第78回国民スポーツ大会「SAGA2024」で10月9日(水)、滋賀県勢はホッケー少年男子の「伊吹高」が決勝で鳥取県と引き分け、優勝を分け合った。
体を張った守りで危機救う けがを押して強行出場の谷沢選手
けがを押して全3試合にスタメン出場し、体を張った守りでチームの危機を何度も救ったDF「谷沢颯希(そうき)」選手(3年)。「今できる精いっぱいを出し切れた」と安堵の表情を浮かべた。
7月末にあった高校総体準決勝。相手の攻撃を果敢に止めにかかったところ、転倒して左親指の付け根を骨折した。全治2カ月強の大けがだった。8月初旬に手術を受けてリハビリに励んだものの、スティックを持てるようになったのは今大会の2週間前。痛みは完全に引かず、力強いショットが打てない状況で、半ば強行出場した。
それでも「対人の守りでは誰にも負けない」という言葉通り、けがを恐れない堅い守備力を発揮。この日も、相手の猛攻を飛びついて止める好守を随所で見せて、チームを支えた。「今大会の最優秀選手は谷沢。相手の攻撃の芽を何度も摘んでくれた」。北川幸生監督は最大の賛辞を送った。
「まずは試合に出られてよかった。単独優勝できなかった悔しさはあるが、やっぱり優勝はうれしい」と谷沢選手。笑顔と、首に提げられた金メダルがまぶしかった。
終了間際に同点、白熱の試合
手に汗握る、白熱の一戦だった。ホッケー少年男子で「伊吹高」が鳥取県との決勝で終了間際に追いつき、1-1で両者優勝。2022年の栃木国体以来、2年ぶりの栄冠に輝いた。
第1、2クオーター(Q)は、何度か好機をつくるも無得点。早く先制点を取りたかったが、第3Q、ペナルティーコーナーからこぼれ球を拾われ、逆に先制を許した。
伊吹に焦りが見え始めた第4Q。残り5分、パスを受けたFW北村逸希選手(3年)が土壇場でシュートを決めた。両チームとも相手の猛攻をしのぎ、互角の戦いを繰り広げた。北村選手は「焦っていたが決め切れてよかった。言葉では表せないぐらい、最高に気持ちよかった」と満面の笑みを見せた。FW真田晄希主将(同)は「とてもうれしい。最後まで力を振り絞って頑張れた」と達成感でいっぱいだった。
保護者ら声援 優勝を後押し
決勝には選手の保護者やきょうだい、少年女子で3位になった「伊吹高女子ホッケー部員」らが応援に駆けつけ、声援で優勝を後押しした。
観客席でスティック風船をたたいて応援歌を歌ったり、「焦らず落ち着いて」「ここ集中だよ」と声をかけたりして鼓舞。同点に追いつくと大きな歓声が上がり、駆け寄ってきた選手とハイタッチした。
試合後、女子ホッケー部の宮元緋未(ひみ)主将(3年)は「自分たちができなかった優勝をしてもらえてうれしい」。米原市の春照ホッケースポーツ少年団で主将を務める高橋青葉さんは「1点取られても諦めずにプレーしたから勝てた」と喜んでいた。
<記事・写真: 中日新聞より>