ライブドアブログに新たに付いた「予約機能」を使って,選挙終了時刻に同時にアップできるよう実験を兼ねてやってみたいと思います。
さて,今回の選挙運動は,これまでとは大きく異なる点がありました。個人的に感じた点は次のとおりです。
1 後援会組織と支援団体の力の低下
2 徹底した個人情報保護
3 衆議院議員選挙なのにどぶ板選挙
4 法の盲点をつく選挙
以下,簡単に説明します。
1 後援会組織と支援団体の力の低下
これは2000年頃から顕在化し始めてきましたが,後援会が中心となって選挙運動を行うという形態から,ボランティアが主体となる選挙運動に変わってきています。
もちろん,ボランティアも後援会の一部ですが,ここでいう後援会とは,「地元の名士」といわれる人たちを押さえる「地盤固め」がされている組織をいいます。
当然,そのような後援会ががっちりしているがために当選している人の方がまだまだ多いですが,今回の選挙では,「地元の名士」が積極的な応援に回らなかったという選挙区も多かったようです。
これは,郵政民営化の争点が大きく影響していることと,そもそも地元の名士という存在自体が減ってきているという点にあるといえるでしょう。
また,支援団体ですが,特定郵便局はもちろんのこと,土木業者や商工団体なども,自民党支援を全面的に押し出してきませんでした。やはり中小企業は依然として景気低迷のあおりを受けているため,自民党政権が続いても仕事が回ってこないという懸念が理由の一つになっていると考えられます。
一方で,この団体が民主党支援に回ったわけでもありません。
結局,候補者は,組織の力よりも自分の人脈と人格で運動員を確保するしかなかったといえます。
2 徹底した個人情報保護
従来は,浮動票対策として,「電話」と「選挙はがき」が二大アイテムとなりました。
しかし,電話については,電話をかけるとナンバーディスプレイでそもそも電話に出ない人が増加していることに加え,個人情報保護の観点から電話に出ても「この電話番号どこから聞いた?」と聞かれて対応に苦慮するという選挙事務所が多かったようです。
また,選挙はがきについても,かつては後援会加入はがきには家族みんなの住所氏名を記載していたのですが,個人情報保護法の関係から,住所さえも記載しない事例が増えてきたこと,住民基本台帳を閲覧してその住所地に送付すると,法律上は除外されているが「個人情報を勝手に見た候補者」というレッテルを貼られて逆に票が減ってしまうという懸念等からはがきもあまり出せなかったようです。
したがって,選挙運動自体も従来型を堅持してしまうと,どこかでほころびが出てしまったという状態らしいです。
3 衆議院議員選挙なのにどぶ板選挙
「どぶ板選挙」とは,有権者1人1人と握手をしたり施策を訴えたりするなどする選挙手法をいい,主に地方自治体議員選挙で用いるものです。
一方,通常国政選挙では,選挙区が広いことからどぶ板選挙は物理的に無理があること,資金力があることなどから「空中戦」と呼ばれる大がかりな選挙戦を使います。
ところが,今回の選挙では,多くの陣営は,空中戦を使わず,あえてどぶ板選挙を採用しました。
これは,建前としては今回は政策選挙であるという点を強調したかったという各党の思惑がありますが,本音としては時間不足による資金力と人力不足という点にあるでしょう。
いずれにしても,選挙事務所でふんぞりが選っていた候補者は今回はほとんどいなかったようです。
4 法の盲点をつく選挙
公職選挙法の問題はこれまでに何度も言ってますので,ここでは触れません。しかし,これを逆手に取る候補者がいろいろといました(毎度のことですが。)。
「買収」については,トンネル方式を採用するのは毎度のことですが(直接候補者から買収するのではなく,後援会の個人会計ということにして地元の有力者に渡し,その地元の有力者からさらに核になる人間に渡し,そこから個人に渡すという手法),なにしろ今回はお金がないことから,買収についても「地位確立型」の手法を取っている候補者がいるそうです。つまり,当選したら一定の地位を与えるとある人に約束し,その見返りとしてその人がお金を出して,何人か買収するというものです。当然,候補者も含めてみんな違法です。
また,運動方法でも思考をこらしています。例えば,「独り言運動」。これは,運動員が徒党を組んで歩くのですが,その際に独り言のようにその候補者の施策や名前をいうというものです。法律では徒党を組んで演説することは禁止されているのですが,これはあくまでも独り言をみんなで言っているという設定なので,警察も悩ましいところでしょう(個人的にはダメだろうと思いますが。)。
さらに,ネットが使用できない点を逆手に取り,公示直前まで画面の編集をして,その画面には自分の主張などが分かるようにしておき,その状態で更新を止めておくという手法を取る候補者もいました。もっとすごいのが,外国のサーバを利用してそっちを更新しようと企んだ人もいるみたいですが,これはさすがにアダルトサイトと同じ発想になってしまうと気が付いたのか,結局実行しなかったようです。
いずれにしても,公職選挙法は,いつものことながらまたも抜け道を沢山造ってしまいました。
こんな状態の選挙でした。
一言でまとめますと,「昔からのやり方が通じない選挙になった」ということです。
こんな時代の波に対応できる候補者だったかどうかが,今回の選挙の当落を決めたのかもしれませんね。
なお,明日から警察は一斉に選挙違反の検挙に乗り出すそうです。この検挙を本当に厳しくやってほしいと思います。
果たしてどの候補者の事務所から逮捕者が出るのか,こうご期待です。
