今年、三菱は復活する。
昨年、三菱自動車は、燃費数値の偽装問題で存亡の危機に追い込まれながらも、日産のカルロス ゴーンと言う「スター」に拾われ、命拾いした事が(三菱復活に向けた)最大の要因だが、それだけではあるまい。「意地でもまた檜舞台へ立つ」と言う不退転の決意が社員に宿ったからであろう。リコール隠しに揺れた過去は、身内である三菱グループが総力を挙げて支えた。だが、それは「ぬるま湯体質」を温存してしまい「腐り切った病巣」を摘出するまでには至らなかった。今回の日産の支援の中では、あらゆる分野にゴーン氏の意を受けた「メス」が振るわれた。サプライヤーにしても同様に「新たなアライアンスに見合わない」と見なされれば、日産の再建の際と同じく「バッサリ」と切られる運命となった。これは推測の域を出ないが「NMKV」を設立した当初から、日産側は三菱の「ぬるま湯体質」と「腐り切った病巣」について、少なからず苛立ちを覚えていたはずだ。度重なるリコールでメンツを潰され続けたのは「日産の販売現場」だったからだ。電光石火の判断で、ゴーン氏は三菱の傘下入りと再建を決めたが、「再建の柱」たる人は出しても、実際の「再建を担う」のは、三菱の社員の双肩に委ねた。無論、何かあれば必要な支援は惜しむはずはないが、自らの力で「再度、檜舞台へ立たせる」と言う「荒療治」は、確実に三菱社内に広がり風向きを変えつつある。元々は「バス・トラックから軽自動車まで」を網羅していた会社である。基幹技術の蓄積も実績もある。低迷から抜け出す「鍵」さえ与えれば、復活はそう遠くない未来に訪れるはず。プラットフォームや部材を共通化すれば、コストは自然と削減され、既存の技術に加えて「眠っていた技術」をも呼び起せば、新生三菱車は「新たな需要を掘り起こす」くらいの力を持って生まれてくるだろう。
ゴーン氏は、なぜ三菱に手を差し伸べたのか?
ゴーン氏には「大いなる野望」がある。「世界トップ3への飛躍」である。ルノー・日産・三菱連合の生産台数は、現在世界4位である。あと一息で「VW」「トヨタ」「GM」に肉薄できる。彼の悲願は言うまでもなく「世界一」だが、目下の目標は「GM」を追い抜いて、3位に入る事だ。そのためには、規模の拡大は「必須条件」であり、世界各国でまんべんなく生産・販売する体制を敷く必要がある。これまで、東南アジア・オセアニア地域は「唯一の空白地帯」であり、日産も苦戦を強いられている「最終開拓戦域」だった。三菱は、この「唯一の空白地帯」で圧倒的な強みを有しており、傘下に収めることで空白地帯を解消する事が出来る。三菱の勢力と「ダットサン」ブランドの日産の力を合わせれば他社とも互角に渡り合える構図になる。一方、日本国内に目を向けると、軽自動車が販売の柱の一角になり、安定した車両の供給と新車開発が急務である。これまでは、スズキからも供給を受けてきたが「鈴木ご老公の意向に左右されない体制」にしなくては、シェアの拡大も望めない。日産自前で投資をするのにはリスクが大きいが、三菱を傘下に収めてしまえば、口も出しやすいし投資も最小限で抑えられる。海外でも三菱にOEM供給をすれば(例えば北米で電気自動車「リーフ」をOEM供給)シェアの拡大・拡販に弾みが付く。三菱は軽自動車で電気自動車を販売していた実績もあるので、こちらにも「新たな展開」が望める。三菱の傘下入り決定は、国内外共に「盤石の体制」を労せずして手に入れられる絶好の機会だったのである。残る問題は、フランス政府が保有しているルノーの株式をどうするか?とPSA(プジョー・シトロエンオートモビルズ)をどうするか?であろう。欧州では、ルノーもPSAも苦戦を強いられており、とりわけPSAの行方が懸念されている。同じフランスの会社であるPSAを傘下に収める事は、ゴーン氏にとっても夢であり世界戦略の構図の中には描かれているシナリオであろう。日仏連合艦隊で世界市場に打って出る。PSAを傘下に収めた時には、確実にトップ3は射程圏内だ。ゴーン氏の夢は案外「現実化」するのは早いかも知れない。
