limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

差別の国日本

2017年02月11日 22時40分15秒 | 日記
企業は社員を追い詰め、社員は追い詰められ「心を病む」。企業はこうした社員に対して「私傷病」と言うレッテルを貼り付けて「労災」を認めない。休職中も早ければ半年経過した時点で「自主退職」の勧告を突き付ける。拒めば、正当な理由だとして「解雇」に踏み切る。在職中に「落命」すれば、止む無く「労災認定」に応ずるが、こうした例は稀も稀で9割近くの「心を病んだ社員」は泣き寝入りするしかない。昔から「ブラック企業」でなくともごくごく当たり前に、こうした事は起きているのだ。「心を病んだ社員」達が何故企業を提訴しないのか?答えは簡単。金銭的な問題と「勝訴」する見込みを天秤に架ければ、どちらも答えは「NG」と出るからだ。企業に就いている弁護士に匹敵する弁護士を雇ったとしても、勝てなくては金銭的に苦しい自身の首を更に絞めてしまう。支援してくれる人は誰も居ない。故に「人生の敗者」として、社会の底辺で生きていくしかなくなる。私も同じ道を歩いている。だから、精神障害者を「人として認めない」企業の姿勢には猛烈に腹が立つ。私は「精神障害者2級」に認定されているが、障害認定を受けて会社に復帰しても、夜勤や長時間残業も平然と命ぜられた。「障害者」としての配慮など欠片も無く「誰もがやっている事が出来ないのはおかしい」とか「通院なんて理由になるか!?」と恫喝されたものだ。最終的には「社業に貢献しうる力がない」「病気の完治が見込めない」との理由で退職を迫られた。この先も「障害者」として何の配慮も無いのなら、しがみ付く理由など無かった。あれからもう何年経過しただろう。どこの企業の扉を叩いても「障害を理由にして」面接すらしてもらえない。「障害者求人」では、最低賃金で過酷な労働を強いられ、金銭的に困窮した。来年からは「精神障害者」も雇用をする義務が企業に課せられるが、今まで「障害者」を生み出しただけの企業に、「障害者を雇用しなさい」と国が命じても、雇用情勢は変わらないし理解も進まないだろう。企業が欲しがっているのは「身体」や「知的」の障害者。ニーズがあるとは思えない。国や厚生労働省は「この法律で障害者雇用は改善する」と信じて疑わないが、精神障害者について「何も学習していない」企業がどれくらいあり、都市部と地方では支援組織の有無などで、雇用情勢はまるで違う事を認識してはいない。罰則でもあれば別だが、精神障害者を雇用しなくとも罰せられないとなれば、採用の検討すらしない企業が半数、いや8割を超えるのは間違いない。「仏作って魂入れず」の法律では、私達障害者は救済される事は「永久に無い」し、賃金面でも「差別」されることも「撲滅されはしない」。働いても働いても正社員とは「差別される」だけなのだ。日本と言う国は、障害者と言うか「ハンディを持った国民」に対してあまりにも「無策」である。「平等」とは何か?男女・障害の両方で今もって「差別」が平然と横行している先進国は日本だけだ。女性管理職や議員や首長が少なく、障害者でも社会で活躍できるのに「活躍の場」を用意していない国は日本だけだ。こんな国の「無策」は誰の責任だろう?塩崎厚労相、安倍首相、各国務大臣閣下、
責任とれよ!!!!!!!!!!!!
障害者の雇用実態について真剣に考えろよ!!
差別やめろよ!!!!!!!!!!!!!

