いわゆる派遣切りが社会問題化する中,政府は非正規労働者の雇用確保などを図るための雇用対策を発表しました。これは主に(1)雇用維持対策(2)再就職支援対策(3)内定取り消し対策の3本柱からなり,3年間で2兆円規模となる見込みです。
雇用対策を政府決定 3年間で2兆円規模投入(朝日新聞) - goo ニュース
社長を守るか,労働者を守るか
この制度,一見すると労働者の権利を大きく拡大させるようにも思えます。しかし,よくよく見ると,「派遣社員を正社員にしたら100万円上げる」とか,あくまでも非正規労働者の雇用確保であり,決して正規社員の賃金確保ではないことなど,必ずしも「労働者の権利を手厚く保護」したともいえません。
では,なぜこのような政策が出てきたのでしょうか。それは,おおざっぱにいうと,自民党と民主党とは,「景気対策としての会社の扱い」が全く異なっているからです。
自民党は,「経済活動を活性化させるためには,まず経営者が動きやすいシステムを作るべきである」という「経営者優遇政策」を中心に構成しており,一方民主党は,「企業の活力を高めるためには企業の基盤たる労働者が安定した生活が図られるようにすることが第一である。」という「労働者優遇政策」を中心に構成しています。
つまり,自民党は「経営者ベクトル」,民主党は「労働者ベクトル」になっているのです。それは,それぞれの支持母体を見ても,一目瞭然です(自民党は,経団連や大企業が支援組織の中心にあり,民主党は労働組合が支援組織の中心にある。)。
ただし,「じゃあ,民主党の方が生活第一じゃないか」と単純に割り切らないでください。もちろん,どちらがよいかは最終的には有権者たる私たちが決めることです。
ただ,それぞれの主張や,これが景気対策にどういう影響を与えるか考えてみましょう。
経営者優遇政策の場合
1 目的は「海外の企業との競争力の強化」,すなわち「外貨獲得の機会向上」にある。
2 そのためには,競争の足かせとなる規制は極力排除する必要がある(規制緩和,法人税減税,労働者の自由な増減や給与削減の自由などによる経費節減など)
3 経営者にインセンティブを与えることで,経営者は「より儲ける」という意欲が出て,さらに国際競争力が増す。
4 企業が強くなれば,結果的にそこで働く労働者の雇用を確保でき,生活の確保ができる。
労働者優遇政策の場合
1 目的は「労働者の雇用と給与の安定確保」,すなわち「安心して働ける職場環境」にある。
2 正規労働者も非正規労働者も安心して働けることで,労働者の勤労意欲が増し,企業収益の増加につながる。
3 企業収益が増加すれば,結果的に海外の企業との競争にも太刀打ちできる。
4 労働者の雇用を確保して,かつ安定した給与を支払うことで,労働者の生活も安定し,それにより生活費などの支出が増える(内需拡大の効果が生じる)。
以上の効果が期待できます。いずれも,結果的には「外貨獲得」と「内需拡大」という景気対策に必要な要件は満たします。ただ,「どっちから攻めるか」というベクトルが違うため,「じゃあ,どっちの方が効果が大きいのか」という点で差異が生じると思います。
さて,どちらの政策がよいでしょうか?ここでは,あえて私見は出しません。皆様のお考えに委ねます。
ただ,これは,それぞれの立場や経済に対する見方によって大きく異なると思います。選挙の際は,こうした「ベクトルの違い」も踏まえて,「どの政党,どの候補者に投票するか」を考えてみると良いでしょう。
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社長を守るか,労働者を守るか
この制度,一見すると労働者の権利を大きく拡大させるようにも思えます。しかし,よくよく見ると,「派遣社員を正社員にしたら100万円上げる」とか,あくまでも非正規労働者の雇用確保であり,決して正規社員の賃金確保ではないことなど,必ずしも「労働者の権利を手厚く保護」したともいえません。
では,なぜこのような政策が出てきたのでしょうか。それは,おおざっぱにいうと,自民党と民主党とは,「景気対策としての会社の扱い」が全く異なっているからです。
自民党は,「経済活動を活性化させるためには,まず経営者が動きやすいシステムを作るべきである」という「経営者優遇政策」を中心に構成しており,一方民主党は,「企業の活力を高めるためには企業の基盤たる労働者が安定した生活が図られるようにすることが第一である。」という「労働者優遇政策」を中心に構成しています。
つまり,自民党は「経営者ベクトル」,民主党は「労働者ベクトル」になっているのです。それは,それぞれの支持母体を見ても,一目瞭然です(自民党は,経団連や大企業が支援組織の中心にあり,民主党は労働組合が支援組織の中心にある。)。
ただし,「じゃあ,民主党の方が生活第一じゃないか」と単純に割り切らないでください。もちろん,どちらがよいかは最終的には有権者たる私たちが決めることです。
ただ,それぞれの主張や,これが景気対策にどういう影響を与えるか考えてみましょう。
経営者優遇政策の場合
1 目的は「海外の企業との競争力の強化」,すなわち「外貨獲得の機会向上」にある。
2 そのためには,競争の足かせとなる規制は極力排除する必要がある(規制緩和,法人税減税,労働者の自由な増減や給与削減の自由などによる経費節減など)
3 経営者にインセンティブを与えることで,経営者は「より儲ける」という意欲が出て,さらに国際競争力が増す。
4 企業が強くなれば,結果的にそこで働く労働者の雇用を確保でき,生活の確保ができる。
労働者優遇政策の場合
1 目的は「労働者の雇用と給与の安定確保」,すなわち「安心して働ける職場環境」にある。
2 正規労働者も非正規労働者も安心して働けることで,労働者の勤労意欲が増し,企業収益の増加につながる。
3 企業収益が増加すれば,結果的に海外の企業との競争にも太刀打ちできる。
4 労働者の雇用を確保して,かつ安定した給与を支払うことで,労働者の生活も安定し,それにより生活費などの支出が増える(内需拡大の効果が生じる)。
以上の効果が期待できます。いずれも,結果的には「外貨獲得」と「内需拡大」という景気対策に必要な要件は満たします。ただ,「どっちから攻めるか」というベクトルが違うため,「じゃあ,どっちの方が効果が大きいのか」という点で差異が生じると思います。
さて,どちらの政策がよいでしょうか?ここでは,あえて私見は出しません。皆様のお考えに委ねます。
ただ,これは,それぞれの立場や経済に対する見方によって大きく異なると思います。選挙の際は,こうした「ベクトルの違い」も踏まえて,「どの政党,どの候補者に投票するか」を考えてみると良いでしょう。
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デメリット編ですね。早速検討してみます。
ただ,基本的には,それぞれのメリットの裏返しにはなると思います。