おかあさんのうた

どこをどう歩いてきたんだろう。
おかあさん、子供たちよ。
あのぬくもりはもう帰っては来ないのだろうか。

アコ誕生

2010-06-15 10:27:22 | 随筆

左下にアコと過ごしたマンションが見える。


 もう直ぐ、アコの誕生日だね。

 あの頃、世間では、出産には父親が付き添えということが言われ始めていた。

お母さんが入院したと聞いて、出金したばかりだったけど、お父さんは会社の休みをとって、病院に駆けつけた。

病室に入ろうとしたら、おばあちゃん(お母さんの母)がいて、

「出産くらいで男がおたおたするもんじゃない。会社に行きなさい!」

「男は仕事がある。出張とかで不在のときにどうする。あんたがいないと娘は出産しない事だっ
てある。顔を見せちゃ駄目!」

と病室にも入れてもらえずに追い返された

その頃は、そうした時代だった。

今更、会社に帰るわけにもいかず、ひとり誰もいない家に帰った。

 あの高台から関門海峡を眺めているとひとりぼっちが淋しかった。

おまえの誕生日の歌を作った。メロディーもだよ。

“梅雨空晴れて 夏が来て

おいらに可愛い 娘ができた

おまえとパパは 恋人同士

パパとママで  How do you

how do you How do you,do”

メロディも覚えているよ。

下手だね。

あの日の海峡の姿や対岸の彦島が小雨に煙っていた。

まだ、梅雨の真っ最中なのにおかしいね。

夏が来たら、海に行こう。

公園を散歩しよう。

あれこれ、想像してとても幸せだった。