責任をとれよ 安倍 塩崎

2017年02月11日 18時19分06秒 | 日記
まずは下記の記事を頂きたい。4年前の記事ではあるが・・・。その上で言いたい。

「企業は精神障害者を受け入れる準備を」
2018年より雇用が義務化、企業に必要な心構えと体制とは  2013.12.11(水)

厚生労働省の統計によると、2013(平成24)年の雇用障害者数および実雇用率は、ともに過去最高を更新した。 しかし今年から2.0%に上がった法定雇用率(昨年までは1.8%)を達成した企業の割合は46.8%。5割を下回る結果となっている。 さらに2018年4月からは障害者手帳を持つ精神障害者の雇用が義務づけられている。障害者支援が進んだ形だが、一方で、精神障害者の雇用は容易ではないという現実もある。障害者雇用の内訳を見ると、身体障害者が約76%、知的障害者が約20%であるのに対し、精神障害者は約4%と大きく差が開いている。 (「精神障害者」とは、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」を指す。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」より) 企業は今後、どのような形で精神障害者の雇用を実現していけばよいのだろうか。
<「精神障害者」という言葉がハードルになっている>
 企業が雇用した精神障害者の定着率は49%と言われている(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構調べ)。そのような中、就業したスタッフの勤務6カ月時点での定着率が92%という高い実績を残しているのが、精神障害者の就労支援に特化したサービス「アビリティスタッフィング」。障害特性をオープンにして障害者雇用枠で「働きたい」意欲のある精神障害者に雇用先を紹介するマッチングサービスである。リクルートにて同事業を担当する専門家は、精神障害者の就業がなかなか増えない理由をこう考えている。 「やはり『精神障害者』という名前が与えるネガティブなイメージが強いですね。いろいろな企業の担当者様と話していて思うのは、多くの方が精神障害者の雇用に対して漠然とした不安を持っていること。ただそれは、『分からないゆえの不安』がほとんどで、きちんとその人について理解を深めてもらえば、決して雇用することは難しくありません。そのような、現実との意識のギャップがあるんです」さらに、就労を希望する精神障害者が抱える「不安」も、現在の状況が生まれている要因だと語る「求職者の方自身も非常に不安を抱えているんですね。同じ悩みを持つ方が働く姿をあまり見ていないからこそ、自分自身がチャレンジすることに不安を感じているんです。このような本人の不安を取り除いてあげることも、精神障害者の就労において大切だと思います」
<障害をきちんと把握し、できる仕事を見極める>
 雇用する側と求職する側がそれぞれ抱く不安。では、それを取り除き、精神障害者が働ける環境を作るためにはどのようなことが必要なのだろうか。 「働くというのは、必ずしも正社員でバリバリ・・・という形だけではありません。ですから、精神障害者の方が『何ができるか』『どこまでならできるか』を見極め、企業側が無理のない適切な配置をしていくことが大切です。重要なのは、採用する側が精神障害を持つ方の強みと弱みを把握し、それを社内で共有して適材適所のポストを用意することです」 とはいえ、企業が精神障害者の性格や能力を適切に把握するのは簡単ではない。そこでアビリティスタッフィングでは、企業と求職者を引き合わせる前の段階で、まず精神障害者の方が自分の経歴や希望、もっと言えば「できること/できないこと」、あるいは障害の特性を明確にまとめていく機会を設けている。その後に企業と求職者の事前面接を行って、お互いの理解を深めていく。そこにはスタッフも同席し、お互いの情報を引き出すという。このような前段階を踏むことで、企業にとっても求職者にとっても、適切なポジションでの雇用をしやすくなる。
<精神障障害者の雇用に欠かせない「事後フォロー」>
