「寂しいな。こんな駅があるなんて……」
普段は比較的都会の方に住んでる小頭はこんな駅を観たことなかったのだ。勿論都会の方にも廃駅はあるだろう。でも廃駅だけあって利用なんてすることはない。てか廃駅だからこそ、利用なんてできないだろう。
でもこの駅は普通に放置? されてるみたいだ。けどそこまで汚いとかもない。誰かが管理してるのだろうか? でも流石に時刻表とか、駅に張られたポスターとかは数年前の物のまま。そこにここが取り残された物なんだと小頭にはわかった。
時が止まった場所。そして小頭はあるポスターみつけた。それはなんかよくわからないキャラクターが敬礼のポーズをしてタスキをかけてた。それにはこう書いてある。
『○○君一日署長』
――とね。そこで小頭はピーンときた。そして線路の方をみる。そこには汗をかきながらなんとかこの駅を通り過ぎる前に力を通そうとしてる育代、今も尚相撲を挑んでる鬼男。鬼女は芋虫妖怪の背中にのって、ジャンプしつつ落ちることで連続してダメージを与える……ということをやってた。
でもやっぱり無理で……はっきり言って三人共疲労が見えてた。それに比べて芋虫妖怪には疲労なんてみえない。そもそもが疲労とか体調とか全く分からないからなんともいえないが完全回復してるのなら、疲れとかないはずだ。
だって血まみれになっても駅に入る前にもどると完全回復してるのだ。きっとそれはまさに字面道理の完全回復なんだと小頭は考えてる。でも……その完全回復が適用されるのは芋虫妖怪だけだ。この駅にいる対象全員……とかじゃない。つまりは頑張ってるみんなの体力は当然へりつづけてる。
そして育代はさっきから頑張ってあの巨体(海坊主よりはちいさい)に力を通そうと頑張ってる。でもそれがなせる前に、芋虫妖怪は元に戻ってるわけだ。つまりは何回も何回も育代は芋虫妖怪に通そうとしてた力をなくしてることになる。
だからそろそろ危なそう。限界が来そうだった。だってきっと力は無限に使えるものじゃないだろう。
(草案も疲れるっていってたしね)
小頭の友達の草陰草案だって何回だって無制限にその力を使えるとなれば、誰でも治し続けることができただろう。でもそんなことを彼女はやってない。寧ろ回復できる人数は絞ってる。
それにはやっぱり限界があるからだ。それは育代だって同じだろう。
(上手く行けばいいけど……てかちょっと恥ずかしいな)
とりあえず小頭は駅の前の方に行った。再び駅に入る前に芋虫妖怪が戻るのをまった。やっぱり今回もダメでパッと芋虫妖怪は駅に入る前に戻る。
「ぷぷー」
――と音をだして駅に入ってくる芋虫妖怪。それに見えるように小頭は手を挙げてこう叫んだ。
「各駅停車。各駅停車○○駅行停車します! お待ちのお客様は線を後ろにお下がりください」
――てね。