limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

New Mr DB ②

2018年11月29日 12時56分26秒 | 日記
覚醒には猛烈な吐き気と頭痛が伴った。意識を取り戻しつつあったDBは、いつ収まるとも知れない吐き気と頭痛に悶え苦しんだ。“ドクター”が調合した睡眠薬は、副作用は一切考慮せず持続時間のみを最優先としたからだった。虚ろに開かれたDBの目にはボヤケタ世界が広がっていた。「眼鏡は・・・、どこだ?」ベッドの周囲を手あたり次第に探るが、眼鏡は何処にもなかった。どの位時間が経過したかも分からず、副作用と戦ったDBは次第に意識を取り戻した。おぼろげながらにも見えてきたのは、恐ろしく高い天井と正面に広がる黒い壁。他の3面はコンクリートが剥き出しだった。恐る恐る触れて見ると、僅かに暖かい。地下空間である事は分かりつつあった。ベッドから起き上がると頭を痛みが突き抜ける。懸命に堪えて周囲を見ると、机と丸い背もたれの無い椅子が見えた。よろめきながら机を探ると、ようやく眼鏡を探し当てた。視力を取り戻したDBは、改めて自分が居る部屋を見渡した。粗末なベッド、机、椅子、剥き出しの便器とシャワーらしき蛇口。高い天井の真ん中にはエアコンの吹き出し口が見えた。天井は恐ろしく高い。正面の黒い壁には小さな鏡がはめ込まれていた。実はこれはマジックミラーで、外からはDBの姿を確認できる様に作られていた。わずかに見える切れ目はドアの様だった。「ここはどこだ?!」DBが呟くと「警告、スグニ壁カラハナレロ!30秒ゴニレーザー攻撃ヲカイシスル!」と奇妙な声が響いた。合成ボイスらしかった。「30秒後に・・・レーザー攻撃だと?コケ脅しにな・・・ど乗らんぞ!」DBは壁を子細に見ようと懸命に目を凝らした。そこへ攻撃が来た。左肩に焼け付く様な痛みと、焦げるような匂いを嗅いだ。シャツに穴が開き、肩には火傷を負った。「ひぇー!ギャーあぁ・・・!」驚きと恐怖でDBはベッド脇へ這い進んだ。もう一度天井をよく見ると、6台の監視カメラがDBを捕捉する様に動いていた。不気味に光るのはレーザーの発射口だろう。「警告、ツギニ従ワナイ場合ニハ、レーザーの出力ヲアゲル」合成ボイスが流れた。「なんて事だ。俺をなぶり殺しにするつもりか?」DBは机の下に潜り込んだ。だが、それが無駄な行為だと思い知らされた。机も椅子もダンボールで組み立てられたものだった!レーザーの盾には使えない!「ここはどこだ?・・・今は何時だ?・・・誰か助けてくれ!」レーザーに焼かれた肩の痛みも加わり、DBは七転八倒した。「ソレヲ知ル必要ハナイ。オ前ハ、オトナシク命令ニ従ッテイレバヨイノダ。間モナク食事ヲ与エル。レーザー出力低下完了。追跡攻撃モード解除」薄暗い室内に無機質な合成ボイスが響いた。

Kが収監されて1ヶ月経った頃、Xは1通の葉書を受け取った。差出人はKで“みんな元気で社業に励んでいるか?”と書かれていた。一見すると何の変哲もない葉書であったが、Xには閃くモノがあった。“どこかに何かが潜んでいる!暗号か何かだろう!”収監されている以上、検閲を通らなくては外部との連絡は絶たれる。XはKの意図を読み解こうと必死になった。だが、容易には読み解けなかった。Kが残したあらゆる暗号符号と突き合わせても“隠された意図”は見えてこなかった。「うーん、分からない。何を伝えようとしているんだ?」瞬く間に1週間が過ぎた。もう、目を瞑っても文面が浮かんでくるくらいに葉書は調べつくした。だが、見えて来ないのだ。「ただの時節の挨拶か?!」書斎のデスクの明かり越しに葉書を透かしたその時だった。「えっ!何か見えるぞ!」Xは葉書を明かりに透かして見直してみた。