 雇用した人を「定着」させることも当然ながら重要。そのためには相手の特性を理解し、無理のない配置を行うのも必須だが、同様に「事後フォロー」も欠かせないと専門家は話す。 「新しい環境に入ってストレスが溜まってきた時に、ケアできるかどうかが大きなポイント。たとえば厚労省のデータでいうと、就業後のフォローがあるかどうかで定着率が大きく変わってきます。本人はどうしても『頑張ろう』と力が入っていますから、ストレスを見せないケースも出てくるはず。そんな時、冷静にケアできる方を企業が導入できていると、定着率は上がってくるはずです」 アビリティスタッフィングの場合は、就業後のスタッフの状況を定期的に精神保健福祉士がヒアリングしているという。就労者のコンディションを確かめるだけではなく、企業の担当者にも何か困っている事はないかを都度確認している。そのような事後フォローが、精神障害者の就労には重要となるようだ。 冒頭の92%という高い定着率は、このようなフォローがあってこその数字と考えてよいだろう。また、一度採用した企業のリピート率も46%となっている。 もちろん、上述のような事後フォローを各企業が独自に行うのはそう簡単ではない。しかし、精神障害者の雇用を考える上で、このような手立てがカギになることは覚えておくべきだろう。
<急いで雇用率を上げることより丁寧に進めることが必要>
 2018年に向け、精神障害者の雇用に対する機運は高まってくることが予想される。企業もCSR(Corporate Social Responsibility: 企業の社会的責任)意識が高まる中で、雇用率を上げようと正面から取り組む動きも増えるだろう。ただその中で、急いで数を増やすことに意識を向けすぎるのも良くないようだ。 「今までマッチングを行ってきた中で、一度採用したけれども上手くいかなかった企業が再度チャレンジするケースは非常に少ないんですね。ですから精神障害者の雇用については、急いで数を追いすぎず、とにかく丁寧に進めていくことが重要だと思います。あくまで企業と障害者の方のニーズを汲み取ることが最優先。まずは丁寧に裾野を広げていくことが先々の雇用創出につながると考えています」 まずは求職者の障害特性を理解し、それに応じた雇用制度や配置を柔軟に行うこと。そして、就業後のフォロー体制を確立すること。精神障害者の雇用を行う上では、これらに一つひとつ丁寧に対応していくことが不可欠だ。雇用率が取り沙汰される部分はあるが、しばらくは着実に進めることを優先すべきなのかもしれない。専門家が就業後のスタッフの様子を採用企業に聞くと、採用の前は「マネジメントが難しいのでは」「きちんと働けるか不安」といった懸念を抱いていた企業も、採用後は「問題なく働いてくれています」と返答するという。 ハンディを持ちながらも、1人の従業員として普通に働いている職場。そのような例が今後さらに増えるよう、今後様々な機関の努力が必要だろう。
この記事から4年が経過した現在、何かが変わったのか?と問われれば「何も変わっていない」と答えるのが正しい。企業側の意識は何も変わらず、「精神障害者」というだけで面接すらせずに「採用却下」の通知を送り付ける会社が大半だ。障害者側も企業側も共に「学び・理解し・支え合う」なんてのは浅はかな「幻想」に過ぎない。私の居住する地域を管轄するハローワークで、障害者求人を検索すれば、現実はすぐにわかる。時給850円。良くても1200円からのスタートが一般的で、正社員の求人など皆無に等しい。みんな「パート」か「非正規」ばかりだ。私も何度も苦渋を強いられ、辱められた。運よく「面接」に漕ぎつけても会社側の対応は、冷淡そのもの。「病気についての知識がないので、対応が分からない」2018年からの採用義務付けに向けて「何も学習していない」会社のなんと多い事か!!都市部には、上記記事に記されたコンサルティングを行ってくれる会社もあるようだが、地方は「全て自前の開拓」しかないのだ。いくら懸命に説明しても、理解できなければ「不採用」を突き付けておしまいである。昨年3月に職を失ってから丸1年。あらゆる手段で努力をしたが、結果は「今もって失業中」である。誰も助けてくれない。誰も手を差し伸べてくれない。誰も振り向きもしない。それでも、家族の為に必死に活動したが、結果は「大惨敗」。「2018年度からの採用義務付け」「1億総活躍社会の実現」と言うセリフが何と空しく響く事か。最後に言っておくとすれば、