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さて,今回の選挙運動は,これまでとは大きく異なる点がありました。個人的に感じた点は次のとおりです。
1 後援会組織と支援団体の力の低下
2 徹底した個人情報保護
3 衆議院議員選挙なのにどぶ板選挙
4 法の盲点をつく選挙
以下,簡単に説明します。
1 後援会組織と支援団体の力の低下
これは2000年頃から顕在化し始めてきましたが,後援会が中心となって選挙運動を行うという形態から,ボランティアが主体となる選挙運動に変わってきています。
もちろん,ボランティアも後援会の一部ですが,ここでいう後援会とは,「地元の名士」といわれる人たちを押さえる「地盤固め」がされている組織をいいます。
当然,そのような後援会ががっちりしているがために当選している人の方がまだまだ多いですが,今回の選挙では,「地元の名士」が積極的な応援に回らなかったという選挙区も多かったようです。
これは,郵政民営化の争点が大きく影響していることと,そもそも地元の名士という存在自体が減ってきているという点にあるといえるでしょう。
また,支援団体ですが,特定郵便局はもちろんのこと,土木業者や商工団体なども,自民党支援を全面的に押し出してきませんでした。やはり中小企業は依然として景気低迷のあおりを受けているため,自民党政権が続いても仕事が回ってこないという懸念が理由の一つになっていると考えられます。
一方で,この団体が民主党支援に回ったわけでもありません。
結局,候補者は,組織の力よりも自分の人脈と人格で運動員を確保するしかなかったといえます。
2 徹底した個人情報保護
従来は,浮動票対策として,「電話」と「選挙はがき」が二大アイテムとなりました。
しかし,電話については,電話をかけるとナンバーディスプレイでそもそも電話に出ない人が増加していることに加え,個人情報保護の観点から電話に出ても「この電話番号どこから聞いた?」と聞かれて対応に苦慮するという選挙事務所が多かったようです。
また,選挙はがきについても,かつては後援会加入はがきには家族みんなの住所氏名を記載していたのですが,個人情報保護法の関係から,住所さえも記載しない事例が増えてきたこと,住民基本台帳を閲覧してその住所地に送付すると,法律上は除外されているが「個人情報を勝手に見た候補者」というレッテルを貼られて逆に票が減ってしまうという懸念等からはがきもあまり出せなかったようです。
したがって,選挙運動自体も従来型を堅持してしまうと,どこかでほころびが出てしまったという状態らしいです。
3 衆議院議員選挙なのにどぶ板選挙
「どぶ板選挙」とは,有権者1人1人と握手をしたり施策を訴えたりするなどする選挙手法をいい,主に地方自治体議員選挙で用いるものです。
一方,通常国政選挙では,選挙区が広いことからどぶ板選挙は物理的に無理があること,資金力があることなどから「空中戦」と呼ばれる大がかりな選挙戦を使います。
ところが,今回の選挙では,多くの陣営は,空中戦を使わず,あえてどぶ板選挙を採用しました。
これは,建前としては今回は政策選挙であるという点を強調したかったという各党の思惑がありますが,本音としては時間不足による資金力と人力不足という点にあるでしょう。
いずれにしても,選挙事務所でふんぞりが選っていた候補者は今回はほとんどいなかったようです。
4 法の盲点をつく選挙
公職選挙法の問題はこれまでに何度も言ってますので,ここでは触れません。しかし,これを逆手に取る候補者がいろいろといました(毎度のことですが。)。
「買収」については,トンネル方式を採用するのは毎度のことですが(直接候補者から買収するのではなく,後援会の個人会計ということにして地元の有力者に渡し,その地元の有力者からさらに核になる人間に渡し,そこから個人に渡すという手法),なにしろ今回はお金がないことから,買収についても「地位確立型」の手法を取っている候補者がいるそうです。つまり,当選したら一定の地位を与えるとある人に約束し,その見返りとしてその人がお金を出して,何人か買収するというものです。当然,候補者も含めてみんな違法です。
また,運動方法でも思考をこらしています。例えば,「独り言運動」。これは,運動員が徒党を組んで歩くのですが,その際に独り言のようにその候補者の施策や名前をいうというものです。法律では徒党を組んで演説することは禁止されているのですが,これはあくまでも独り言をみんなで言っているという設定なので,警察も悩ましいところでしょう(個人的にはダメだろうと思いますが。)。
さらに,ネットが使用できない点を逆手に取り,公示直前まで画面の編集をして,その画面には自分の主張などが分かるようにしておき,その状態で更新を止めておくという手法を取る候補者もいました。もっとすごいのが,外国のサーバを利用してそっちを更新しようと企んだ人もいるみたいですが,これはさすがにアダルトサイトと同じ発想になってしまうと気が付いたのか,結局実行しなかったようです。
いずれにしても,公職選挙法は,いつものことながらまたも抜け道を沢山造ってしまいました。
こんな状態の選挙でした。
一言でまとめますと,「昔からのやり方が通じない選挙になった」ということです。
こんな時代の波に対応できる候補者だったかどうかが,今回の選挙の当落を決めたのかもしれませんね。
なお,明日から警察は一斉に選挙違反の検挙に乗り出すそうです。この検挙を本当に厳しくやってほしいと思います。
果たしてどの候補者の事務所から逮捕者が出るのか,こうご期待です。
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