外来動物の野生化 飼えないなら拾ってくるな!を常識に

2012-09-05 13:03:26 | 自然と環境のこと
■仕組みが分かるだけでは不十分なのだ…

そう、この河口湖で会ったオオカナダガン…実は地元の人が北米原産のこの鳥を、日本に導入してしまい、それが日本の地に適応して、繁殖し、今では糞害や、日本の固有のガンと交雑してしまう危険があり、要注意外来動物になってしまったのだそうです。


ここでは事情の詳細は他のサイトに色々書いてあるので端折ります…

で、今回のお題は…一体誰を責めるべきか?です。

★問題の構造
 客とふれあうために動物を半野生状態にして飼育
  ↓
 野生化

悪いのは誰か?

 ①連れてきた観光施設
 ②それをみて喜ぶ観光客
 ③指導をしない行政
 ④自然環境に詳しく間違いが間違いだと分かる立場の専門家

① 観光施設が悪いのか?
観光施設が動物を連れてくる理由は、単にかわいいから、です。問題になっているアライグマも、フェレットも
可愛い猫と同じことで、「かわいい」と「人々が寄ってくる」から、「商売の足しになる」と連れてくる。

観光施設は、悪意はないつもりでしょう…それは想像に難くありません。ちょっとした善意のつもりでさえ
あるかもしれません。 お客さんを喜ばせたい、は特に問題ある心理ではありません。

ところが動機はともかくその行動が無知すぎますね。しかし、犯罪者の裁判でも、結果ではなく動機で人は
さばかれます。悪気がなかったら無知こそ問題で、有罪は確定でも情状酌量の余地ありでしょう(笑)。

② かわいいと喜ぶ客が悪いのか?
「かわいい」とか「めずらしい」ものが要れば喜ぶのは自然な心理ですから、そんなことを責められても困ります。
それも見に来ただけで責められるのなら、珍しい野生動物を見て喜ぶのだって否定しなきゃなりません。

僻地で希少な動物に会って喜んでいいのなら、観光地にいる動物に会ってよろこんで悪いはずがない。

この場合、客がいるから商売が成り立つんだ!という観光客への避難は、八つ当たりというものです。

商売があるから来る、っていう論理だって成り立つし、別に観光客はその動物が目当てで来ているのではないでしょう。

根本はもっと多くの人に来てもらいたいという商売をする側の発想が、無知により、とんでもない結果に
結びついたことです。

観光客は無罪です。でも餌付けはしないようにしましょう。火に油を注いで、事件に関与する必要はありません(笑)

③ 行政は悪いのか?
生態系は守るもの、というのはずいぶん昔に成立した概念ですから、世界中の国では多様性を守るために
検疫を強めています。節操なく、外国の動植物を入れている国は日本くらいです。

オーストラリアやニュージーランドでは木製品だって持ち込めません。ペットとして飼われていた動物が逃げ出して繁殖したら、その捕獲には莫大な労力とお金がかかります。これは常識です。

そもそも外国の動物や植物を持ち込んではいけないことにしていればいいのです。特に持ち込んだ結果どうなるか分からない場合はなおさらです。

④ 専門家は悪いのか?

行政にアドバイスする立場の専門家はたぶん有罪です。でも自分で悪いことをしていると知っています。
沈黙することは同意することと一緒です。 なぜ間違いを指摘しないの?自分の立場が悪くなるのは嫌だから? 

どういう理由にせよ、悪いと分かっていることを見てみぬ振りしている…のは実はヨガ的に言うと、
自分自身の心が一番良く知っていて、精神的には穏やかではないはずです。バッチリ罰されています、たぶん。

子供っぽい言い方をすれば天国にはもういけません(笑)こんな小さな事件で天国にいけないなんて悔しいじゃないですか? ちゃんと指摘すべきことは指摘する、というほうが精神衛生にも良く、穏やかな夜を迎えられそうです(笑)

■ では、何をすれば良いか?

自分がどの立場かを考えましょう。大部分の人は①の観光客のはずです。 

無知を責められても、自分に興味がないことを無理やり知る必要は誰にもありませんから、オオカナダガンについて知らなくても責められる筋合いはありません。

でも、どんな動物であっても、野生動物に餌をやって喜ぶのは辞めましょう。野良猫を飼えないなら拾ってくるな、というのと同じです。

②の観光客を集める立場であれば、自分自身の土地の価値を見出しましょう。日本は外国の真似なんかせずとも
素晴らしいところです。日本中同じような景色が広がる今、地元の魅力をちゃんと発掘すれば、外国のものなんかよりもっと魅力があるでしょう。

それに連れてきたところで観光客の反応なんて、「へぇ」くらいで大してよくありませんよね。

③行政

威張っているだけではなくて、ちゃんと行政指導をしましょう。こんな鳥、大繁殖したら責任取れるんですか?くらいのキツイ言葉で、野放図は止むはずです。

④専門家

専門家は、ちゃんと分かっていることを知らない人に伝えましょう。 共有されない知識なんて何の価値もありません。

■ パワーは内向きに

どの分野に属しているにしても、他の人を責めるのは辞めましょう。

一体なんで、山梨県の観光を担う人は、オオカナダガンなんて連れてきてしまったのか分かりませんが、もういるんだからね…現実はそっから。

私ははっきり言って、アライグマのようなことになるんだったら早めに根絶やしにするほうが動物には、むしろ親切と思います。

食肉工場の牛や馬と同じことで、人間が自分勝手なことをしなければ生まれなかった命なのです。人間にはその命に責任があるのではないでしょうか。

ともあれ、悪い人探しをしても、不毛です。やれることをやれるところから。 日本の生態系はかく乱されて、昔の豊かな日本とは似ても似つかない有様になり果ててしまいました…(><) それもこれも親の世代が、環境などということは二の次に経済発展だけを優先してきたからです。

…が都合が良いことに、その次世代は、経済成長なんて魅力を感じない。 もっと本物の幸せを求めている。

ただ本物がどこにもなくなっているという欠陥がありますが…ま、いちから作っていくという喜びがあるともいえます。

日本の自然は破壊の後の復旧あるいは治癒の段階にあります。

■備忘録

このような情報をもらいました。
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このカナダガンの一番の問題は、日本には古くからシジュウカラガンというカナダガンの近縁種が東北に渡来しており、それと交雑してしまう恐れがあることです。
このシジュウカラガンは世界的にとても希少な鳥で、日本でもプロジェクトをおこなって増殖事業をおこなっていますが、このカナダガンが増えて交雑してしまうと、その努力も水の泡になってしまいますし、絶滅に追いやられることも考えられるわけです。実際に南米のカイツブリ類でそういうことが起こっています。
このカナダガンは、詳しい経緯は不明なことも多いのですが、富士山の施設に導入さ入れたものが野外に逸脱し繁殖したと考えられています。めんどうなことにカナダガンとシジュウカラガンはとてもよく似ているので、とても珍しいガンが繁殖したと地元の野鳥愛好家が喜んだという顛末もあります。
積極的に捕獲して駆除をしたいところですが、なかなかそれも難しく、今のところ少なくても標識をつけて管理することにしており、有志のボランティアで活動を細々としているのが現状。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー抜粋終わり

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