ギャンジャン

人は独りでは生きてゆけないのに人は独りで死んでゆく。刹那い一瞬に人は何を求める?

コスモ惨ビーム~光と影~

2006-02-28 05:55:55 | 競馬ジャングル

ショットガンが闇を切り裂いたときにはすでにサンビームの心は折れていた。
もうサンビームが闇を照らすことはない。

コスモサンビーム
初期のころには武豊も背中の上にいた。
京王杯、朝日杯と重賞を連勝して最優秀2歳牡馬にも輝いた。
このころのサンビームはカクテル光線を放っていた。
同期にはコスモバルクもいて「コスモ軍団の黄金時代到来か」とも言われていた。

しかし多くの朝日杯馬がそうであったように、この馬も光から影へとステップを踏んで行く。
NHKマイルCまでは緩やかな光を保っていたがダービーのころになると陰り行くトワイライト。
そして暗い影に手招きされながら孤独なシャドーダンシング。

長期休養明けから復帰しても光は枯れていた。 
屈折した光は焦点が定まらない。
もはやG1馬であるという看板さえも忘れ去られようとしていた。

度重なる連敗で凡走にも不自然さを感じていなかった。
事実スワンSでは生涯初の2桁人気。
しかしそこで一筋の光が再び瞬きだす。
それは紛れもなく2歳のときに見せたあの光線。
朝日杯以来久しぶりに先頭で駆け抜けた。
ただ完全復活かどうかはすべてこの阪急杯にかかっていた。
だからエネルギーを溜めるために間隔をあけて準備は万全のはずだった。

ブルーショットガンの松永幹夫とコスモサンビームの本田優。
光と影。
最後の重賞を最高のかたちで締めくくった松永幹夫と
最高のパートナーでクラシック最有力候補のアドマイヤムーンを最高の騎手武豊にとられた本田優。
このコントラストはなんとも哀しい。

コスモサンビーム
松永幹夫と違って誰にも祝福されず、命とともに現役を引退した。
自らの血統と同じようにひっそりとしかし壮絶に旅を終えた。
もう光の矢を放つこともない。
サンビームには二度と夜明けは来ない。
合掌。                            ブログランキング・にほんブログ村へ