ギリシャの財政危機をきっかけとしたユーロ不安に,ニューヨーク株式市場による人為的ミスと見られる発注ミスなどが相乗して,世界同時に大幅な株安となりました。また,これを受けて,ユーロやドル売りが進み,大幅なドル安,ユーロ安が進行しています。
これらの影響は,特に製造業を中心とする日本企業にも及ぶとされており,新たな金融不安などが懸念されています。
収まらない世界同時株安 金融危機再燃の懸念も(朝日新聞) - goo ニュース
上海万博終了後はもっと恐い状況かも
この問題,結構いろんなテーマが含まれていますので,ざっくり整理して一言コメント付けたいと思います。
1 ギリシャの財政破綻
日本の将来を見ていると考えても良いでしょう。
そもそもの発端は,ざっくりいうと,ギリシャの前政権が公債残高などを正しく報じていなかったために,政権交代によって現政権が金庫を開けてみたら空っぽだったのでビックリした,っていうことによります。
しかし,こうしたことは,企業合併ではよくある話(もちろん,故意に隠蔽していた場合は刑事罰も含めた問題に発展しますが)ですし,市町村合併でも,「聞いてないよー借金」が土地開発公社などから出てきたなんていうこともあります。もっというと,市町村レベルで首長が変わると,「実は町の財政はドイヒーだった」なんていう話も出てくることがあります。
今回のギリシャでは,まさに「国レベル」だったこと,その隠蔽がユーロ絡みであること,欧州諸国がオリンピックも含めた借款や投資がギリシャに結構していたため回収困難になったことなどなどから,大きな問題となったわけです。
財政破綻としては,アイスランドが既に発表して騒ぎとなりました,規模が違いすぎました。
今後は,日本の地方自治体でいう「再建団体」的なやり方で時間をかけてギリシャ財政を立て直すしかないでしょう。ギリシャ国民が痛みを伴うのもやむを得ません。
2 日本の未来は?
ギリシャ問題は,既に800兆円を超えている借金を抱えている日本と重なるかもしれません。
結論から言えば,先ほどのお話しのとおり,「10数年後の日本」といえますが,今すぐ日本はホールドアップしません。
日本の場合,個人資産が1500兆円程度あると言われていますから,プラマイではまだプラスだからです。
ただし,今の話でなんとなくもやっとされた方も多いと思いますが,別に国の借金を私たちの貯金で全額返済するわけではありませんから,本来的には国の借金と個人資産とは別次元のお話しなのです。単に,形式上破綻しないというに過ぎません。
したがって,「まだまだ日本は大丈夫」っていう左うちわ状態の政治家がいたら,次の選挙でクビにしましょう。
逆にいうと,「形式的な基準ですらあと10数年しか持たないくらいドイヒーな財政状態だから,破綻する前に根本的に改革しよう」っていう発想になるのが自然なはずなのです。
3 なぜ株安になったか
形式的には,ギリシャに対する信用不安から,投資家が現金を手元に残して安心したいため,株を売っている,っていうことになります。ただし,厳密にいうと,投資家が売ったのは「ヘッジ部分」だけです。つまり,リスク回避の保険を払ったような感じですから,まだまだご本尊の株式等は投資家の手元にありますので,株安もこの程度で済んでいます。もし,これが流出したら,完璧に世界恐慌になります。
ところで,今回の場合,ニューヨーク市場で売りの操作ミスがあったと言われています。
日本で,みずほ証券が操作ミスによる大損害が問題となりましたが,ネット取引となった今,操作ミスをチェックするすべがありませんので,極端な話「指一本で世界恐慌」ってことになりかねません。もっといえば,テロルたちは,いとも簡単に「経済テロ」を引き起こすことすらできるのです。
日本だけの話ではありませんが,証券取引のグローバルルールと,システムチェックのあり方を世界規模で検討する時期に来たといえます。
4 トリプル安の日本への影響は
ドルについては,為替予約などによるリスクヘッジはできています。しかし,ユーロについてはどのレベルを想定した為替予約を設定しているか分かりませんので,こっちの損失がかなり痛いかも知れません。
とはいえ,日本の主力市場は,依然としてアメリカとアジアです。欧州市場ももちろん大きいですが,企業の母体を揺るがすほどの損失にはならないでしょう。あとは,引当金をどの程度設定してあるかなどという企業経営方針がものを言うでしょう。
5 で,今後はどうなる
正直,ギリシャの財政破綻による直撃弾は日本ではチャイチーです。それ自体の心配は少ないでしょう。
問題は中国市場です。今は中国バブルですから,日本もそのおこぼれに預かれますが,上海万博が終わってしまうと同時にバブル崩壊が懸念されます。中国バブルがはじけたら,この直撃弾はカイデーなものとなります。こっちのリスクヘッジをしっかりと検討してあった企業だけが生き残り,中国おんぶにだっこの企業は倒産する憂き目にあうでしょう。でも,経費ギリギリの各企業において,ここまでのリスクヘッジを行っているところはかなり少ないのではないでしょうか。
6 おまけ・・オリンピックで景気回復という妄想
東京オリンピックをやれて日本経済は回復するっていうのはギリシャの例を見てお分かりのとおり,蜃気楼にすぎません。
オリンピック誘致は,もっといろんな視点から判断するべきでしょう。少なくとも,単純な損得勘定だけで考えると,現状は「損」です。
以上,ギリシャ問題をいくつか分割して私見を述べてみました。
今後のギリシャですが,ギリシャだけに,「スパルタ財政再建」をすることでしょう(ダジャレタイトルにダジャレオチかよ!)
