災害時などに緊急的な選択肢の一つになり得る車中泊避難。一般的な車の車内をキャンピングカーのように快適に過ごせるようにする比較的安価な設備として、滋賀県愛荘町の自動車整備販売業「グッドサン」が、キャンピング内装キット「GSワゴン」と小型版の「GSワゴンショート」の販売を始めた。
「GSワゴン」は幅85cm、奥行き38cm、高さ93cmの直方体。くぼみや内部に5Lタンク2個、ポータブル電源、電子レンジ、ガスコンロを置ける。収納部分を引き出してポンプを設置し、ホースでタンクとつなげば給排水できる。重さは約30kgで、車内に載せやすいように上下に分割できる。
小型版(GSワゴンショート)は幅57cm、奥行き36cm、高さ41cmで、重さ約10kg。GSワゴンと比べて、電子レンジとタンク1個を収納するスペースが削られている。
谷口寿一社長は「世の中の改装キットは、主に住環境を整えるもの。食を充実できるこのキットと組み合わせて欲しい」と語る。
「グッドサン」の商品は地元のびわこ放送の「滋賀経済NOW」でも紹介されている。 https://www.youtube.com/watch?v=m96syqZ2WZc&t=35s
谷口社長は2003年、車の板金の塗装業で独立し、2008年に法人化した。新型コロナウイルス禍で板金の売り上げが激減した時、使う人の好みに合わせて作り替える車の外装カスタマイズと販売を開始。これが当たり、次第に内装カスタマイズも手がけるようになった。近年は、車中泊ができるように車内の後部座席を取り除き、床や壁面を整える改装キットも発売した。
2024年の元日に発生した能登半島地震の被災地の様子をテレビで見て、ペットがいるなどの要因で避難所に行けない人がいることを知った。寒い冬に被災してつらい状況で、冷めたおにぎりを食べていた。「せめて温めて食べられたら、心もほっこりするのでは」。これが開発のきっかけになった。数回の試作を経て、現在の形になった。購入した人が自力で加工できるよう木製になっている。いずれも受注生産する。
「GSワゴン」は税込み23万6500円、ショートは同17万9800円。
問い合わせ:
グッドサン
滋賀県愛知郡愛荘町中宿162−3
0749-29-1224
https://goodsun-group.co.jp/
<記事・写真: 中日新聞より>