奈良県で流産しそうな妊婦を救急車で搬送したが,搬送先病院が決まらず,さらに交通事故にも遭うなどの不幸も重なり,残念ながら流産してしまったようです。
奈良県では,去年も同様のトラブルから妊婦が死亡してしまったという事故もあり,知事も再発防止策を検討するとのことでした。
奈良→大阪9か所断られ、妊婦の搬送先決まらず流産(読売新聞) - goo ニュース
施設よりもまず人の確保が大切
今回の問題,実は,いろいろな問題が複雑に絡み合っています。救急体制の問題,病院と救急隊の連携問題,病院間の連携問題,病床数,医師数などです。
したがって,再発防止を図るには,このすべての問題についてクリアしていく必要があります。しかし,それには時間がかかります。
私は,この中で「医師数」について,ちょっとだけ言いたいことがあります。
今回の問題の背景として,「産婦人科医の不足」があげられます。現在,医師試験合格者は増えています。つまり,医師人口自体は増加しています。ところが,産婦人科医と小児科医は減少の一途をたどっています。なぜでしょうか?
それは,「激務」であることと,「激務に見合う報酬がもらえない」ことにあります。
まず,激務については,お産はいつあるか分からないわけで,いわば24時間体制となります。また,医療事故が発生しやすいのは実は出産時なのです。事実,医療過誤訴訟の多くは,産婦人科関係となっています。そういう状態なので,若手の医師で産婦人科を希望する人が減少しているのです。
また,報酬については,診療報酬は,「治療行為」に対するものですが,その内容よりも「数」が報酬算定では重視されています。したがって,お産のように1人の医師が1人の患者に数時間付きっきりでも,診療報酬の点数は少ないです。それならば,むしろ同じ時間で「風邪っぴき患者」を20人見た方が圧倒的に報酬が高くなります。小児科が敬遠されるのも,子供に対する診療は大人よりも時間や手間がかかる割には,報酬診療点数に大差がないからです。
つまり,言ってしまえば,「産婦人科ではもうからない」,だからなり手が少ないのです。
「医者が金のことを考えるとはけしからん」などという意見もあるかもしれませんが,現実問題,医者だって人の子,自分の生活や診療所の経営を考える方が自然でしょう。当然,国同様「経営合理化」が最優先課題となり,経営圧迫の原因となる産婦人科や小児科は廃止するのが自然ということなのです。
この風潮,当然野放しにはできませんが,残念なことに厚生労働省は,現在このような診療報酬基準について,見直しは特に検討していないようです。
一方で,「少子化対策」を声高に叫んでいます。しかし,少子化対策には,当然の前提として「安心して子供を産める環境の整備」が求められます。
とすると,国としては,医師不足対策として,まずは「診療報酬の見直し」を可及的速やかに検討する必要があるでしょう。これも立派な少子化対策なのです。
救急車問題,今後もいろいろな問題に波及することでしょう。とにかく,1人の胎児の死を決して無駄にしてはいけません。
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TB先一覧
http://blog.livedoor.jp/yswebsite/archives/51711459.html
http://plaza.rakuten.co.jp/ryujisato/diary/200708300000/
奈良県では,去年も同様のトラブルから妊婦が死亡してしまったという事故もあり,知事も再発防止策を検討するとのことでした。
奈良→大阪9か所断られ、妊婦の搬送先決まらず流産(読売新聞) - goo ニュース
施設よりもまず人の確保が大切
今回の問題,実は,いろいろな問題が複雑に絡み合っています。救急体制の問題,病院と救急隊の連携問題,病院間の連携問題,病床数,医師数などです。
したがって,再発防止を図るには,このすべての問題についてクリアしていく必要があります。しかし,それには時間がかかります。
私は,この中で「医師数」について,ちょっとだけ言いたいことがあります。
今回の問題の背景として,「産婦人科医の不足」があげられます。現在,医師試験合格者は増えています。つまり,医師人口自体は増加しています。ところが,産婦人科医と小児科医は減少の一途をたどっています。なぜでしょうか?
