クラスター爆弾禁止リマ会議において,日本は依然として禁止消極派になっています。
その理由として,「アメリカなど大国が参加しなければ意味がない」ことや「日本の場合,海岸線が長いことから防衛用として不可欠」との理由がある旨説明しています。
「クラスター爆弾は防衛に必要」 空幕長が明言(朝日新聞) - goo ニュース
クラスター爆弾は攻撃用ミサイルです
そもそも,今なぜ世界規模でクラスター爆弾禁止を検討しているのか考えてみましょう。簡単に言えば,「核兵器並みの脅威」があるからです。もう少し具体的に言えば,「戦争が終わってもその地域には戦時中の脅威が未来永劫残ることになる」という恐怖の爆弾だからです。
事実,クラスター爆弾がばらまいた爆弾の不発弾により,毎年多くの犠牲者が出ています。しかも,犠牲者の多くは民間人であり,さらにその大半はこれが爆弾であることを全く認識していません。これが世界規模での問題なのです。
ところが,日本はクラスター爆弾禁止には今なお消極的です。この理由は,「日本が保有している」ことと「アメリカは禁止する気がない」というところによるのではないでしょうか。つまり,「アメリカに気を使っている」としか思えませんし,ヨーロッパ諸国もおそらく日本の消極姿勢をそのように評価しているものと思われます。
では,久間防衛大臣が説明した「防衛のため」という説明はどうでしょうか。
確かに,一見すると「なるほど,そりゃ必要だ」と感想を持たれた方も多いでしょう。しかし,これは昔はやった「究極の選択」なのです。すなわち「日本が占領されるのと,日本を守るけど海岸線沿線が使えなくなるのどっちがいい」というものなのです。
しかも,クラスター爆弾は本来は攻撃用です。広い海岸線を守るためにクラスター爆弾を使うということを本気で防衛大臣が考えているのであれば,即刻大臣を辞めて地球防衛軍の隊長にでもなってください。それでは日本は守れません。
なぜでしょうか。簡単に言えば,「今どき海からだけ攻めてくるバカはいない」からです。海からだけ来るとしたら,かなり狭い範囲(それこそ北朝鮮の拉致船のように)で来るか,潜水艦数基で来る程度です。当然これなら,狭い範囲なので守りきることができます。
一方,守りきれない程度の大艦隊がやってきたとしたら,今の戦争は「制空権」がものをいいますから,当然敵国は「大空軍」も引き連れてやってきます。すなわち,「大空中戦」が展開されるわけです。そして,クラスター爆弾は戦闘機から発射される訳ですから,空中戦を制しなければクラスター爆弾を使えません。
ところが,「空中戦を制するものが戦争を制する」といわれるとおり,空中戦を制したら,大艦隊への対応は容易なのです。つまり,クラスター爆弾なくても上陸阻止は可能といえるのです。
では仮に,ミサイル型クラスター爆弾で地上から発射できるようにしたり,また空中戦を制しても上陸艦隊を防げない状況になったとしたらどうでしょうか。
「それなら,クラスター爆弾は役に立つ」といえそうですが,そうではありません。
クラスター爆弾がまき散らす爆弾は,いわゆる「対人地雷」のようなものです。中には対戦車地雷に近い威力の爆弾もありますが,いずれにせよ「敵が上陸して兵士が触る」ことで初めてその威力を発揮します。逆にいうと,上陸前の敵の艦隊に対する破壊効果は少ないです。しかも,クラスター爆弾が発射されれば当然敵国も把握します。っていうか,上陸作戦を立てる際に当然「想定内」のこととしてその対応策くらい考えています(例えば,対人地雷処理のごとく先に数発ミサイルを撃ち込むなどが典型例でしょう。)。
とすれば,クラスター爆弾によって防衛できる効果は本当にごくわずか(極端にいえば上陸を数分遅らせる程度)に過ぎません。むしろ,無事敵を追い払ったあとの方が数十年に渡る土地使用制限が待っているのです。
ただし,防衛省の名誉のためにいいますが,日本の自衛隊もバカではありません。軍事情報なので当然極秘として発表はしませんが,広い海岸線を守るための手法や戦略くらいは十分に構築されていますから,実際はクラスター爆弾がなくても十分に防衛できる戦力や装備は備えています。だからこそ,冒頭の究極の選択にはならないため,クラスター爆弾なんかいらないのです。
戦争自体を禁止にするのが本来筋ですが,そんなきれい事はまだ通じない世の中です。ただ,日本は憲法9条で戦争をしないと世界に向けてアピールした訳ですから,むしろこういう時こそ「危険な兵器の使用を禁止しよう」と積極的にアピールするべきなのではないでしょうか。それこそが,憲法前文にもある「国際協調主義」の理にかなった行為といえるでしょう。
リマ会議において,これ以上日本が孤立しないことを願いたいものです。
