つれズレ愚抄

ズレ「前作より暴力シーンは抑えたと仰るものの、いわば社内の出世争い的な内輪話だった前作に比べて今作は競合他社が前面に出てくるだけに舞台がスケールアップして、直接的な暴力シーンがなくてもより強力なバイオレンスを感じさせらぁな。
　続編としてストーリーはガッチリ継続してるから因縁話は回想をインサートしても良さそうなところを、１作目を見ずに２作目を見るバカがいるかよコノヤローてなノリで構わず前に進む展開からして既に暴力的とも言えそうだぜ。
　国際的な評価が今一歩だっただけにもう続編はないんだろうけど、せっかく関西系の役どころでさらに大物俳優陣も加わったことだし、昔気質の筋を通す極道VSビジネスやくざてな構図で新・仁義なき戦い的にシリーズ化しても面白いんじゃねぇか」

 

つれ：「どぜう総理の所信表明には解散のカの字もなく引き続きやる気満々みたいだねぇ」

ズレ：「参院じゃ憲政史上初の表明ボイコットを喰らっただけに少なからず意地も入ってるんだろうよ」

つれ：「或いは特例公債法案を人質に取ってる限りは野党も手荒な真似は出来まいと踏んでの居座り宣言なのかねぇ」

ズレ：「与野党ともに特例公債を潰した元凶とのババをいかに掴まされないかが今国会最大の争点ってこったな」

つれ：「どちらも決定打がなくドローならチャンピオンが防衛てぇ按配かぃ」

ズレ：「どっこいガードの甘さからボディブローが利いてきて議席数てぇスタミナはポロポロと落ち続けてるから、ポイントはイーブンでも不信任パンチ一発で逆転ＫＯの目もあらぁな」

つれ：「何にせよジャブの応酬だけで特例公債は引き続き棚晒しなんて凡戦は勘弁だょ・・」

つれ：「記者会見で突然の法螺の音も高らかに、いよいよ満を持しての石原御大国政御出陣だねぇ」

ズレ：「ヌルヌルと正体を掴ませないどぜう宰相に業を煮やして、出馬の陣触れで解散を督戦しようとの目論見なんじゃねぇか」

つれ：「関ヶ原の家康公が金吾中納言に大砲を撃ち掛けた按配かぃ」

ズレ：「なんのかんの言いつつ勝算の覚束ない自民側は馴れ合いで動かない毛利勢も同然と見てとって、今ぞ正に決戦の秋と最後の御奉公に打って出たってとこさな」

つれ：「人気に翳りの出た橋下公に骨は拾ってくれとエールを送る意味合いもあるのかねぇ」

ズレ：「元を質せば青嵐会で血気盛んな青年将校の首魁とも目された御仁だけに、憂国の士を糾合しての無血クーデターが事成らないとも限らねぇぜ」

つれ：「あくまで合法的に現行憲法に則って都会にも雪が積もる頃には国会を乗っ取ろうたぁ、いかにも作家先生らしい浪漫だねぇ・・」

つれ：「イタリアじゃ地震予知に失敗した科学者に有罪判決が出たそうだよ」

ズレ：「当たるも八卦当たらぬも八卦の占い師が訴えられたようなもんさな」

つれ：「占いと一緒にしちゃ失礼だけど、津波の予報に失敗したばかりの本邦でも被災者感情を思えば諾なる哉ってとこはありそうだけどさ」

ズレ：「とはいえ代議士だって議会での発言は罪に問われないんだし、まだ人知の及ばぬ領域の学問を断罪してちゃ科学の進歩が覚束ないだろうによ」

つれ：「奇しくも同じイタリアだけに、地動説を唱えたかの偉大な先人を裁判に掛けたのと同様だってのかぃ」

ズレ：「昔は宗教が啓開の妨げになったけど、今は過度の権利意識が人の目を曇らせるのかもしれねぇぜ」

つれ：「穢土の厭離意識で民主党さんを見る目が曇ってたのは間違いないねぇ・・」

つれ：「PC乗っ取り犯はグリコ森永事件のかい人２１面相にも比肩される事態になってきたねぇ」

ズレ：「乗っ取り自体も大ごとだけど、乗っ取られた御仁が無実なのに自白してたってのも衝撃的だわな」

つれ：「自白に追い込む警察の技術や恐るべしで、いかに冤罪が多いかを証明したような按配だからねぇ」

ズレ：「しょっ引いてからの腕前が確かなだけに、しょっ引くまでの捜査力が低下すりゃ一層冤罪が重なる理屈だしよ」

つれ：「科学捜査の発達で冤罪が減るかと思いきや、功を急けば冤罪が出る構図には変わりなさそうだねぇ」

ズレ：「巧遅は拙速に如かずとはいうものの、民主党政権も過大な期待に応えようと功を焦ったのが失政を重ねた原因かもなぁ」

つれ：「過小な期待になってもまだ失政を続けるみたいだけどさ・・」

つれ：「どぜう改造内閣は浜辺の砂の城よろしく、早くも閣僚の一角が崩れるようだねぇ」

ズレ：「石垣や通し柱になるべき確かな人材が少ないからにはしょうがねぇやな」

つれ：「大臣ポストを埋めるためにはいわゆる身体検査もしてられないほどなのかねぇ」

ズレ：「元より叩いても埃が出ないような朴念仁に政治家が務まる筈もなし、むしろそれをカバーするだけの器が組織にあるかどうかが政党政治のキモってもんでぃ」

つれ：「そういうことなら総裁の目もあった石破さんまで献金不祥事が明るみにでたのは、それだけ自民党さんも政党としての力が落ちてるってことかぃ」

ズレ：「与野党ともに不甲斐ない時に蜂起するほど強力な軍部がないお陰で政党政治が保たれてるともいえらぁな」

つれ：「マスコミがチクチク刺したところで蜂ってよりは夜も眠れぬ蚊みたいなもんだしねぇ・・」

 

