政府与党は,2009年をめどに,義務教育の低年齢化の検討を始めるそうです。具体的には,幼稚園の1,2年を義務教育とすることで,学力低下をくい止めようと言う狙いがあるとのことです。
幼稚園から義務教育、延長幅1~2年…政府・与党方針
ちょっと問題が多すぎませんか?
まず,ざーっと気になった点を網羅していきます。
1 現在の幼児教育施設として幼稚園と保育園がありますが,両者は管轄が違います(幼稚園は文部科学省,保育園は厚生労働省)。当然,そこで働く人の資格も全く違います(幼稚園は教員免許,保育園は保育士免許)。義務教育でこの両者を統合するのは厚生労働省が全面的に折れない限り無理です。
2 幼稚園と保育園は,そもそもコンセプトが違います(幼稚園が幼児教育にあるのに対し,保育園は育児を主眼にしている)。
3 現在どちらを選択するかは,各家庭の生活スタイルに委ねられています(一般に,共働きの家庭は保育園を選択している場合が多いでしょう)。一方的に幼稚園や保育園を押しつけることは,生活スタイルを変えざるを得ないことになりかねません。
4 幼稚園も保育園も,割合的には公立より私立が多いです(小中高校は公立の方が多いです。)。義務教育化するのであれば,当然公立の幼稚園,保育園を一気に作らなければなりません(私立であれば,義務教育でも授業料は徴収できる)。
5 都心部では待機児童など幼稚園,保育園に入園できない子供がいることが問題となっています(小中学校では,逆に空き教室の問題があります。)。実際問題,各自治体の財政上,作りたくても作れないのが実情なのではないでしょうか。
6 子供のしつけができない親が増えており,そうした中で義務教育を低年齢化することは,しつけ役をすべて学校に押しつけるのではないかという懸念があります(逆に言うと,幼稚園の先生は,全く手に負えない子供をたくさん抱え込み,てんぱってしまうのではないかという懸念があります)。
7 学力低下を防ぐ方策は,義務教育の低年齢化ではなく,義務教育の中身の充実が重要といえるのではないでしょうか。
8 外国と比較していますが,外国は学校制度全体の構造が違うため,単純に比較はできないのではないでしょうか。
幼児教育の義務教育か自体には,必ずしも反対はしませんが,あと3年で実施するというのは,検討時間がなさすぎると言えるでしょう。なによりも,教育現場の声(幼稚園や保育園の実情)を果たして十分把握していると言えるのか,疑問を感じざるを得ません。更に言えば,三位一体をよいことに,これらの財源はすべて地方自治体に任せることが想定されます。地方自治体側に上記問題を解決するだけの財政的ゆとりがあるでしょうか。
私は,幼稚園の義務教育化を検討するのであれば,学校制度全体を見直すべきであろうと思います。具体的には,1飛び級を認める(できる人はどんどん上に),2落第を積極的に行えるようにする(基礎学力をしっかり身につけさせる),3学校と地域の交流を可能とする(子育て,教育は国民みんなでやるもの,という意識を醸成する),4地方自治体に学校設置の権限を大幅に委譲する(まちづくり,人づくりのなかでの学校の役割が明確になるようにする),5学校の選択肢を多様化する(単に学区内の学校選択という意味ではなく,中学校でも専門課程別コースを設けるなど,多様なコース選択を可能にする)などが考えられます。
幼稚園義務教育の検討と同時に,このようなことの検討も是非行ってほしいものです。
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TBリスト(途中から始めましたので,一部になります)
http://blog.livedoor.jp/kaikai00/archives/50361181.html
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1 現在の幼児教育施設として幼稚園と保育園がありますが,両者は管轄が違います(幼稚園は文部科学省,保育園は厚生労働省)。当然,そこで働く人の資格も全く違います(幼稚園は教員免許,保育園は保育士免許)。義務教育でこの両者を統合するのは厚生労働省が全面的に折れない限り無理です。
2 幼稚園と保育園は,そもそもコンセプトが違います(幼稚園が幼児教育にあるのに対し,保育園は育児を主眼にしている)。
3 現在どちらを選択するかは,各家庭の生活スタイルに委ねられています(一般に,共働きの家庭は保育園を選択している場合が多いでしょう)。一方的に幼稚園や保育園を押しつけることは,生活スタイルを変えざるを得ないことになりかねません。
4 幼稚園も保育園も,割合的には公立より私立が多いです(小中高校は公立の方が多いです。)。義務教育化するのであれば,当然公立の幼稚園,保育園を一気に作らなければなりません(私立であれば,義務教育でも授業料は徴収できる)。
5 都心部では待機児童など幼稚園,保育園に入園できない子供がいることが問題となっています(小中学校では,逆に空き教室の問題があります。)。実際問題,各自治体の財政上,作りたくても作れないのが実情なのではないでしょうか。
6 子供のしつけができない親が増えており,そうした中で義務教育を低年齢化することは,しつけ役をすべて学校に押しつけるのではないかという懸念があります(逆に言うと,幼稚園の先生は,全く手に負えない子供をたくさん抱え込み,てんぱってしまうのではないかという懸念があります)。
7 学力低下を防ぐ方策は,義務教育の低年齢化ではなく,義務教育の中身の充実が重要といえるのではないでしょうか。
8 外国と比較していますが,外国は学校制度全体の構造が違うため,単純に比較はできないのではないでしょうか。
幼児教育の義務教育か自体には,必ずしも反対はしませんが,あと3年で実施するというのは,検討時間がなさすぎると言えるでしょう。なによりも,教育現場の声(幼稚園や保育園の実情)を果たして十分把握していると言えるのか,疑問を感じざるを得ません。更に言えば,三位一体をよいことに,これらの財源はすべて地方自治体に任せることが想定されます。地方自治体側に上記問題を解決するだけの財政的ゆとりがあるでしょうか。
私は,幼稚園の義務教育化を検討するのであれば,学校制度全体を見直すべきであろうと思います。具体的には,1飛び級を認める(できる人はどんどん上に),2落第を積極的に行えるようにする(基礎学力をしっかり身につけさせる),3学校と地域の交流を可能とする(子育て,教育は国民みんなでやるもの,という意識を醸成する),4地方自治体に学校設置の権限を大幅に委譲する(まちづくり,人づくりのなかでの学校の役割が明確になるようにする),5学校の選択肢を多様化する(単に学区内の学校選択という意味ではなく,中学校でも専門課程別コースを設けるなど,多様なコース選択を可能にする)などが考えられます。
幼稚園義務教育の検討と同時に,このようなことの検討も是非行ってほしいものです。
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