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その理由として,「アメリカなど大国が参加しなければ意味がない」ことや「日本の場合,海岸線が長いことから防衛用として不可欠」との理由がある旨説明しています。
「クラスター爆弾は防衛に必要」 空幕長が明言(朝日新聞) - goo ニュース
クラスター爆弾は攻撃用ミサイルです
そもそも,今なぜ世界規模でクラスター爆弾禁止を検討しているのか考えてみましょう。簡単に言えば,「核兵器並みの脅威」があるからです。もう少し具体的に言えば,「戦争が終わってもその地域には戦時中の脅威が未来永劫残ることになる」という恐怖の爆弾だからです。
事実,クラスター爆弾がばらまいた爆弾の不発弾により,毎年多くの犠牲者が出ています。しかも,犠牲者の多くは民間人であり,さらにその大半はこれが爆弾であることを全く認識していません。これが世界規模での問題なのです。
ところが,日本はクラスター爆弾禁止には今なお消極的です。この理由は,「日本が保有している」ことと「アメリカは禁止する気がない」というところによるのではないでしょうか。つまり,「アメリカに気を使っている」としか思えませんし,ヨーロッパ諸国もおそらく日本の消極姿勢をそのように評価しているものと思われます。
では,久間防衛大臣が説明した「防衛のため」という説明はどうでしょうか。
確かに,一見すると「なるほど,そりゃ必要だ」と感想を持たれた方も多いでしょう。しかし,これは昔はやった「究極の選択」なのです。すなわち「日本が占領されるのと,日本を守るけど海岸線沿線が使えなくなるのどっちがいい」というものなのです。
しかも,クラスター爆弾は本来は攻撃用です。広い海岸線を守るためにクラスター爆弾を使うということを本気で防衛大臣が考えているのであれば,即刻大臣を辞めて地球防衛軍の隊長にでもなってください。それでは日本は守れません。
なぜでしょうか。簡単に言えば,「今どき海からだけ攻めてくるバカはいない」からです。海からだけ来るとしたら,かなり狭い範囲(それこそ北朝鮮の拉致船のように)で来るか,潜水艦数基で来る程度です。当然これなら,狭い範囲なので守りきることができます。
一方,守りきれない程度の大艦隊がやってきたとしたら,今の戦争は「制空権」がものをいいますから,当然敵国は「大空軍」も引き連れてやってきます。すなわち,「大空中戦」が展開されるわけです。そして,クラスター爆弾は戦闘機から発射される訳ですから,空中戦を制しなければクラスター爆弾を使えません。
ところが,「空中戦を制するものが戦争を制する」といわれるとおり,空中戦を制したら,大艦隊への対応は容易なのです。つまり,クラスター爆弾なくても上陸阻止は可能といえるのです。
では仮に,ミサイル型クラスター爆弾で地上から発射できるようにしたり,また空中戦を制しても上陸艦隊を防げない状況になったとしたらどうでしょうか。
「それなら,クラスター爆弾は役に立つ」といえそうですが,そうではありません。
クラスター爆弾がまき散らす爆弾は,いわゆる「対人地雷」のようなものです。中には対戦車地雷に近い威力の爆弾もありますが,いずれにせよ「敵が上陸して兵士が触る」ことで初めてその威力を発揮します。逆にいうと,上陸前の敵の艦隊に対する破壊効果は少ないです。しかも,クラスター爆弾が発射されれば当然敵国も把握します。っていうか,上陸作戦を立てる際に当然「想定内」のこととしてその対応策くらい考えています(例えば,対人地雷処理のごとく先に数発ミサイルを撃ち込むなどが典型例でしょう。)。
とすれば,クラスター爆弾によって防衛できる効果は本当にごくわずか(極端にいえば上陸を数分遅らせる程度)に過ぎません。むしろ,無事敵を追い払ったあとの方が数十年に渡る土地使用制限が待っているのです。
ただし,防衛省の名誉のためにいいますが,日本の自衛隊もバカではありません。軍事情報なので当然極秘として発表はしませんが,広い海岸線を守るための手法や戦略くらいは十分に構築されていますから,実際はクラスター爆弾がなくても十分に防衛できる戦力や装備は備えています。だからこそ,冒頭の究極の選択にはならないため,クラスター爆弾なんかいらないのです。
戦争自体を禁止にするのが本来筋ですが,そんなきれい事はまだ通じない世の中です。ただ,日本は憲法9条で戦争をしないと世界に向けてアピールした訳ですから,むしろこういう時こそ「危険な兵器の使用を禁止しよう」と積極的にアピールするべきなのではないでしょうか。それこそが,憲法前文にもある「国際協調主義」の理にかなった行為といえるでしょう。
リマ会議において,これ以上日本が孤立しないことを願いたいものです。
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実に単純で判りやすく正論。
言ってしまえば,「核の抑止力」と同じようなものなのですね。くわばら,くわばら。