怠惰なビジネスvs勤勉なビジネス

2014-02-15 07:53:49 | 現在進行形の甲府暮らし

先日のことです。近所に喫茶店ができていたので夫と入りました。入ってみたら、お客は老人が数人でガラガラ。こぎれいな店だったけど、店員さんはボケッと突っ立ってため息交じり。閑古鳥の店です。どうしたのかな?と思いましたがとりあえずランチを頼みました。頼んで納得。

私はできるなら、地元を応援してあげようという奇特な人です。でも・・・無価値なものに高いお金を払う気はないんだな・・・。

1000円のランチセットを頼んだら、サラダは切っただけのにキューピーの業務用ドレッシングを掛けたのだし、スープも業務用を溶かしただけだし、豚の生姜焼きも業務用ソースをからめただけ。ご飯は一番安いお米。食後にコーヒーが付いてきたけど、それで1000円。私はスープは飲まずごはんは残しました。化学調味料風味で食べれない。

大阪ならこれは650円のランチです。安かろう悪かろう、です。もしかして、500円でやる店もあるかもしれない。私がOLしていた頃、近所に激安ランチの店があり、そこはバイキングでした。コーヒー付。

一方先日有機屋さんに行ったら、ステキな野菜すしのランチに衝撃!

玄米を圧力鍋で炊いたもっちりした米をすし飯に握って、野菜尽くしのベジタリアンのお寿司が愛らしく並んだ手作り弁当が1200円。味噌汁と健康茶付。驚いたのは砂糖不使用でレーズンで甘みを付けたお稲荷さんの皮!私も白いお砂糖は使わないし、砂糖自体の消費量も少ないですが、砂糖の置き換えは課題でなかなか難しいことです。 メープルシロップに置き換えると価格が高すぎてあっという間に高級マフィンになっちゃうし。

この寿司ですが、作る手間暇を考えたら、大変だな~と思いました。これで1200円でいいの?って手間のかけ具合です。都会ならコレ、1500円は下らないかも・・・だって作る手間が大変。素材も良いのが分かるし。でも、山梨では平均時給も都会の6割くらいだし(の割に物価は都会より高い)、なんとか価格を下げようと言う努力をして、1200円になったんだろうな~。

でも、私も山梨で1200円のランチを普通に食すことはできない。都会のOLだって日常的に1200円のランチを食せる人は、めったにおらず500円で済ますと思います。

結果、山梨で1200円のランチを食すのはよっぽど気にいっている場合です。他のモノをあきらめて食に回した場合。私の場合はOL時代の支出、化粧品代はほぼ山梨ではゼロなので、こうした部分に回ります。

しかし、それが分かっている人は少数派。1200円のランチ~?お金持ち~!ということで、上客(カモ)とみなす地元民が多い。

前者の店のサービスから見え隠れしている心理は、「手間を掛けず儲けたい」ということでした。

もしかして、「都会だったら客が入るのにこっちじゃ人口が少ないから入らない」(ぶつぶつ)と不満に思っているかも・・・でも、正直な所、都会だったら、淘汰されて、この手の店はすぐ敗退です。

だからビジネス環境として恵まれているのは、手抜きのランチを1000円で出してもつぶれない山梨であり、お客として価値を得られ得ていないのは、都会では650円で食べれるランチに1000円出す人です。

一方、手間をかけ、心を込めた、価値ある食事を出す人は、山梨のビジネス環境ではキツキツです。都会に出れば、もう少し価格を出してもらえるものを、価格を下げる努力をして、地元の所得に何とか合わせないと購入してもらえない。無い袖は振れないからです。というわけで、金ではなく、手間と愛情を掛けた料理です(都会では手間と愛情、つまり品質がもっとも高額なものです)。

たとえば都会で1200出せば、ブルディガラ・・・高級フレンチの店ですが、私はときどき営業で利用していました・・・でパスタが一皿食べられます。いうなれば、夜ならドレスアップして接待に使う店ですね。昼ならパワーランチ。

この手作り寿司が1200円とすると、高級フレンチの店で食べる、パスタ一皿と勝負しないといけない・・・都会の人の見かたは、ランチだけではなく、トータルどんな食体験をできるか?で考えるからです。真っ白い高級リネンのテーブルクロス、ピカピカのワイングラスに注がれる、レモン入りの水。笑顔のギャルソン。それも価値の一つなので。

そうすると、野菜すしは、いくら体に良くても、競争力としてやや不足気味。ステキな店舗体験がないので、都会ではギリギリになるでしょう・・・なので、廃業に追い込まれるリスクはある。

だから、食で伝えたいメッセージ、仕事の本質はメッセージを伝えることです・・・を伝えたいと思えば、山梨で、細くてもしっかり伝わる人に伝えていき、ロイヤリティを持ってくれる基盤を少しずつでも厚くしたほうが良い。メッセージが死なない。

都会では本質的な価値を巡って競争があります。

山梨では怠惰なビジネスも生き残ってしまう。

勤勉なビジネスにとっては市場が成熟していない。

自分のビジネスがどちらに入るか?考えてみる必要がありますね。



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