 

つれ：「実感は伴わないけど、厚労省さんの勤労統計調査によると８月は雇用情勢の改善で賃金が上昇したらしいよ」

ズレ：「一方で世界銀行さんの報告によると、世界の失業者は２億人でそのうち４割は２５歳未満てぇ話だぜ」

つれ：「雇用創出の掛け声も言うは易しで、実際に雇用と賃金が同行二人で上向かないことにゃ枕も高くならないからねぇ」

ズレ：「それを意図したかどうかに関わらず、その都度一気に戦争カマして若年層を中心とした人口調整や景気を刺激する生産消費拡大で糊口を開いてきたのが人類文明史とも言えらぁな」

つれ：「世界各地に紛争の火種が燻ってるのはそういう機運のバロメーターだってのかぃ」

ズレ：「地殻の運動が大地震をもたらすが如く、社会の運動も成り行きに任せるだけなら遅かれ早かれ大戦争に至るってことよ」

つれ：「これほど技術が進歩しても未だに地震の回避はおろか予知すら満足に出来ないのと同様、いくら人類が進歩したといっても未だに戦争の回避はおろか予見すら満足には出来ないのかねぇ・・」

 

つれ：「シアヌーク殿下崩御の報に一入の感慨を覚えるのはもう年寄りばかりだろうねぇ」

ズレ：「クメールの微笑そのものの親しげな笑みを浮かべた殿下の面影に往時のベトナムや中国の動向も重なって、激動の時代の空気感が蘇るようでぃ」

つれ：「一時はロンノル・ポルポト・ヘンサムリンてぇ言葉の響きと合わせて始終ニュースになってたような気がするよ」

ズレ：「今は中国覇権の輝きが強すぎて、東南アジア全体の影がすっかり薄くなってるんじゃねぇか」

つれ：「思い起こせば終戦間もないベトナムさんにチョッカイ出してコテンパンにやられた頃から中国さんの膨張主義は一貫してるってことかぃ」

ズレ：「陸路の険しさに懲りたのとも合わせて、用を成すのか分からない張り子の空母まで仕込んで豊富な資源が期待される海洋進出に精を出してるのかもしれねぇぜ」

つれ：「時の国務大臣が都の尖閣買上企図を批判してるような日本にハッタリかます分には、二束三文のハリボテだろうと懲りる心配はなさそうだしねぇ・・」

つれ：「きょう日は買い物すりゃ漏れなくサービスポイントが貰えるものと思いきや、保険調剤でのポイント付与は罷り成らんてぇお達しが出てたんだってさ」

ズレ：「ポイントが付くからってモノが調剤じゃ余分に買い込める訳でもなし、庶民のささやかな余録にまで目くじらたてるこたぁあるめぇに」

つれ：「ドラッグストア側もカード払いと扱いが違って不公平だってんでシカトを決め込む構えのようだよ」

ズレ：「おカミもそんな重箱の隅を突つく間があったら、災害復興やらなんやらと他に大ナタを振るうべきところが幾らでもありそうなもんでぇ」

つれ：「その復興予算も日本再生の名目で何でもありのお手盛り流用だったとなれば、被災者感情は憤懣やる方なしだよねぇ」

ズレ：「金だけあっても融通の利かない制度が復興のブレーキになってる例も多々あるようだし、いかにも官僚仕込みの羊頭狗肉とはいえ結果的にはとにかく早いとこカネが回りゃ風桶式に被災地も潤うんだから、今後の対応さえ良けりゃさほど目くじら立てるには及ばねぇやな」

つれ：「お手盛りした分は復興予算確保のサービスポイントってなもんかぃ・・」

 

つれ：「IPS細胞の方は早速移植疑惑やらも賑わってるけど、村上春樹先生は今年も見送りだ残念だねぇ」

ズレ：「今年は何たって中国さんが旬だから、あちらの先生に文学賞に輝くのが事の成り行きってもんさな」

つれ：「ノーベル賞にも旬なんてのがあるのかぃ」

ズレ：「自然科学はともかくも、多分に主観が入る文学賞や平和賞には少なからず政治的な思惑はあるだろうよ」

つれ：「今年のEUは分裂回避へのエールっぽいし、就任直後のオバマさんに平和賞を贈ったのもなかなかに大向こうを唸らせたよねぇ」

ズレ：「業績も上げないうちからノーベル賞なんぞ貰っちまったばかりに妙に畏まっちまって、迂闊なスタンドプレーも出来ないまま再選が危うくなってるんじゃねぇか」

つれ：「それなら来年の平和賞には孔子平和賞創設でも称えて是非中国さんをご推挙したいもんだょ・・」