昨年、三菱自動車は、燃費数値の偽装問題で存亡の危機に追い込まれながらも、日産のカルロス ゴーンと言う「スター」に拾われ、命拾いした事が(三菱復活に向けた)最大の要因だが、それだけではあるまい。「意地でもまた檜舞台へ立つ」と言う不退転の決意が社員に宿ったからであろう。リコール隠しに揺れた過去は、身内である三菱グループが総力を挙げて支えた。だが、それは「ぬるま湯体質」を温存してしまい「腐り切った病巣」を摘出するまでには至らなかった。今回の日産の支援の中では、あらゆる分野にゴーン氏の意を受けた「メス」が振るわれた。サプライヤーにしても同様に「新たなアライアンスに見合わない」と見なされれば、日産の再建の際と同じく「バッサリ」と切られる運命となった。これは推測の域を出ないが「NMKV」を設立した当初から、日産側は三菱の「ぬるま湯体質」と「腐り切った病巣」について、少なからず苛立ちを覚えていたはずだ。度重なるリコールでメンツを潰され続けたのは「日産の販売現場」だったからだ。電光石火の判断で、ゴーン氏は三菱の傘下入りと再建を決めたが、「再建の柱」たる人は出しても、実際の「再建を担う」のは、三菱の社員の双肩に委ねた。無論、何かあれば必要な支援は惜しむはずはないが、自らの力で「再度、檜舞台へ立たせる」と言う「荒療治」は、確実に三菱社内に広がり風向きを変えつつある。元々は「バス・トラックから軽自動車まで」を網羅していた会社である。基幹技術の蓄積も実績もある。低迷から抜け出す「鍵」さえ与えれば、復活はそう遠くない未来に訪れるはず。プラットフォームや部材を共通化すれば、コストは自然と削減され、既存の技術に加えて「眠っていた技術」をも呼び起せば、新生三菱車は「新たな需要を掘り起こす」くらいの力を持って生まれてくるだろう。
ゴーン氏は、なぜ三菱に手を差し伸べたのか?
ゴーン氏には「大いなる野望」がある。「世界トップ3への飛躍」である。ルノー・日産・三菱連合の生産台数は、現在世界4位である。あと一息で「VW」「トヨタ」「GM」に肉薄できる。彼の悲願は言うまでもなく「世界一」だが、目下の目標は「GM」を追い抜いて、3位に入る事だ。そのためには、規模の拡大は「必須条件」であり、世界各国でまんべんなく生産・販売する体制を敷く必要がある。これまで、東南アジア・オセアニア地域は「唯一の空白地帯」であり、日産も苦戦を強いられている「最終開拓戦域」だった。三菱は、この「唯一の空白地帯」で圧倒的な強みを有しており、傘下に収めることで空白地帯を解消する事が出来る。三菱の勢力と「ダットサン」ブランドの日産の力を合わせれば他社とも互角に渡り合える構図になる。一方、日本国内に目を向けると、軽自動車が販売の柱の一角になり、安定した車両の供給と新車開発が急務である。これまでは、スズキからも供給を受けてきたが「鈴木ご老公の意向に左右されない体制」にしなくては、シェアの拡大も望めない。日産自前で投資をするのにはリスクが大きいが、三菱を傘下に収めてしまえば、口も出しやすいし投資も最小限で抑えられる。海外でも三菱にOEM供給をすれば(例えば北米で電気自動車「リーフ」をOEM供給)シェアの拡大・拡販に弾みが付く。三菱は軽自動車で電気自動車を販売していた実績もあるので、こちらにも「新たな展開」が望める。三菱の傘下入り決定は、国内外共に「盤石の体制」を労せずして手に入れられる絶好の機会だったのである。残る問題は、フランス政府が保有しているルノーの株式をどうするか?とPSA(プジョー・シトロエンオートモビルズ)をどうするか?であろう。欧州では、ルノーもPSAも苦戦を強いられており、とりわけPSAの行方が懸念されている。同じフランスの会社であるPSAを傘下に収める事は、ゴーン氏にとっても夢であり世界戦略の構図の中には描かれているシナリオであろう。日仏連合艦隊で世界市場に打って出る。PSAを傘下に収めた時には、確実にトップ3は射程圏内だ。ゴーン氏の夢は案外「現実化」するのは早いかも知れない。