「あぶり出しか?!」柑橘類の汁で文字を書けば乾くと見えなくなる。だが、熱をかけると文字が浮かぶ!Xはドライヤーを持って来ると葉書を熱して見た。「見えた!やはりあった!」Xにの目の前に“DBを探して救出せよ!”と言う文面が浮かび出た。「そう言えば、DBの噂が一向に流れてこないな!起訴猶予になって釈放された後、足取りも情報も皆無だ。これは何か裏があるに違いない!」Xは呟いた。だが、探すにはツテが無くてはならない。DBは本体の社員ではなく子会社の社員になっている。「そうなると、頼りは組合。しかも本部にツテを求めるしかあるまい」Xの頭中にはある図面が描かれていった。同じ職場には、支部の“福利厚生部長”が居る。彼女を通じて組合本部から、本社人事部・秘書課へ手を回す。役員なら、DBの居所を知り得ている可能性はゼロではない。ただ、これは極めて危険な賭けになる。折角取り戻した地位と名声を捨ててまでやるべきか?否か?Xは悩んだ。仕事も家庭も順調なのは、Y副社長のお陰であり、Kと絶縁した事で許された経緯は忘れてはいない。社内には必ず“壁に耳あり、障子に目あり”で悟られてしまうだろう。服役中のKからの葉書は、内儀に知られずに回収出来たが、今後も隠し通せるか自信は無かった。“福利厚生部長”の彼女は、結婚を控えていて、任期満了と共に退社する予定だった。「巻き込むわけにはいかない!いや、そもそもこの葉書そのものを手にしている事が“悪の片棒を担ぐ”行為ではないか?!俺はKと絶縁したはずだろう?!」Xは自問自答を繰り返し悩みぬいた。時計は午後11時を回った。「俺はどうしたらいいんだ?分からない。あの人に聞いて見るか・・・」Xは携帯を取るとI氏へ電話をかけた。深夜なので迷惑だろうが、他に当ては無い。Xは悩みぬいた末に“正しい行い”に辿り着こうとしていた。

時間は少し戻って、XがI氏へ電話をかけようとしていた3日前。Kの元へ“美貌の弁護人”R女史が接見を申し入れに刑務所へ出向いていた。Kは素直に了承して、R女史と対面した。「その頭はどう言うこと?」R女史がKに聞いた。「いや、世捨て人の証ですよ。大意はない」Kは顔を赤らめて下を向いた。「今日は貴方に聞きたい事があるの。DBを探しているのだけれど、どこにも見当たらないの。彼の居場所に心当たりはない?」「さあ、見当も付きません。だが、彼の身に何かが起こったのは間違いないでしょう」「どういう事?」「起訴猶予となり、釈放されたとは言えども“大罪の片棒”を担いだ身です。会社が黙って受け入れる筈が無い。特にYのヤツは我々を恨みぬいてましたから」「Yって社長の?」「ええ、ヤツは如何なる非情な手も辞さないつもりでしょう。当面は“謹慎処分”の名目で捕らえるでしょうが、下手をすると幽閉同然の扱いを受けている恐れもある」Kは悲痛な表情で訴えた。「会社が社員を正当な理由なく幽閉するなんてあり得る訳?」「Yならやるでしょう。私はこうして安全に収監されてますが、DBは訴追されなかった分、酷い扱いを受けている可能性はあり得る。先生、DBを捜索して安全に暮らせる様にはできませんか?」「不当に拘束されているなら、法的には救出に動ける確率は高いわ。問題は彼がどこで何をされているかよ!心当たりはない?」「さあ、見当も付け用がありませんが、国内ではないとなると、中国かベトナム当りの現地工場に閉じ込められているのかも知れません」「新しいのはどっちなの?」「ベトナムだ。開設されて2年目のはずです」R女史の目が鋭く光った。「分かったわ。手掛かりはベトナムと見ていいわ。まず、地裁に閲覧請求をして、DBの件を洗い直す。同時に成田を調べて、不審な搭乗者が居たフライトを洗ってみる。どうやら、キナ臭い感じがするの!私に任せて!」「おねがいします」Kはただ頭を下げた。「時間です」警護の看守が言って来た。「ともかく、調べ直してみるわ!」R女史はそう言って接見室を出た。刑務所からの帰り、R女史は携帯で連絡を取った。「先生、お久しぶりです。実は、ご相談したい事がありまして、ええ、人権侵害の恐れのある事案です。手を貸してはいただけませんか?」彼女は知り合いの弁護士に応援を要請した。会社の顧問弁護士とも面識のある人物だった。

