あれは,あれで良いのかなPART2

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ロボット店長は会社本体をつぶしかねない

2008年07月18日 01時25分17秒 | 経済全般
すかいらーくで1年更新の契約店長だった方が亡くなった原因は過労死であると春日部労働基準監督署が認定したようです。
これによると,タイムカード上の残業は月平均39時間程度となっていたが,実際には月平均200時間以上働いており,かつ休日はほとんどなかったのが労働実態だったということのようです。

すかいらーく「店長」が過労死=残業「月200時間」-春日部労基署が労災認定(時事通信) - goo ニュース

人件費を削りすぎると,会社自体の成長も削る

今の時代,すべての物価が上がっているため,いかに経費を削減するかが経営者共通の悩みの種となっています。そこで,近年は,「正規雇用を減らし,派遣社員で対応する」という手法を取ることで人件費を削減して経費を抑制しています。
飲食業業界も例外ではなく,先日管理職の残業代未払いが問題となったマクドナルドなどでは店長もアルバイトという場合が多くなっています。
今回のすかいらーくも同様に店長が契約社員となっていました。

個人的には店長を契約社員が行うということは,要職に長期雇用の人間がいないということになるため「会社としては将来会社をしょって立つ人間を育てるつもりがない」といえ,結果的にその会社の成長性には大きな疑問を感じざるを得ないと思います。
契約社員の立場としては,「身分不安定だから会社のいうなり」として働かざるを得ません。当然,最近発生している企業不祥事についても,本社や社長から指示がある以上,断ることはできません(これは正社員だって同じことでしょうが)。こういう点も会社成長の阻害要因になり得ます。

そもそも店長はその店のトップなのですから,本来は「それなりの責任と権限」を与えてその店の切り盛りを委ねるというのが筋です。そして,店長としては自己の責任において多少の冒険をすることも許されます。これは冒険に失敗しても「社員の身分」が保障されているからです。そして,冒険に成功すれば,店長はその上の地位(本社要職など)に行くことができるなどのインセンティブが与えられています。この冒険の成功や失敗を繰り返させることが「人材育成」であり,そうした中で成功パターンを身につけさせ,そのノウハウが会社にとって有益な情報になるのです。人材育成が重要なのはこういう点にあるのです。
しかし,現状では,バイト店長には「それなりの責任」はあるが,「それなりの権限」は与えられていません。したがって,基本的には「本社言いなり」で動くしかありません。本社が無茶振りをしてきたら,店長が泥をかぶるしかないのです。
また,経営上の冒険はできません。身分保障がないからです。さらに,店をうまく切り盛りした場合のインセンティブは単に「契約延長」だけです。すなわち,外見上は一切ご褒美がないのです。
これでは,店をでかくするなんていう発想になりません。結局,店長とは名ばかりで,実体は本社の指示通り動くロボットでしかないのです。ロボットは成長しませんから,会社に更なる利益を与えることにもなりません。人材が育成されない,ということなのです。

契約社員が店長をやること自体は否定するつもりはありませんが,店長とする以上,正規社員が店長の場合と同様の権限とインセンティブは用意するべきでしょう。そして,何よりも「会社の発展は人材育成」という発想を企業トップ持つべきです。「社員は兵隊」と思う企業は,将来の会社にとって必要な人間が育たないからです。
当然経費がかかります。しかし,この経費こそ「人材育成代」,すなわち「将来の拡大再投資」なのです。これを会社が負担するか,顧客に負担させるかは会社の判断ですが,少なくとも「会社を成長させたい」のであれば,ロボット店長システムは改めるべきでしょう。
そして,人を育てる意識が会社にあれば,自ずと過酷な労働条件が軽減します。
すかいらーくも,この問題を機に,「ロボット店長システム」を見直してほしいものです。すべては会社のためですが,人が育てばいい商品提供が行われるという我々顧客のためにもなる,という点も忘れてほしくないなあと思います。そうすることで,まさに「三方良し」になることでしょう。

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4 コメント

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伝統 (のびぃ太)
2008-07-19 00:03:52
新しい経営は伝統的な智恵を捨てたのでしょうか。
会社は株主、顧客、社員によって支えらていると言われたものですが、そしてもっと古くは「人は城、人は石垣、人は掘」人的資源を無駄にする国には未来がないと思っています。
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のびぃ太さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-07-19 01:19:45
こんばんは。
ある社長は「人は宝」と言ってました。人を使い捨てする企業は,顧客も使い捨てになるでしょうね。
ちなみに,日本が太平洋戦争で負けた理由の一つに「兵隊の使い方」があると言われています。アメリカは,「兵の命をいかに守り,育て上げるか」という視点で戦略を立てたり兵器を作成していたが,日本の場合は「とにかく人海戦術」ということで,「兵を育て上げる」という視点が亡かったということがあげられます。
この辺りの発想は,実は今もそんなに変わっていないかもしれませんね。
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人間五十年、下天の内をくらぶれば・・・ (時評親爺)
2008-07-19 08:57:22
おはようにございますよ(朝からポッキー汗)

タイトルは、のびぃ太さんの弁にある「人は城、人は石垣、人は堀」との、武田晴信(信玄)の言とされる名言に対し、直接に雌雄を決することがなかった同世代に生きた、織田信長が好んだとされる「幸若舞『敦盛』」の一節であります・・・いあ、のびぃ太さん(信玄)に(信長で以って)対抗しようなどと言うつもりは全くありません(汗)

>> 午前7時から翌日午前2~3時に帰宅する生活

件の店長さん、報道では「32歳」とあるようで、15~6世紀でも「人間五十年」でありますから(=たぶん平均寿命だと憶測する汗)、まさに中世以上の過労?を強いられた?とも(汗)

しかし”店員”じゃなくて”店長”が「契約社員」とは、雇用形態が・・・契約謎
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時評親爺さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-07-20 12:27:33
こんにちは。三連休の真ん中ということで部屋掃除を始めましたが,10分でばててしまったところです(余計ちらかっただけだった無駄汗)。
さて,まさに「下天は夢か」の世界の言葉ですね。不謹慎にパロディ化すると「下店長は夢か」っていう状態でしょうか(意味不明汗)。
しかし,契約社員店長,勤務形態を見る限りまさに「一人コンビニ」状態ですよね。これじゃ契約社員じゃなくて普通の社員だったとしてもどうかしちゃうと思います。
「いやなら辞めれば」という一言がきついんでしょうね,きっと(パワハラはつらいよ涙)
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