つれズレ愚抄

ズレ：「ペルシャ帝国一翼の末裔たるイラクの内紛に際してオバマさんが送り込む軍事顧問を３００人と設定したのはこの作品を意識した訳じゃあるまいけれど、民主主義だの自由だのの単語が出るにつれ往時とは逆にアメリカさんがイラクに侵攻した現代史と重なるようでぃ。
　前作テルモピュライの戦ほどの悲劇性はなく赤壁の戦ほどには詭計がないサラミス海戦の顛末も史実に明らかとなると見せ所は３Ｄを駆使した苛烈な戦闘映像でしょ！ってノリかどうか、かつて黒澤監督が観客の度肝を抜いた椿三十郎の流血シーンの連続みたいないかにもＲ１５のスプラッタームービーに仕上がってらぁな。
　時節柄当時のポリス政治を批判するフレーズが耳に入ると自らはけして血肉飛び散る戦場に出ることはない代議士諸侯が集団自衛を推進する現下の危うさも気に掛かるところで、昔の指揮官は先頭に立って血しぶきを浴びたが如く集団自衛に賛成した先生は発動の際には必ず前線に帯同するくらいの義務付けがあって然るべきなんじゃねぇか」

つれ：「各地で時ならずダイオウイカを始めとする深海魚が揚がって天変地異の前触れかと話題になったのは、この梅雨時からのゲリラ豪雨のことだったかねぇ」

ズレ：「地震ならまだしも深海の予兆が天空の雨ってこたぁあるまいけれど、それだけの結果があるからには何らかの原因はあって然るべしだわな」

つれ：「海流の変動で泳層が変わったってことなら、遠からず気候に影響するのは必至だろうしねぇ」

ズレ：「チリ沖のエルニーニョで冷夏にオロオロするくらいだから、近海の変動が相当の異常気象をもたらす覚悟もしとくようじゃねぇか」

つれ：「百年に一度てな想定がすぐにでも現実になるってのかぃ」

ズレ：「百年に一度に備えて完成に９０年も掛かるようなハードより、明日にでも襲って来るかもしれない大災害からどう逃れるか如何にかわすかのソフトの方が頼りになろうてもんよ」

つれ：「逃れるのかわすのてぇ話になりゃ政治家の皆さんも得意とするところだろうからねぇ・・」

つれ：「Ｗ杯が残念な結果に終わって、早くも関心は次期代表監督の人選に移ったようだねぇ」

ズレ：「競技の世界は歴然とした結果が出るだけに、過程がどうあれ即責任論に繋がるからなぁ」

つれ：「舌禍ではあっても結果ではない政治の世界じゃ出処進退は常に曖昧だけどねぇ」

ズレ：「舌禍なんてなぁ一旦火が点くと尻馬に乗ってはしゃぐ衆が湧いてくるから喧しいだけで、喉元過ぎりゃすぐに熱さは忘れるとタカを括るぐらいでなきゃ政治家は務まらないってことよ」

つれ：「むしろ言葉尻を捉えて囃し立てる方が間抜けなお調子ものだってのかぃ」

ズレ：「いま厳しく追及すべきは未だ景気が上向く実感がないアベノミクスや際限なく解釈を広げそうな集団自衛や莫大なドブ銭を費やしかねない五輪計画だってのに、政治家個人の吊し上げに興じるうちにそっちの熱さまで忘れちまうのが関の山でぃ」

つれ：「舌禍なんぞ粗忽者のご愛嬌とタカを括るくらいでなきゃ国民も務まらないのかねぇ・・」

 