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
これらの影響は,特に製造業を中心とする日本企業にも及ぶとされており,新たな金融不安などが懸念されています。
収まらない世界同時株安 金融危機再燃の懸念も(朝日新聞) - goo ニュース
上海万博終了後はもっと恐い状況かも
この問題,結構いろんなテーマが含まれていますので,ざっくり整理して一言コメント付けたいと思います。
1 ギリシャの財政破綻
日本の将来を見ていると考えても良いでしょう。
そもそもの発端は,ざっくりいうと,ギリシャの前政権が公債残高などを正しく報じていなかったために,政権交代によって現政権が金庫を開けてみたら空っぽだったのでビックリした,っていうことによります。
しかし,こうしたことは,企業合併ではよくある話(もちろん,故意に隠蔽していた場合は刑事罰も含めた問題に発展しますが)ですし,市町村合併でも,「聞いてないよー借金」が土地開発公社などから出てきたなんていうこともあります。もっというと,市町村レベルで首長が変わると,「実は町の財政はドイヒーだった」なんていう話も出てくることがあります。
今回のギリシャでは,まさに「国レベル」だったこと,その隠蔽がユーロ絡みであること,欧州諸国がオリンピックも含めた借款や投資がギリシャに結構していたため回収困難になったことなどなどから,大きな問題となったわけです。
財政破綻としては,アイスランドが既に発表して騒ぎとなりました,規模が違いすぎました。
今後は,日本の地方自治体でいう「再建団体」的なやり方で時間をかけてギリシャ財政を立て直すしかないでしょう。ギリシャ国民が痛みを伴うのもやむを得ません。
2 日本の未来は?
ギリシャ問題は,既に800兆円を超えている借金を抱えている日本と重なるかもしれません。
結論から言えば,先ほどのお話しのとおり,「10数年後の日本」といえますが,今すぐ日本はホールドアップしません。
日本の場合,個人資産が1500兆円程度あると言われていますから,プラマイではまだプラスだからです。
ただし,今の話でなんとなくもやっとされた方も多いと思いますが,別に国の借金を私たちの貯金で全額返済するわけではありませんから,本来的には国の借金と個人資産とは別次元のお話しなのです。単に,形式上破綻しないというに過ぎません。
したがって,「まだまだ日本は大丈夫」っていう左うちわ状態の政治家がいたら,次の選挙でクビにしましょう。
逆にいうと,「形式的な基準ですらあと10数年しか持たないくらいドイヒーな財政状態だから,破綻する前に根本的に改革しよう」っていう発想になるのが自然なはずなのです。
3 なぜ株安になったか
形式的には,ギリシャに対する信用不安から,投資家が現金を手元に残して安心したいため,株を売っている,っていうことになります。ただし,厳密にいうと,投資家が売ったのは「ヘッジ部分」だけです。つまり,リスク回避の保険を払ったような感じですから,まだまだご本尊の株式等は投資家の手元にありますので,株安もこの程度で済んでいます。もし,これが流出したら,完璧に世界恐慌になります。
ところで,今回の場合,ニューヨーク市場で売りの操作ミスがあったと言われています。
日本で,みずほ証券が操作ミスによる大損害が問題となりましたが,ネット取引となった今,操作ミスをチェックするすべがありませんので,極端な話「指一本で世界恐慌」ってことになりかねません。もっといえば,テロルたちは,いとも簡単に「経済テロ」を引き起こすことすらできるのです。
日本だけの話ではありませんが,証券取引のグローバルルールと,システムチェックのあり方を世界規模で検討する時期に来たといえます。
4 トリプル安の日本への影響は
ドルについては,為替予約などによるリスクヘッジはできています。しかし,ユーロについてはどのレベルを想定した為替予約を設定しているか分かりませんので,こっちの損失がかなり痛いかも知れません。
とはいえ,日本の主力市場は,依然としてアメリカとアジアです。欧州市場ももちろん大きいですが,企業の母体を揺るがすほどの損失にはならないでしょう。あとは,引当金をどの程度設定してあるかなどという企業経営方針がものを言うでしょう。
5 で,今後はどうなる
正直,ギリシャの財政破綻による直撃弾は日本ではチャイチーです。それ自体の心配は少ないでしょう。
問題は中国市場です。今は中国バブルですから,日本もそのおこぼれに預かれますが,上海万博が終わってしまうと同時にバブル崩壊が懸念されます。中国バブルがはじけたら,この直撃弾はカイデーなものとなります。こっちのリスクヘッジをしっかりと検討してあった企業だけが生き残り,中国おんぶにだっこの企業は倒産する憂き目にあうでしょう。でも,経費ギリギリの各企業において,ここまでのリスクヘッジを行っているところはかなり少ないのではないでしょうか。
6 おまけ・・オリンピックで景気回復という妄想
東京オリンピックをやれて日本経済は回復するっていうのはギリシャの例を見てお分かりのとおり,蜃気楼にすぎません。
オリンピック誘致は,もっといろんな視点から判断するべきでしょう。少なくとも,単純な損得勘定だけで考えると,現状は「損」です。
以上,ギリシャ問題をいくつか分割して私見を述べてみました。
今後のギリシャですが,ギリシャだけに,「スパルタ財政再建」をすることでしょう(ダジャレタイトルにダジャレオチかよ!)
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
静香ちゃん,今度は「資産税かけます」なんて言い出すのではないでしょうか。それで1500兆円吐き出そうとさせたりした!