ウチの旅館には「おっぱい風呂」という大浴場があります。
どんな風呂かは来てのお楽しみ…、っていうかそれほど秘密があるお風呂でもないのですがね。
送迎車にもおっぱい風呂の文字が入っているので、知らない人が見ると、ニヤニヤしたり、指さしたり。
若い頃はこれが嫌で仕方なかったのですが、今はだいぶヒネちゃったので気になりませんが。
恐らく学生さんと思しき声で「おっぱい風呂って何ですか~?ギャハハ。」みたいなイタ電もよく来たっけ。今でもたまにありますが。
セクシャルなものを想像するのか、眉をひそめたり、勘違いなさる方もいます。
でも今にしてみれば親父は本当にいいもの作ってくれたなと思います。
良くも悪くも話題になるし、一度聞いたら忘れられない。
エクスマという言葉を最近よく聞きます。
簡単に言えば「物を売るんじゃなくて体験を売るんだ。」ということですよね。
旅館はもともとそういう傾向の強い商売だと思います。
部屋があり、料理があり、サービスがあり、それを売るわけですが、物を作って売る商売と違って、お客様が支払ってくださったお金の対価として物としての商品を持ち帰っていただくことはできません。
あくまでも体験や思い出、満足しか持ち帰っていただけないんです。
とても難しい事ですが、だからこそいろんな個性があってそれぞれの商売が成り立つんでしょうね。
強烈過ぎる個性かも知れませんが、うちにそういうものが一つあってよかったと思います。
意外かもしれませんが「おっぱい風呂」は男の人よりも、女の人たちの方が喜ぶんですよ。
「いや~負けたわ。」とか感想を聞くと思わずこちらもお客さまも笑っちゃいます。
ユーモアとして互いの仲を取り持ってくれる我が家のスターなんです。