「就活支援なんてなにもねぇじゃねぇか!! 安倍・塩崎!!責任とれよ!!!」
である。企業に対しては何も言うことは無い。何も学ばなかった企業の体質は、これからも永遠にかわることはないだろう。
「人は人に傷つけられ、結局人に救われる」
誰も救ってくれないなら、日本は「亡国」だ。外面だけはいい顔するけれどね。

推測航法

2017年02月11日 00時58分52秒 | 日記
今まで、アメリカの新政権の「政策」について、専門家の方々や学者さん達が分析して「これからの対日政策や経済政策」について語る場合には、総統(旧大統領、)議会、各圧力団体、世論、各シンクタンクなど様々な要因を総合的に判断して一定の結論を出したり、見通しを示したり出来るのが常だった。そしてその見通しが例えはずれたとしても、大体は想定の範囲内に収まった。それは他の主要な先進国でも同様であった。しかしジョーカー政権下のアメリカ帝国においては、「金正恩の北朝鮮」「プーチンのロシア」において、それぞれの国の政策を予想するような様相を帯びてきた。つまり、指導者が何を考えて何をしようとしているのか、当人の頭と心の中を読むことが極めて重要性をもつようになったし、難しくなったということである。つまりは、ブラックボックスを解読するが如く手探りで解明するようになった。だからこそ、ジョーカー政権はその船出から不確実性をもち、外部からの予測が極めて難しくなったことになる。もちろんアメリカ帝国は北朝鮮やロシアと政治機構は違うし、社会の成熟度も高い。北朝鮮やロシアとは違って、より豊富で質の高い情報も報道されている。ただし、総統と親衛隊は既存のメディアに対して強烈な「不信感」を持ち、攻撃を繰り替えしている。だが、時としてメディアを狡猾な手段で利用する事もある。ツイッターなどのSNSで情報を拡散させると言う「新手」の戦略も取っている。上下両院で共和党が過半数を占めているといっても、党内は必ずしも一枚岩ではない。しかし総統の頭と胸の内は当人以外わからない。その意味での不確実性は北朝鮮やロシアに近いものがあると言える。
アメリカ帝国のメディアには、以下のような記事が載っている。
<ジョーカー総統の大きな政府に対して共和党は小さな政府、自由貿易に介入する総統に対して共和党は自由主義。共和党は伝統的信条に反する総統のやり方に反旗を翻すかもしれない>
ジョーカー総統の経済政策の柱は「bigly(ジョーカー流でbigの造語)政府」。与党・共和党の伝統的信条「小さな政府」と正面から衝突する。政治経験のない総統の強引で衝動的な経済政策に対して、政府の過剰な関与を否定する共和党議員はカンカン。党内の亀裂は既に明らかだ。総統と共和党が選挙に勝利してから市場は成長期待で上昇してきたが、経済政策をめぐる与党内の対立が足かせとなり、政治が停滞する恐れが出てきた。「不動産王」から総統へ転身するジョーカーはつい先日も、米自動車大手フォード・モーターがメキシコ工場の新設を撤回し、米ミシガン州の既存工場を維持することにしたのを自分の「手柄」にした。同社のマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)が、米大統領選の前から決めていたことだと明かしてもお構いなしだ。空調機器メーカーのキヤリアが国内に留まったのも、巨額の税優遇措置を提供したからだ。
実際問題、上院での閣僚人事の評決において、「造反」に踏み切った共和党議員がいるし、18項目の「総統命令」に関しても、議会での承認が必要になった場合に「造反」が起こる可能性は否定できない。更に記事を読んでいくと、
共和党とは水と油
米経済に有益な自由貿易に反対し、保護主義に舵を切るぞと脅し続ける総統は、経済に対する政府の関与を強め、マクロ経済政策にもビジネス的な取引手法を持ち込む構え。伝統的に小さな政府と自由貿易を掲げてきた共和党は、ジョーカー政権下でどう折り合いをつけるのだろうか。伝統的な保守派の共和党議員は、総統の選挙戦中の言動だけでなく、新政権の布陣に疑いの目を向け、総統が掲げたいくつかの政策目標に大きな不安を抱いてきた。総統に大した権限はないが、連邦議会選で共和党を勝利に導いたという建前があるため、議員側は口を挟めなかった。だが、政権交代で総統と上下両院の過半数を共和党が掌握すれば、反ジョーカー派が頭角を現し、公然と反対を主張し始める可能性がある。