つれ：「何かと企業寄りの安倍政権らしく、特許利得の帰属を幾分か発明社員から会社に戻すみたいだよ」

ズレ：「会社の経費で研究した成果であれば、そもそも社員ばかりが濡れ手に粟って法もあるめぇよ」

つれ：「さらに産業競争力強化策として、世界最短の特許審査を目指すんだってさ」

ズレ：「と言って競争力のある諸外国に比べて圧倒的に少ない審査官をいきなり増やせる訳でもなかろうに」

つれ：「特許庁の現有人員に鞭打ったんじゃ、世界最悪のブラック官庁にもなりそうだしねぇ」

ズレ：「結果を急かせりゃＳＴＡＰ細胞みたいに危うい橋でも叩かずエイヤっと渡りかねないしよ」

つれ：「税金も投入した成果であれば、毒喰わば皿までと開き直って日本だけでもエイヤっとＳＴＡＰの特許を認めたらどうだぃ・・」

 

つれ：「都議会セクハラ野次事件は外国メディアまで喰い付く騒ぎになってるねぇ」

ズレ：「これだけフレーズが注目されてもなお野次行為自体は不問なのが不思議なくらいだわな」

つれ：「テニスやゴルフなら私語でも注意されるけど、野球やサッカーはヤジり放題みたいなとこじゃないのかぃ」

ズレ：「要は野次も声援のうちと受け止めるかどうかで、論戦の範たる議会で野次が容認されるのは規則発言には乗るべくもない下世話な感覚も加味されるてぇ効果を期待すればこそなんだろうけどよ」

つれ：「これだけ大騒ぎになるとヤジった方は出てきにくいだろうけど、ご自身の考えでなく世間にはそういう見方の輩もいるてぇノリだったてんなら堂々と名乗りを上げて貰いたいもんだょ」

ズレ：「さらに言うならヤジられた方も市井の一般婦女子ならいさしらず、かつて稀代の芸人さんと絡んだこともあるほどの選良ならすかさず当意即妙な返しで釘を刺すくらいのパフォーマンスが欲しかったとこだぜ」

つれ：「ヤジる側もヤジられる側も投げたバナナを食うみたいな芸はないとなると、Ｗ杯よろしく議会にも黄や赤のカードを持った審判を置くようかもねぇ・・」

つれ：「ギリシャさんの堅守に阻まれて、あとは自力救済に加えて他力本願となるとＷ杯決勝進撃はかなり険しくなったねぇ」

ズレ：「やっぱり短期決戦は緒戦で有利に立たないと厳しいやな」

つれ：「法案成立９７．５％で緒戦有利と見て笠に掛かったか、ここに来て自民党さんは国連の集団安保でも武力行使を解禁すべしと息巻いてるみたいだよ」

ズレ：「千載一遇の好機とばかりに推進派が一気呵成に畳み込んでるんだろうけど、そこまで解釈でＯＫってんじゃ不磨の大典どころか憲法なんぞ紙屑同然になっちまうんじゃねぇか」

つれ：「成文憲法があろうと時の政権の恣意で何でもありじゃ、憚りながら中国さんや北朝鮮さんと肩を並べるようだよねぇ」

ズレ：「初手からＤＦ野党陣は壊滅状態でこの件についちゃ鉄壁の守護神かと目されたＧＫ公明さんも既に戦意喪失となれば、無人の野を行くが如きストライカー安倍選手はネットを揺らし放題ってこった」