「今、何と言った?X、事は重大だ!会社の威信に関わるぞ!“DBを探して救出せよ”だと?本当に浮かび上がったんだな。この事は誰かに話したか?そうか、まだお前だけなんだな。それは良かった。1つ間違えばまた地獄へ真っ逆さまだったぞ!葉書はお前以外誰も見てないんだな。そうか。とにかく事は急を要する。直ぐに葉書を持って俺の家へ来い!構わん!気にするな。1分1秒が事を左右しかねん状況だ。ああ、ともかく直ぐに来い!」I氏は電話を切ると、直ぐに携帯を操作した。Y副社長への緊急打電だ。“KがDBの救出をXに指示。至急連絡を請う”後は待つだけだった。3分後に返信が来た。“Kの国選弁護人に不穏な動き有り、本件と関わりあるものと推察。明日、午後1時に電話会議の設定をせよ。ミスターJに至急連絡されたし”「やはり、不穏な動きがあるのか。ようやく落ち着いたと言うのに、Kのヤツは懲りないらしいな!弁護士が動いているとなると厄介な事になる。ミスターJでも阻止できるか微妙だな・・・」I氏はXの到着を待つ傍ら、ミスターJにも緊急打電を送った。「どこまで守れるか?それ如何によっては“彼”の運命も左右しかねん。明日の動きで間に合えばいいが・・・」I氏は言いようのない不安に駆られていた。

「あぎゃー・・・!、痛ててて・・・、うぉー・・・!」DBは腹の痛みと切れ痔に耐えかねて、呻いていた。「どう・・・なって・・・るんだ・・・この腹は・・・、あぎゃー!」“ドクター”が特別処理を施した「アメーバ赤痢」は、1日に十数回以上もピーピードンドンと下り続けるのだ。尻は切れて出血も酷い事になっていた。「警告、用ガスミ次第ベッドヘ戻レ。サモナクバ攻撃ヲ開始スル」合成ボイスによる警告が来た。だが、DBは便座から動く事は出来そうも無かった。「待ってくれ!腹が・・・言う事を・・・聞かないんだ・・・あぎゃー!」猛烈な痛みと共に腹は下り続けた。「警告、30秒ゴニレーザー攻撃ヲ開始スル。照準セット完了」DBのシャツは既に焼け焦げて穴だらけになり、衣服の原型を留めてはいない。脂汗を滴らせ必死になって下痢に耐えている身に、容赦なくレーザーは襲い掛かるだろう。DBはズボンを盾にして身構えた。そこへ三方からレーザーが襲い掛かる。ズボンには3ヵ所穴が開き、焼け焦げた匂いが漂った。腕には火傷を負った。「警告、レーザー出力50%アップ。直ちに退避セヨ」合成ボイスは、更に容赦なく攻撃を続ける意思を伝えて来た。DBはともかくベッドへと退避した。足はフラフラになり、腰は今にも抜けようとしていた。「何なんだ?下痢とレーザーで追い詰めるとは・・・、おい!目的は何だ!俺をどうするつもりだ?答えろ!」何とか声を振り絞るが、答えは無い。逆に声を出したことで、腹はグルグル、キューキューと音を発し始めた。「ヤバイ!」DBは便座へ座り込んだ。次の瞬間、遠雷の轟きとも、せせらぎの音ともとれる異様な音を発して、腹が下った。「あぎゃー・・・!、痛ててて・・・、うぉー・・・!」DBは絶叫して痛みに耐えた。その様子は、事業所長室奥のモニタールームでも観察出来た。「死ぬようなことはないでしょうね?」事業所長は真顔で聞いた。「心配ない。下痢で体がへたばるだけだ。水分は多めに提供してますよね?」秘書課長は平然と言う。