つまるところ、いずれ与党と政権・親衛隊との間で摩擦が強まり、議会さえも言う事を聞かなくなる恐れがあると言う事になる。そうなると真に足るものは「親衛隊」と言う事になるが、側近として配置したメンバーを見ると、実際問題「宦官」や「外戚」や「身内」の多さに目を回す。
記事を読み進めよう。
総統がこれまでに指名した政権トップの顔触れは、選挙戦で声高に叫んできた自由貿易反対の主張が、単なるリップサービスでなかったことを示している。とりわけ、新設する大統領直属の国家通商会議(NTC)のトップに、著書『中国による死』をはじめ中国の政策を強く批判するピーター・ナバロ米カリフォルニア大教授のような人物を起用したため、TPP(環太平洋連携協定)など国際的な貿易の枠組みを築くどころではなくなった。外交・安全保障を担うポストでいえば、国家安全保障担当補佐官がそれにあたり、ジョーカー政権においてはマイケル・フリン氏がその任にあたる。同氏はオバマ政権で国防情報局長に就任したものの、わずか2年で退任。そこから反オバマ派に転じ、多くの安全保障関連の主流派の専門家たちが総統に背を向ける中で、いち早く総統支持を打ち出した。今回、国家安全保障担当補佐官の座を射止めたもの、その功績からである。ところが、国防長官のマティス氏が多くの軍人から最高の敬意をもって迎えられたのに対して、フリン氏の人物像には疑問符をつける声が少なからずある。オバマ政権を2年で退任を余儀なくされたのも、不穏当な発言を繰り返したからである。ならばマティス氏が政権で主導権を握りそうなものだが、ここはジョーカー政権である。前述したように、自分中心の総統は、自分に近い人物の声を重視する。米総統ならずとも世の権力とは基本的にそのようなものだが、総統のこれまでの行動を見てみるとその傾向が非常に強い。したがってこの政権においては、先ごろ上席顧問として加わった娘婿のジェレッド・クシュナー氏が実質的なナンバーツーとなり、副大統領のマイク・ペンス氏、首席補佐官のラインス・プリーバス氏、戦略担当官兼上級顧問のスティーブ・バノン氏のトロイカが、その次に位置する存在になると推測される。そんな身内・側近政治だから、外交・安全保障も、結局のところ以前から近しい関係を打ち立てていたフリン氏になるのではないかとも思われるのである。だとすると、日本は国務・国防長官が言及した「同盟重視」という前提で楽観することはできない(フリン氏は昨年来日した際に、日米同盟には肯定的だったと言われるが)。そしてニクソン政権が行ったようなホワイトハウスにおける側近政治ということになれば、国務省・国防総省主体のそれよりも、その方針は非常に見えづらくなる。
すなわち、側近に「人を得ない」と言う事は「専制独裁政治」へ傾斜していっても「誰も止めない」と言う最悪の結果すらもたらし兼ねない「最悪のパターン」を考慮せねばならない事になる。そうした兆候は「簒奪演説」で既に現れていた。思い出してみよう。
1月20日の簒奪演説は大きな落胆に終始した。演説で総統は、選挙戦のように常軌を逸した発言をするのではなく、現実的な状況を踏まえた上で、壮麗な言葉で理想を語るのかと思われた。選挙戦争の「終結」を宣言し、「分断」された帝国国民に対して融和と団結を呼びかける内容が盛り込まれるのではとの期待もあった。だが17分弱の演説では「アメリカ・ファースト」を繰り返し、今のアメリカがいかに外国からダメージを与えられているかを説き、自分こそがアメリカを強くする指導者であると豪語した。そして選挙期間中のキャッチフレーズであるお決まりの “Make America great again!” で締めくくった。本来、就任演説とは選挙演説と一線を画し明るく前向きの姿勢を示すものだが、今回は「簒奪演説」である。最初から最後まで、暗く、ネガティブに、そして怒りに満ちた選挙演説と変わらない演説だった。もちろんそこには、アメリカがこれまで戦後長く掲げてきた「民主主義」や「自由」「人権」などといった言葉はなく、「アメリカ」だけが躍った。 つまり、選挙中のジョーカーのスタンスは、総統となっても何ら変わらないということである。