読了 『スピリチュアル・マネージャー』

2012-10-06 15:34:38 | 読書ログ
■ 読了 『スピリチュアル・マネージャー』

スピリチュアル・マネジャー

この本は大変良い本でした。でも、最初のほうの話の展開がまどろっこしくて
イライラさせられたのは、この本の主人公であるスティーブが演じる典型的合理思考型マネージャの物分りの悪い発言にイライラさせられるからでした。

成功したビジネスマンが、どうやって人生とダンスをするかを分かり始めるあたり(読み始めて4分の1ほど)から後はサクサク読むことが出来ました。

■ 人生は力で押し通せない

少年よ大志を抱け、と最初に私達は教えられます。

そして、目標(夢)については、それをブレークダウンし、それに向かってコツコツと努力を積み重ねていく…というのが典型的な私達のあるべき人生像だと刷り込ます。

それは夢ではなく現実を生き初めてからもずっとついて回る誤解の最たるものです。

例えば、100名山に登りたいとしましょう…まずは近くの山、ロープウェーの山から行って、毎週1日登れば、一年は52週だから、2年か冬の間は登らないことにしても、3年で登れるでしょう。そしてそのためには毎日筋肉トレーニングをして・・・

それが私達が学校教育でインプットされている成功哲学です。力で押し切る。

そして登った100の山に達成感を感じる・・・予定通り登れたら、いわゆる”成功”の姿です。早く登れたら”大成功”。他の人にできないことが出来たら”すごい”
100登れなければ、”失敗”
あるいは3年以上掛かれば ”遅延”
毎日のトレーニングをサボれば ”怠惰”
辞めてしまえば”挫折”

これが努力の姿だ、そして、人間は努力をするべきだ、と教えられているせいで、ほとんどの人はただ自分の普通の人間性に従っただけで、心のうちに挫折を感じてしまいます。成功以外のほかの選択肢はすべてネガティブです。

世の中の成功本はそういう風に人生を積み重ねてきた人の”成功秘話”であふれています。

典型的なのは、憧れ → 挫折 → ハングリー精神や負けず嫌いなどの強い思い → 抵抗 → 更なる努力 → 成功 です。

男性的な成功哲学ですね。そのために手帳をスケジュールで一杯にしている人もたくさんいます。ところがスケジュールが埋まれば埋まるほど、やらなければならないことばかりになり、人生が空転をし始めます…。

では、どういう風に人生が人に語りかけてくるか・・・それを平易な物語で表したのがスピリチュアル・マネージャーでした。

■ 内なる声と外にある声の両方を聞く

依然出たインドの高僧が来日してのお話会である男性が質問しました。

「瞑想するけれども心の声が聞こえません」

この方は実はちゃんと心の声が聞こえているのです…でも、その声は彼が期待した形で聞こえてくるのではないだけなのです。 

その高僧は親切な方なので「集中の仕方が違うのかもしれません」と答えられていました。

心の声は 全部、自分の中に既にあります。

その声は聞き方を知れば、そんなに難しいことはなく聞けます。理性の声なのです。

すべての出来事、出合うすべての人が先生になれます。 例えば、先日電車に乗ったとき一杯空いている席なのにわざわざ隣に座ったサラリーマンはある意味リーダーシップとは何かについて私に教える先生です。

ちょっとした嫌な出来事などは、特に深く考える機会となります。良いこともなぜ良いことが起こったのか考えれば、どう生きるべきか?を聞く機会になります。

そうやって学んでいくと、大体において重要なことはそんなに数がありません。

毎日コツコツと積み上げる努力や、逆境に負けない強い心も時には大事ですが、それは、イケイケ押せ押せの体育会系のトレーニングが成長期の体にはあっていても、成長を終えた大人の体に同じメソッドを用いては、体が強くなるより先に消耗してしまうのと同じことで、別の方法もあるのです。

それは押すのではなく、引くという方法論です。

頑張るのではなく、頑張らない、という方法論です。

頑張らないのであれば、どうするのか?というと、自分のコントロールを手放して、運命にお任せする、ということです。

運命にお任せすると言っても、全部をお任せして自分は何もしないのではなく、半分自分でも努力するという感じです。運命と自助努力のコラボです。
(というか感覚としては自助努力をしていれば運命がついてきます)

例えば、私がヨガの先生になろう!と思ったとき、ちょうどよいスタジオを探してくるのは運命の仕事、その勉強をちゃんと身につけるのは自分の仕事です。半々な感じ。

山に行きたい!というのは、内から沸いてきた内なる声でした。けれども、山に行くためにはどんな計画を立てるべきか、服は、食事は、どの山から登るか、そういうことを考えるのは理性の役割です。そして私の山の成功は、100個をいつまでに登ったというような計量化できる目標に縛られていません。計測することは、自分自身の進歩が自分でわからない、あるいは基準を作りたいというようなときには有効な手段ですが、自分で何が成功で何がそうでないか分かっているときにはむしろジャマなのです。囚われてしまいますから。

内なる声と理性の声、どちらをもが調和を保って、やっと内なる声をガイドとした生き方が出来るのです。

そのガイドされて生きた感じがリアルに伝わってきた良書でした。特に企業に勤めていると分かりづらい応用法が分かって良いと思いました。



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