つれズレ愚抄

つれ：「見事にクリソツの役者陣を配した予告編の印象からしていかにもアメリカさんの懐の深さを示すような思い切り前大統領をおちょくったコメディ路線かと思いきや、親子の葛藤や側近との確執を正面から描き出して存外に骨太の人間ドラマになってるんじゃないかぃ。
　ブッシュさんと言えばこちとらも散々揚げ足を取らせていただいたネタ元の恩人のようなもんで、後を襲ったオバマさんが選前の過熱ぶりとは好対照なくらい静謐にそつなくこなしてらっしゃることを思うと、政策の是非は別として大統領になるほどには欠点も含めて人間的な魅力溢れるお方なんだろうってのがエピソードの端々から窺えるねぇ。
　政策決定の過程はどれほど事実に即しているかは分からないけどあのレベルであれだけの政策が決定されたとすればこちらの方は大いに慄然とするばかりで、そのイラク戦争のお陰で更に複雑になってきた世界平和の最大の担い手として今後のアメリカさんの政策決定が思慮分別に満ちたものとなることを願うばかりだよ」

つれ：「日馬富士関の初優勝で沸いた一方で、東関親方が定年で角界を退かれるんだねぇ」

ズレ：「外人力士の珍しさも手伝って一世を風靡した高見山全盛時代には、大相撲がこうまで外国勢に席捲されるとは思いも寄らなかったぜ」

つれ：「ハワイ勢が擡頭した頃は型にはまると爆発的だけどつけ入る脆さもあるって感じだったのが、モンゴル勢になってからは水も漏らさぬ盤石ぶりだもんねぇ」

ズレ：「世界帝国の末裔で蒙古相撲のＤＮＡも受け継いでるとなりゃ、そうそう容易には牙城を崩せそうにねぇやな」

つれ：「鎌倉時代の元寇は神風もあって凌げたものの、平成に至って国技はすっかり占拠されちまったってことかねぇ」

ズレ：「神風を期待するような精神論だけで日本力士を鼓舞してもどうなるもんでもなし、この際稽古に蒙古相撲のメソッドを取り入れるとかの工夫をしてみたらどうでぇ」

つれ：「相撲部屋はパオにして力士衆にはまず乗馬から始めよとでもいうのかぃ・・」

　
つれ：「ミサイルの次は核実験たぁ、北朝鮮さんはもうすっかりイケイケだねぇ」

ズレ：「定かなことは分からないものの、かなり威力や技術がレベルアップしてるって話じゃねぇか」

つれ：「ミサイルは人工衛星と言い張れても、言い逃れようのない核実験じゃ融和ムードに傾いてたアメリカさんの面子丸潰れじゃないかぃ」

ズレ：「アメリカの休日に合わせるとかでアメリカさんへのラブコール的実験強行のようだから、あからさまな挑発にオバマ政権がどう応じるか、今後のアジア政策を占う試金石になりそうだぜ」

