滋賀県が推進している「『幻の安土城』復元プロジェクト」に関し、三日月大造知事はこのほど、「令和の大調査」と銘打った特別史跡安土城跡調査・整備事業を今年度からスタートさせることを発表した。
↑写真:滋賀報知新聞より
安土城は戦国武将・織田信長の居城として知られているが、どのような姿だったのか、何故、信長は安土に築城したのかなど、いまだ解明されていない謎が多い。
滋賀県では、安土城の実像を解明し、目に見える形にすることで安土城の価値・魅力を発信し、滋賀県と地域の盛り上がりにつなげることを目的に、2019年度から同プロジェクトに取り組んでいる。
3月末、安土城跡の実態解明に向けた調査・研究、史跡としての特性や立地環境を踏まえた環境整備を進めるための全体計画となる「特別史跡安土城跡整備基本計画」が完成したことを受け、短期5年、中期10年、長期20年と設定した調査事業をスタートさせた。
同計画では、特別史跡安土城跡のうち、現在公開されている範囲を中心に以下の6つのゾーンを設定し、発掘調査などの事業を実施する。
(1)大手道周辺地区
(2)天主台周辺地区
(3)主郭部周辺地区
(4)旧そう見寺・百々橋道地区
(5)南面内堀・外堀地区
(6)搦手道地区
今年度はまず、秋ごろに(2)ゾーンで天主に伴う資料の発見を目指すとともに、天主台の整備に向け、整備実施計画の資料を得るため、天主台周辺(東~北側部分)の発掘調査に着手する。
天主が焼け落ちたと場所とされる同地区に本格的調査が入るのは今回が初となる。さらに崩壊の危険がある摠見寺跡の石垣について、防護措置としてネット養生などを行う。
定例記者会見で調査開始を紹介した三日月知事は「これからの時代につなげていくためにも調査を丁寧にやっていきたい。今回の調査が新しい発見につながればとワクワクしている」と期待を語った。
同事業では今後、有識者や所有者、国などとの検討会議の実施、昭和期の調査記録の整理と報告書の刊行、平成期の調査記録のデジタル化、城跡の修景・修復などを継続して実施していく予定。
また同プロジェクトで並行して進めている「デジタルによる安土城見える化」については、今年度中に実施設計を行うほか、当時の安土城の様子が描かれたとされる「安土山図屏風」などの探索事業を継続して行う。
更に2026年に予定している安土城築城450年祭へ向け、観光面や近江八幡市・地域との連携協議などの方向性検討も本格的に検討していく。
<滋賀報知新聞より>