「ええ、固形物より多めに入れています」「DBの体重は・・・、5kg減か。あと10kgは絞る必要があるな。そうしないと食費がかさむ」「しかし、あのボロボロの衣服では見苦しくはありませんか?」「そうだな、あれを差し入れてやれ」秘書課長はダンボール箱を指さした。中身を事業所長が見ると、麻製の作務衣がぎっしりと詰まっていた。「DBがこちらに従わなければ、レーザーで脅すしかない。穴だらけなったら新品をくれてやれ。20着はあるから足りない事はあるまい」「“アメーバ赤痢”の治療薬は、いつになったら投与しますか?」「まあ、2日後が目安かな。もう少し減量に成功したらでいい。体力を奪っておかないと良からぬ事をしでかすだろうから」「つまり、脱走を企てると?」「そうだ。悪知恵だけは働くヤツだ!決して油断はしない様に!金属やプラスチックの類は与えてはならん!」「はい」「そろそろ“挨拶”をするか。ヤツに“身の程”を教えてやらんとな!」そう言うと秘書課長はマイクのスイッチを入れた。「DB!“高級リゾート”へようこそ。居心地はどうかね?」地下空間では電子変声されたノイズ交じり声が響いた。「誰だ?貴様!何が目的だ?!」DBが必死に問いかける。「DB、君は許しがたい犯罪の片棒を担いだ罪人だ!本来ならばクビにする処だが、特別に恩赦が与えられ、この“高級リゾート”で謹慎してもらう事になった」「何を抜かす!レーザーで攻撃するのが、歓迎だとでも言うのか?」「そうだ。君が大人しく我々の命令に従えば、レーザーは威嚇にしか使わない。だが、今の君は我々の命令に違背している。従ってもらえるまでは、レーザー攻撃は続行する」「それなら、時計、カレンダー、ラジオ、電話をよこせ!これは当然の権利だ!」DBは訴えたしかし「君に権利など無い。今、君が並べ立てたモノは絶対に渡さない。我々に服従する事。それが君の使命だ」秘書課長は眉1つ動かす事無く言い切った。「人権侵害だ!訴えてやる!」「どうやって訴えるのかね?悪いがそこから自力で脱出など出来はしない。人権云々を言うのなら、君がKとやろうとした殺人はどう解釈するのだ?他人の人権を踏みにじった者に、自己の人権を云々する資格など無い!身の程をわきまえろ!」秘書課長は青筋を立てて言い放った。「何を抜かす!あれは“正義の鉄槌”だ。言われなき罪で幽閉するなど許されるものか!」DBも負けじと言い返す。「どうやら、まだ分からない様だな。では、間抜けでも分かるようにしてやろうじゃないか」「警告、レーザー出力最大にアップ。1分後ニ無差別攻撃ヲ開始スル。無差別攻撃マデ50秒」合成ボイスが響くと、監視カメラのレーザー発射口が輝きだした。「コケ脅しが通用すると思うな!何が最大出力だ?!」DBは侮った。しかし、発射されたレーザーは、一瞬で椅子を蒸発させた!DBの顔から血の気が失せた。「どうだね?コケ脅しで椅子が蒸発するかね?」「警告、レーザー出力MAXマデ上昇。1点集中デターゲットロックオン」「次は君が蒸発する番だ」DBは震え出し逃げようとした。だが、身体が動かない。「待て!しっ・・・従う!言う事は聞く!そっ・・・その前に用を足させてくれ!」DBは便器へ這い進むと、猛烈な爆音と共に用を足し始めた。「あぎゃー・・・!、痛ててて・・・、うぉー・・・!」DBの絶叫が響いた。「よろしい、一応信用しよう。だが、忘れるな。逆らえばレーザーで攻撃する。君に選択権は無いんだ。では、余生を愉しむがいい」ノイズ交じり声は途絶えた。「これで、少しは言う事を聞く様になるだろう。事業所長、後は頼みましたよ」「はい、状況は逐一、横浜本社へ報告します。DBと相対する場合は、先程の様に高圧的でいいんですね?」「その通り。情状酌量の余地は無い。期限が来るまで決して甘えは許さない様に。では、私はフライトの時間が迫っているので帰国します」秘書課長はトランクを手にモニタールームを出た。「異変があれば直ぐに連絡を入れて下さい。場合によっては、また出張して来ますので」「分かりました。後はお任せください」事業所長の見送りを受けて、秘書課長は帰国の途に就いた。