ジョーカー政権はまさしく「総統自身の政権」であるということを認識しておかなければならないのだ。故にツイッターでの「艦砲射撃」も、イバンカ ブランドに関する「公私混同」もお構いなしなのである。アメリカの総統は行政府で図抜けて権力をもち、長官はそれに従う存在にしか過ぎない。その上で、総統はこれまでの総統の中で、最も自分中心の指導者である。もちろん、実際に総統に会った安倍首相が言うように「人の話を聞く人」という側面もあるが、基本的に「自分」の考えを極めて大事にし最優先にする。したがって、そんな中での国務長官のティラーソン氏や国防長官のマティス氏の裁量は残念ながら限定的であると言わなくてはならない。さらに、アメリカの政権内の二重構造制を思い出しておく必要もある。それは閣僚と、一般に「補佐官」という名称で知られるホワイトハウス・スタッフとの関係だ。補佐官たちは閣僚と同様か、時に閣僚以上に力をもつ。またこの役職は議会で承認を得る必要もないし、政策について証言することもない。したがって、外部からみれば政策の状況はみえにくい一方で、政権側にとっては使い勝手がいい。「宦官」や「外戚」更には「身内」を登用しても与党も議会も何も言えないのだ。では、共和党は何も言えない「ガキの使い」にしかならないのか?と言うとそうでもない。多少なりとも「抵抗」する余地はありそうだ。
再び記事に戻ろう。
総統の政策で鍵となる公共投資も、共和党に阻まれそうだ。共和党はバラク・オバマ大統領による同様の計画に頑なに反対した経緯がある。同じ共和党から選出された総統が提示する事業なら、よりオープンな姿勢を見せる可能性はある。だが総統の側近と共和党の間に大きな溝があることを考えれば、政策で双方の妥協点を見つけるのは至難の業だ「総統の財政支出に公共投資が含まれても、舞い上がらないことだ」と、米マサチューセッツ工科大学の教授でIMFの元チーフエコノミスト、サイモン・ジョンソンは指摘する。「公共事業は(議会上院の共和党トップ)ミッチ・マコネル院内総務にとって優先事項ではなさそうだ。下院の共和党議員にしても、公共投資を支持するには、社会保障費(低所得者向けの公的保険であるメディケイドや高齢者向けのメディケアなど)の削減が条件になる」。しかし総統が削減をのめば、これらの制度はそのまま維持することを目玉の一つに掲げた総統自身の選挙公約に反することになる。リスクは他にもある。総統は企業を名指しで脅すことで経営判断に介入し、次期総統に選ばれてからも自分の会社の所有者や経営者から退くことに抵抗を示すなど、前例のない振る舞いを見せてきた。公共事業で大規模な不動産開発を行っても、総統のビジネス仲間とグルと疑われたりして、国民の反発を買いかねない。 一方、税制や規制については下院共和党とより意見が合いそうだ。総統も下院共和党も、税率を下げ規制を緩和したいと思っている。問題は、金持ち減税が景気を刺激し、いずれは低所得層にも恩恵が及ぶという「トリクルダウン効果」が今や怪しくなっていることだ。現実には、金持ち優遇は高所得者への富の集中を加速しただけだった。法人税改革は超党派の支持を得ている。もし税制を簡素化して徴税を強化できるなら望ましいが、今のところ話はその方向には向かっていない。共和党がどこまで総統を正道に戻せるかが問われている。
連邦議会の責任は重いと言わざるを得ないということだ。総統はもはや「巨大な火の車」である。その行方を左右するには、是々非々ではなく明確な立場・立ち位置が求められる。時には「大量造反」で暴走に歯止めをかける役割を果たさなくてはなるまい。議会の責務は重大になる。一方、入国禁止令の差し止め問題では、司法が総統を止めると言う「法治国家としての根幹と信念」を見せている。総統は「法廷で待っている」と自信タップリだが、総統と言えども「憲法」は超えられない。次なる「一手」次第では、更に苦境に立たされる運命なのかもしれない。だが、はっきりした事は、「ジョーカー総統のアメリカ帝国」においては、「金正恩の北朝鮮」「プーチンのロシア」と同じように、政策面でも経済対策でも推測航法をやるしかないということだ。それこそが2017年の世界における「ジョーカー総統のアメリカ帝国」のもつ大きな不確実性なのだ。