カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

キッチンから生まれるデザイン

2011年04月15日 | Soliloquy

食事の後片付けはお好きですか?私は案外好きです。

備え付けの大きな食洗器がありますが、使いません。

私にとって器を手洗いする事は、陶芸家としてとても大切だからです。

 

 

私のキッチンシンクの目の前はこのような感じで、庭の一部が見渡せます。

ここに並んでいるのは全て私の作品。

飾りではなくて、実際にお料理を盛りつけたりお花を生けたりして普段に使います。

この「目の前に出しておく」というのは私にとって非常に重要なのです。

私は少なくとも一日2時間はキッチンのこの場所に立ちます。

お料理をしながら、後片付けをしながら、自分の器に付いて考えます。

一生懸命見て、考えて、使って、自分の作品を理解するのです。

自分で作っておいて理解も無いものだと思われるかもしれませんが、

そう簡単に器を理解する事など出来ないものです。

ひとつひとつ器を丁寧に洗いながら土と語り合ううちに、

ようやく少しずつ、見えて来るものが有るという程度のものです。

 



おもてなしの器、普段使いの器、等と申しますが、

本当の所、果たしてその器がどのような役割を果たすのかは、

作り手や売る側が販売戦略として分類するのではなく、

使う方がお決めになる事です。

私はお料理が盛りつけられる絵ばかり想像して器を作る事はしません。

収納を含めた後片付けの事まで考えて作らないと、

使って頂ける頻度が減るからです。

我が家はおもてなしが仕事の一部ともいえるのですが、

お客様がお帰りになった深夜に器を洗う時などは、

本当に器のデザインを考えるのには最良の時間です。

疲れていても、洗うのが苦にならない器が、

実のところ最も出番の多い器だったりする訳です。


日常の中で使いながら問題点を改善し、器を理解し、

次作のデザインを考える。

私の器はキッチンから生まれます。