺のビミョーな空気感が現れてるのかもよ」

ズレ：「努力義務とはいえ居酒屋やパチンコ屋まで公共的の対象になるんじゃ実質的に禁煙法も同然で、他に健康に悪いものは種々あるだろうに煙草ばかりがこうも目の敵にされたもんかとやっかみたくもなるんじゃねぇか」

つれ：「すぐに症状が出る訳じゃないけど長期的に健康を害するおそれがあるってことなら、携帯電話の電磁波なんてのも心配があるような話が出てるしねぇ」

ズレ：「とにかく世間の追い風でやり易い規制にだけ手を付けて事足れりってことのないように願いたいもんだわな」

つれ：「何やら煙草呑みの最後っ煙みたいな捨て台詞だねぇ・・」

つれ：「景気悪化もいよいよ本物で、公示地価まで全面安になってるねぇ」

ズレ：「優良物件に投資してたファンドが手を引いて大都市部でも一気に下落に転じてるわな」

つれ：「商業地の下落率ベスト１０のうち９地点が名古屋市内ってのはトヨタショックの影響かねぇ」

ズレ：「住宅地は同様に９地点が都区内だそうで、マンションも相当値崩れしてるみたいだぜ」

つれ：「この際経済対策の一環としておカミが余剰物件を買い叩いてそれを更に安価で庶民に供給したらどうだぃ」

ズレ：「今更定額給付の２兆円をグダグダ言っても詮なきながら、兵力同様資金も分散させちゃ徒に消耗を招くばかりで何であれ特定分野に集中して投入する方が効果はあるんじゃねぇか」

つれ：「せめて補助金でもつけてＥＴＣみたいな特需を起こせりゃいいのにねぇ」

ズレ：「週末ＥＴＣで出掛けた方はその分日割りで固定資産税をサービスするとかを抱き合わせにしたらどうでぇ・・」

つれ：「歳をとるにつれ若返っていくてぇ奇譚自体はけして珍しくはないものの、その一生を一人の相方との純愛を通じて描き上げた大河ロマンスとしてむしろ今時珍しい３時間に及ぶ長尺も気にならない壮大な物語に仕上がってるよねぇ。
　第一次世界大戦直後からほぼ現在まで時系列を追うようなエピソードをさりげなく鏤めつつ若返る男と老け行く女の推移を対比させる手法に隙はなく、手法の見当はつかないけれどおそらくはメイクや合成の粋を凝らしたであろうリアルな老人姿の幼年期にも不自然さがなく、見事なお手並みに見とれてるうちに気が付けば時間が過ぎてるのも何やらテーマに重なる按配だょ。
　年齢が逆行するてぇ設定以外は奇を衒った仕掛けのない至極まっとうな展開で押し出されるとそれだけ齢を重ねる無常感が切実に迫ってきて、我が身も多感なお年頃に戻ったかのように年甲斐もなく残り少ない人生をどう送ったもんかとつい哲学しちまうようじゃないかぃ」