(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

裏返投より裏固

2024年12月27日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。


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裏返投より裏固とは、逆小手から裏固に連絡する技法を指します。逆小手は旧・科目表では5級が初出の龍華拳で、倒したらそのまま仰向けで前指固に固めていました。仰向けでは攻者に逃げられたり蹴られたりする危険があるので、本来は攻者を腹這いに制圧出来た方が有利です。その為の技法が裏返投より裏固になる訳です。3級科目として出てきておりました。腕十字からの立合掌固3級科目でしたので、茶帯ともなればいよいよSK拳士と呼んでもいいような技術をマスターしている、という事なのでしょうね。

意外な事に、裏返投げは教範では龍華拳の一項目、第一系9番として独立して記載されています。もっとも教範でも「連絡技」と明記されており、第一系(逆小手系)12技の中では唯一逆を取って投げる立ち技ではありません。

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基本的な事を言えば、逆小手で攻者が倒れる際に腰の側面が地面に着いた瞬間に、そこを独楽の芯棒(軸)に見立てて水平回転に攻者を回し、そこから<作り>の部分を、投げる時とは逆回転に捻る事で送小手の原理で攻者の肩を送って腹這いにする、という技法です。

一旦会得すると面白いように攻者の身体を回せるので、3級科目で柔法の面白さを再確認してもらうのに最適な技術です。また繰り返す事で、自然に我の体重位置取り(足捌き)を用いる事を覚えますので、どうしても動きが小さい拳士を「素人」から脱皮させるのにも良い科目だと思います。

それでも中々出来ない拳士もおりまして、多いのは綱引きのように倒れた攻者を引っ張って回転させようとするパターンです。倒れる一瞬に、適切な方向に適切な体勢で力を加えればそんなに力は要らないのです。まず原理を理解してもらうのに、お互い正座で行なう方法が良いと思います。利点は少ない労力で復位し素早く繰り返せる事でして、左右両方徹底的に繰り返す事により、左右両方で技を理解するという本来やるべき修練もできます(取り敢えず左右どちらかだけ教えればいいんだ、というやっつけ指導者が結構いるのでいつも苦労しています…)。

現行で行なわれている裏返投とは、地面に対し平行な円運動、即ち水平回転が最も力を要しないので、勿論それが身につくように繰り返す訳ですが、実は「本当の裏返投はそうではないのでは」と私自身は思っています。
これは(現在の)基本では無いので詳説はしませんが、その前提として開祖の逆小手が現行の逆小手ではない(!)という事があります。現行の逆小手も開祖の頃から指導されてきた形ですし、それで充分有効だと私も思っているのですが、私は広く行なわれている逆小手は、逆小手<倒し>ではないかと思っているのです。逆小手には、本当は逆小手<投げ>もあると思っています。
諸手巻小手では投げている方も多いと思いますが、逆小手では別に投げる必要も無いので殆どの拳士は、先生も含めて投げておりません(森先生位ではないでしょうか…)。しかし教範の写真を見れば一目瞭然ですが、開祖は逆小手でも投げています。私自身は、…技術能力的な理由で投げておりません(号泣)。

逆小手<投げ>からの裏返投げは、投げが接地する直前の体捌きと<作り>の円回転によってクルリと腹這いにするのだと思います。これは本部制作のDVDで、川島前会長がされていたように思います。

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龍華拳に編成されている裏返投げですが、本部の井上先生は修練に積極的に取り入れようとなされています。つまり逆小手以外の場面でも、仰向けの相手を腹這いにする技法として応用可能なようなので、チャンスがあったらトライしてみては如何でしょうか。
合気道や他流の護身術でも肘関節を攻めながら裏返す技法が幾つかあるようですが、無理をすると相手を傷める事になります。天秤を用いるのは要研究ですが、自然に返せるようにしたいものです。

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続けて行なう裏固ですが、私は有段者になってかなり長い間、裏固=逆小手系の固めというイメージを持っていましたが、旧・2級科目では両手送小手より送横天秤として、横天秤で引き倒して裏固が出てきています。裏返投で逆回転に返す際に掛け手を逆小手系から送小手系に持ち替えてますので、裏固は本来は送小手系の固めなのですよね。
送小手を行なうと送り固をしたり、巻天秤をしたり、肘攻でもS字に固めたりして中々横天秤から腹這いにして裏固をしません(面倒臭いので…)が、本当は必要な修練だと思います。

単独演武の龍の形でも固めは裏固ですが、どうにもおかしな裏固をよくみます。
膝は後ろ三枚(何れにしても横隔膜を制限する)を押さえます。掛け手でない方は、丁字手で肩関節を押さえます。掛け手は大拳頭を肩方向に極めます。それぞれが仕事をしている筈なのに、みな平行に同じ方向を攻めているおかしな拳士をよく見かけます。
それぞれの位置と攻める方向を確認して下さい。

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