つれ：「そんな呑気なことでなく、直接の脅威を受ける日本はどうすんのさ」

ズレ：「こういう時にはアメリカさんの基地を抱えてるのが人質のようなもんで、あたふたと大慌てせずともブラフ以上の実力を行使してくることはまずあるめぇよ」

つれ：「日本全国津々浦々に米軍がいる訳じゃなし、万一に備えた近衛師団代わりに東京ミッドタウンには米軍基地を誘致しときゃよかったかねぇ・・」

　
つれ：「韓国の前大統領が飛び降り自殺なさったとは衝撃的だねぇ」

ズレ：「あちらの大統領はどなたも退任後は過酷な運命を辿ってるけど、自ら命を絶つまでに追い詰められたとはせめて冥福をお祈りするばかりだわな」

つれ：「位人臣を極めた後は奈落の底ってんじゃ、そのうちなり手が居なくなっちまいやしないかねぇ」

ズレ：「凡そ政治家たるもの、どれほどのリスクがあろうともトップに座る魅力には抗しがたいってこったな」

つれ：「訴追されながらもキングメーカーとして君臨した首相経験者も戴く日本はそんなリスクとは無縁みたいだよ」

ズレ：「今回の小沢騒動で日本じゃ退任後より就任前にリスクがあるってのが定着するかもしれねぇぜ」

つれ：「或いは実りの秋の前に台風に見舞われる日本の風土には適ってるかもよ」

ズレ：「大願が実ってもあんまり頭は垂れないみたいだけどよ・・」

ズレ：「偏屈な頑固オヤジを演じたらおそらく当代一のハマリ役であろうイーストウッドさんもこれが最後の出演作と仰ってるそうで、今後も監督作にはお目に掛かれるとしてもスクリーンに登場するのは見納めと思うと、アメリカ映画はかくあるべしってな生前の遺言にも思える教科書的な作品じゃねぇか。
　アメリカの放送コードは知らねども日本のＴＶだったらピーッが入りっぱなしになりそうな差別感のキツいジョークも映画ならではのタフガイの演出と思えば寅さんのタンカ売のような名調子になってるし、ぶっきらぼうでも根底には人間愛が溢れてるからこその正義感や自己犠牲ってのもアメリカンヒーローの定番だし、時代と共に人種の坩堝の様相は様変わりしてるとはいえ、基本的にはオーソドックスな西部劇の骨格こそアメリカ映画の基本なのかもしれねぇやな。
　実年齢の役柄だけにご本人の来歴や心境とのオーバーラップが感じられて寄る年波をヒシヒシと感じる当方としても身につまされる部分は多々あり、到底見果てぬ夢ながら最先端の超金満ＧＴＲでなく超アナクロな１９７２年スカイラインをピカピカに磨いて屋根も切らずペイントもせず羽根もつけずに死ぬまで乗り続けようかてな憧れを大いにかき立てられたぜ」

　
つれ：「中国資本が日本の水源地の森林を物色してるたぁいささか不気味だよねぇ」

ズレ：「木が目的で黄土高原のようなハゲ山になったり水が目的で西域の砂漠になったりしちゃ敵わないわな」

つれ：「民有林地の取引には制限がないとなりゃ、手が掛かる割にゃ収益につながらない山林が高く売れれば重畳てぇ山主さんも出てこないとも限らないしねぇ」

ズレ：「国破れて山河あり・木在るを以て貴しと為す・・てなもんで、林野庁を森林保護機関に改めて大々的に民有林の管理にも乗り出したらどうでぇ」

つれ：「今や国営造林も経営としては成り立ってないようだし、公金を注ぎ込んででも山林の荒廃を防ぐ方が正しく国家百年の大計かもねぇ」

ズレ：「今や淡水がビックビジネスになってるようだし、森林管理の請負と併せて水源も管理して余剰分を専売すりゃ利益だって上がりそうだぜ」

つれ：「現業だの専売公社だのと聞くと懐かしいけど、そっくり民営化されて外資が入りゃ元の木阿弥じゃないかぃ・・」

　
つれ：「韓国さんはまたアメリカの新聞に日本海でなく東海だてぇ大広告をブチかましたんだってさ」

ズレ：「中国さんはその東海で大陸棚の延長申請を出してるそうだぜ」

つれ：「ロシアさんも北方領土で妥協して経済協力を進めろと圧力を掛けにきたみたいだねぇ」

ズレ：「これでアメリカさんが太平洋から押してくるようなら正に四面楚歌ってもんさな」

つれ：「ノーと言える日本てぇフレーズは既に死語の類としても、日本もゴリゴリ自己主張しないことにゃ呑み込まれちまうんじゃないかぃ」

ズレ：「日本で国際化だ友好親善だてぇと外国追従や媚び諂いと同義になってたようだから、地方の巷にも外人さんが闊歩して十分に国際化も進展した以上は向後は日本化とか独立不羈とかを標榜すべきじゃねぇか」

つれ：「何やら明治維新の頃に戻ったような話だねぇ・・」