それは,「激務」であることと,「激務に見合う報酬がもらえない」ことにあります。
まず,激務については,お産はいつあるか分からないわけで,いわば24時間体制となります。また,医療事故が発生しやすいのは実は出産時なのです。事実,医療過誤訴訟の多くは,産婦人科関係となっています。そういう状態なので,若手の医師で産婦人科を希望する人が減少しているのです。
また,報酬については,診療報酬は,「治療行為」に対するものですが,その内容よりも「数」が報酬算定では重視されています。したがって,お産のように1人の医師が1人の患者に数時間付きっきりでも,診療報酬の点数は少ないです。それならば,むしろ同じ時間で「風邪っぴき患者」を20人見た方が圧倒的に報酬が高くなります。小児科が敬遠されるのも,子供に対する診療は大人よりも時間や手間がかかる割には,報酬診療点数に大差がないからです。
つまり,言ってしまえば,「産婦人科ではもうからない」,だからなり手が少ないのです。
「医者が金のことを考えるとはけしからん」などという意見もあるかもしれませんが,現実問題,医者だって人の子,自分の生活や診療所の経営を考える方が自然でしょう。当然,国同様「経営合理化」が最優先課題となり,経営圧迫の原因となる産婦人科や小児科は廃止するのが自然ということなのです。
この風潮,当然野放しにはできませんが,残念なことに厚生労働省は,現在このような診療報酬基準について,見直しは特に検討していないようです。
一方で,「少子化対策」を声高に叫んでいます。しかし,少子化対策には,当然の前提として「安心して子供を産める環境の整備」が求められます。
とすると,国としては,医師不足対策として,まずは「診療報酬の見直し」を可及的速やかに検討する必要があるでしょう。これも立派な少子化対策なのです。
救急車問題,今後もいろいろな問題に波及することでしょう。とにかく,1人の胎児の死を決して無駄にしてはいけません。
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http://plaza.rakuten.co.jp/ryujisato/diary/200708300000/
確かに事実が何かよく分からないです。
ただ,いずれにしても,「受け入れ態勢の不備」という点に問題があったことは事実だと思います。
もちろん,私たちも「すべて人任せ」というスタンスはあまりよろしくないでしょうから,普段からかかりつけの医者を確保し,自分の医療情報(持病や薬など)を持ち歩くなどしておくだけでも結構命が救われるかもしれませんね。
そういう点の見直しや啓発も,もちろん「システムの再構築」に含まれると思います。
医師側も情報公開がもっと必要かもしれませんね。
特に,医療過誤と医療の限界の区別については,もっとはっきりと説明する必要があるでしょう。
今回の場合,いろいろな場面で想定外の出来事がいくつか発生していたようです。
当然のことながら,自分の体のことは自分で管理することが大切なのですが,救急状態の場合,やはりいろいろな「想定外」が発生します。
かかりつけ医がいないような場合でもある程度対応できるような体制が理想的ですが,そのためには各専門医の充実が求められるでしょうね。
格差社会で普通に医者に通えない人が増えているようです。出産の場合,最終的には保健で戻ってくるのですが,そうは言っても一時金が必要となります。それすら払えない(払わないではなく)人がいるのも事実です。
そのような状態で本当に子育てができるのかという問題もでてきますので,少子化対策としてはこのような出産費用の問題,生まれたあとの生活の問題などについてもしっかり検証する必要があるでしょうね。
みんながみんな,病院でうむとはかぎりません。今回の救急体制についても,そういう前提以外の場合も想定しておく必要があるでしょう。
今回の妊婦の方,情報が錯綜していまして,実際どうだったのか正直私も分かりません。
ただ,少なくともいえることは,自分が良い悪いにかかわらず,やはり病気で苦しむ状態になった人が目の前にいたら,はやく救ってあげるのが人道的であるといえるでしょう。
したがって,本人に非があるかはともかく,今回たらい回しになったこと自体はしっかりと反省し,再検証する必要があるといえるでしょうね。