つれ：「当分総選挙もないとなりゃ他力本願も絶望的だしねぇ・・」

つれ：「安倍総理が壁を突き抜けると豪語するだけあって、成長戦略素案には是非はともかく歯切れはいいメニューが並んでるねぇ」

ズレ：「実施に向けては例によって骨抜きになってくんだろうけど、安倍さんとすりゃまずは骨太な姿勢を示したってとこさな」

つれ：「公明党さんとの歩み寄りも気にせずホルムズ海峡の機雷除去に拘る辺りも骨っぽいしねぇ」

ズレ：「またぞろ揚げ足取りの標的にされてる環境相も首相に倣って堂々の論陣を張りゃいいのによ」

つれ：「都知事時代は教養で舌禍を煙に巻いた作家御大のご子息で一時は総理総裁にも目された御仁ならば、多少なりともそういう才はあって然るべきだろうしねぇ」

ズレ：「地元感情的には受け容れ難くとも最後は金目の話になるのが自明の理なんだから、姑息な釈明はかえって事をこじらせるんじゃねぇか」

つれ：「原発汚染こそ稼ぐ力で壁を突き抜けて貰いたいもんだょ・・」

つれ：「強盗にもめげずＷ杯応援に行ってゴミを拾って帰るマナーのいい日本サポーターが評判になってるねぇ」

ズレ：「日本が言うとまた角が立つものの、対戦チームでもないのに日本が負けて喜んでるどこぞのサポーターにも見習ってほしいもんでぃ」

つれ：「それにつけても南京事件や従軍慰安婦を世界記憶遺産にしようとか、中韓の反日攻勢は相変わらずだねぇ」

ズレ：「至極まっとうな歴史観を開陳した韓国の首相候補が日本の肩を持つ気かとバッシングされてるのも実にお気の毒だわな」

つれ：「中韓を慮ってことごとく舌禍閣僚の首を刎ねてきた本邦とは正反対だもんねぇ」

ズレ：「植民地支配を受けた苦難の歴史だろうと、何事も神のご意思と受け止めてこそクリスチャンなら正しい信仰だろうによ」

つれ：「無宗教の中国さんはともかく、韓国にはキリスト教徒が多い筈なのに隣人愛はないみたいだよ・・」

 

つれ：「Ｗ杯が始まるとすっかりお祭り騒ぎだけど、当のブラジルじゃ依然としてデモやストが続いてるみたいだねぇ」

ズレ：「一触即発のウクライナや風雲急のイラク情勢で欧米にも緊張が走ってるようだし、実のところＷ杯といって浮かれてられるのは日本くらいなんじゃねぇか」

つれ：「本邦にしたって集団自衛への牽制か中国軍機の威嚇接近があったりと、手放しで興じてられる状況でもなさそうだよ」

ズレ：「国中がＷ杯中継に夢中になってる隙に金塊を盗み出すてな大昔の洋画があったけど、安倍さんとすりゃ国民の関心がＷ杯に向いてるうちにさっさと閣議決定まで仕上げちまいたいとこだろうよ」

つれ：「決勝トーナメントに進めばともかく、次のギリシャ戦で一次リーグ敗退が決まったらそんな時間はないだろうに」

ズレ：「コートジボアール戦といいギリシャ戦といい、日本で誰よりザックジャパンの勝利を願ってるのは安倍さんかもしれねぇぜ」

つれ：「サッカーの応援なら創価学会さんとの共闘にも支障はないからねぇ・・」

つれ：「まだＳＴＡＰ細胞の有無に白黒ついてないのに改革委員会がセンター解体を提言するたぁ、さっさと無かったことにしたいと事を急いてる感じじゃないかぃ」

ズレ：「一罰百戒の見せしめだってな内部の不満も聞こえてくると、野次馬的には白い巨頭式の権力闘争を勘ぐりたくなるようだぜ」

つれ：「リケジョの星採用の経緯に遡って全部が問題視されてるけど、終わり良ければすべて良しを逆さまにした後出しじゃんけんみたいなとこもありそうだよねぇ」

ズレ：「ＳＴＡＰ細胞の存在が確認されてりゃ、異例な採用方法からして柔軟かつ独創的だったとか逆に称賛されてるだろうからなぁ」

つれ：「改革委さんがいみじくもメディアが騒ぎ過ぎと指摘してるのは、ピンクの研究室に割烹着てな文字通りのイロモノ路線でなくむさ苦しい研究室にビン底メガネの冴えないリケジョてぇ定番路線ならもそっと展開が違ってたってことかねぇ」

ズレ：「何にせよ勝てば官軍が世の常道であれば、理研さんとすりゃ敗戦処理の戦犯探しは置いといて逆転勝利のＳＴＡＰ細胞作製に総力を挙げて掛かるべきなんじゃねぇか」

つれ：「成功した暁には堂々の起死回生細胞と銘打てるもんねぇ・・」