「女弁護士か・・・、厄介至極だなこれは」「しかし、人である事に変わりはありません。どこかに隙があるはず。それを探して突けば、手を引かせる事も不可能ではありませんよ」苦り切った表情のI氏にミスターJは言った。「希望的観測で事を片付ける訳にはいかんだろう。今回は相手が悪すぎる。“法を盾に”取られたら、明らかにこっちに勝ち目は出て来ない!」午後12時45分。Y副社長との電話会議まで、まだ15分ある。その時、1通のファックスが届いた。「これは・・・、ミスターJ、経歴の様だが・・・」「私の仲間にも弁護士は居ます。彼女の経歴を調べさせたんですよ。ふむ、親の跡を継いだのか。1人娘。両親共に既に他界。親が設立した事務所を引継いで現在に至る。大手に勤務した事は無し。基本的に“一匹狼”の様ですな」「そうらしいな。だが、これが何になる?」「彼女は結構な“ワーカーホリック”の様で仕事に“嗜癖”していると思われるんですよ。“仕事依存症”とでも言って置きましょう。そうなると、健康診断とかは割と軽視している可能性がある。どうやら、そこに“盲点”がありそうですよ!」「どういう事だ?」「体に変調が現れない、現れにくい疾患に掛かっていてもおかしくは無い。人間ドックへ送り込めば、病院に一定期間“釘付け”に出来る可能性があります」ミスターJが静かに言う。「確かにすい臓とかは、予兆も無く症状が進行する様だが、その手の疾患に関係しているとしたら、入院は免れないな。そこでどうする?」「彼女の仕事を代行する振りをして、間違った情報を植え付けられれば、“法の盾”を打ち破ることになりませんか?」「それはそうだが」「彼女の掛かりつけ病院、□病院となっていますが、ここは例の“Z病院”から医師の派遣を受けています。重症もしくは難症状となれば、自動的に“Z病院”へ搬送されるんですよ」「そうか!“Z病院”なら手が回るな!その隙に・・・」「手を回して、事を収めてしまえばいいんです。弁護士に法を以て対抗するには無理がありますが、弁護士も医師の指示には逆らえません。医師の力で封じ込めれば、逆転の目も浮かぶでしょう」「それならば、まずは彼女の身辺調査からか?」「ええ、Y副社長の許可が降りれば、直ぐにもかかります。先遣隊の派遣準備は指令してありますから、私からのGOサインで直ちに出発できますよ」「どのくらいの期間が必要になる?」「1週間もあれば裏も取れるでしょう」「となると、10日前後は持ちこたえる必要があるって訳か。横浜にそれだけの余裕があればいいが・・・」「経歴を調べた弁護士からの情報では、事はまだ水面下で浮上の手掛かりの入手もまだ様ですから、顧問弁護団が頑張れば時間は稼げるでしょう。いずれにしても、Y副社長の見解次第ですな」ミスターJはカレンダーを見て残り時間を確認しつつ言った。「失礼します」神妙な顔つきでXがやって来た。「危うく“クレバス”に堕ちる寸前だったな、良く踏みとどまったなXよ」I氏が肩を叩く。「もう、闇に堕ちるのはコリゴリですから」Xはため息交じりに言う。「さて、回線を繋ぐぞ。協議の時間だ」I氏がコンソールを叩く。「皆、ご苦労。早速、協議に入ろう。事は火急を要する重大事だ!」Y副社長の声が響いた。難しい事案を前に一同は、身を引き締めていた。

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