しかし,真実は何か,本当に気になります。
報道は捕らえ方によって二転三転しますね。どれが真実なのか分かりませんね?いずれにしても今の医療体制のままではいけないですね。
奈良県内でも南部地域だと大きな病院まで50km以上あるのに、そこで対応できなかったらどうしようもありませんね?例えば十津川村の一部では和歌山の新宮市に頼らざるを得ないかもしれません。交通の利便性考えて他府県との連携は必要な場合もありますが、今回のように立地に問題ない地域なら県内で対応できるように体制と整えていく必要がありますね。
不肖もいなちゃんさん同様な感想なのでありますが、これ報道によって、何やら明らかにされていない部分が垣間見えるところであります。
多くの報道は「妊娠3ヶ月」だったのでありますが・・・
1.例えばおかにゃんさんリンク記事
>> 約40分後に高槻市内の病院に運ばれたが、妊娠3か月で、すでに流産
2.しかしこちらの報道では・・・
http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/tokusyu/toku1/mt20070830kk08.htm
>> 妊娠7か月だった奈良県橿原市の女性(38)を運んでいた救急車の事故後、女性の死産が確認
http://www.daily.co.jp/gossip/2007/08/29/0000581795.shtml
こちら↑では・・・
>> 女性は妊娠6カ月
3.通報時間と場所について
前掲デイリーでは・・・
>> 女性は同日午前2時45分ごろ、出血を伴う腹痛を訴え119番
真夜中(未明)なのですが場所が不明・・・
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070830-248866.html
こちら↑では・・・
>> 女性は知人の男性と橿原市のスーパーで買い物中
>> 29日午前2時44分、男性が119番
・・・とあるのでございます。ここまでいろいろ報道記事をあたって、ようやく事態が飲み込めたボンクラ親爺なのでありますが、ここで疑問がもたげました。
「妊婦は妊娠6・7ヶ月なのに、定期健診を受けていなかったのか?(=かかりつけの医師がいなかったのか?)」であります。
本件の最大の原因は、以前にもあった患者の「たらいまわし」の奈良県(全国的?)緊急医療体制にあり、奈良県ではなくて大阪府で受け入れたという、システムにあるとは思うのでありますが・・・
未明に買い物の是非は別としても・・・妊娠6・7ヶ月であったこと、そこからすれば、日常のかかりつけ医療(出産)体制はどうだったのか、あるいは定期検診の事実の有無はどうか等・・・社会的にもちっと根深い問題があるような気がしないでもありません。
親爺の戯言でありました。
まあ、医師からは訴訟がとかいろいろ反論があるのですが、医療現場の透明性は絶対的に不足していると思います。
昔は流産死産なんて当たり前のようにあったと思う。今は1人の出産へのウエイトが高くなったことにより、負担も大きくなったと思う。これを昔のようにとはいかないでしょうし。しかし女性の労働人口の増加にともない流産早産のリスクも増大している。ここは別の観点からも見直すべきでしょうね?
今回の場合は流産ではなく死産だったとも言われますね。憶測ですが、生活状況からみて妊婦さんが何故ここまで放っておいたのか、もしくは妊娠に気付いてない可能性もあったかもしれませんね。かかりつけ医がいなければ対応してくれないのも現状。生活が不安定だと難しいですね。
私達の立場からできる事は、健康管理(妊娠も含め)についてもっと知識を深める。家族計画も重要。そういう機会を自治体や学校が積極的に取り組んでいくことが重要かな?と。それによって救急車を呼ばずに対応できることも増えるかと思いますが。
このニュース、もちろん医療体制の不備が一番いかんのですけど、
旦那の顔や声が一切見えなかったり(通報した友人?ばかり出てくる)、
妊娠3ヶ月になるのに地元近くにかかりつけがなかったり(検査薬だけで判断してたのか?)、
妊婦側にも理解できないことが多すぎで、おいらの脳みそでは記事に出来ませんでした…。