先日、婦人科へ行って来た時の話だ。
初めての病院であったし、
何しろ婦人科の受診自体があまり経験のない出来事であるので
傍目にもハッキリわかるレベルで緊張&浮き足立っていた。
受付開始前に病院へ着き、
「番号札を取って呼ばれるまで待つ」
というその院のルールを知らないが故に完全眼中ナシで
受付のカーテンを看護婦さんが開けている最中にも関わらず
「初めてなんですけど!」
と鼻息荒く、鬼気迫る表情で突撃した私である。
たまたまその看護婦さんが強情なタイプだったのか、
私の声が明らかに聞こえている(その人の目の前に立っているのだ)
にも関わらず、カーテンを開け終えるまでシカト。
カチンときた私がその人の顔を下から覗き込むように接近して
「あの、すみませんが!」
と再度声をかけて初めて、あら、患者さんの存在に気づいたわ!
という猿芝居を打つしたたかさ。
しかし、そこでやっと
「初診の人であっても番号札で呼ばれるまで待機」
というそこのルールに気づいた私。
途端に小さくなる声と態度。
とは言え、その旨については張り紙も何もない上に
番号札置き場がまったく目立たない。
そんなのわかるワケねえじゃねえか!と逆ギレ&開き直り、
また鼻息荒く待合室へ戻るのであった。
さて。婦人科でしかも既婚者の月経関連の悩みとなれば
「まず尿採って来い。話はそれからだ」
というのが婦人科の掟。
私もその掟に乗っ取り、まず採尿を言い渡された。
そこの病院は結構大きいので、一度に色々な指示を出される。
例えば、
「ハイ、そこのお部屋でお小水を取ってください。
専用のコップが備え付けてありますので、
それを使って取ったらマジックで名前を書き、
背面にあるガラス戸の中へ入れて閉めて出て来てください。
その時、受付へ採尿が済んだ旨、一声かけてくださいね。
その後ガン検診に必要な書類にご記入いただきます。
受付から用紙を受け取って、また個人情報に関わることも
ご記載いただきますので、その同意についても必ずチェックしてくださいね。
書き終わったら待合室でお待ちいただき、
呼ばれたらそちらの入り口から診察室へお入りください」
とまあ、これだけの事を早口で一度に言われるのである。
しかし私は何しろ緊張しているし、軽いパニックで頭もピヨっているので
正直言われた事をきちんと覚えた自信はなかった。
しかし、何も珍しい事をやれと言われているワケではないし
病院の検査自体は慣れているのだから、平気平気。。。
とまずは尿を取るべく専用の個室へ入った。
そこは普通のトイレなのだが、
通常と違うのは専用コップがセットされた専用ホルダーが壁についている事と
背後の壁に小さなガラスの引き戸がついている事だ。
その向こうには看護婦さんがいて、こちらが採ったコップを窓から差し入れると、
向こう側で受け取って検査に回すシステムになっている。
それはいいのだが、
この部屋の壁が薄いのかガラス戸のせいなのか
看護婦さんの気配が妙に間近なのである。
話し声も忙しく動き回っている物音も気配も
まるで仕切りの壁が無いかのように感じられる。
便座に腰を下ろし、何とかうまく採らねば。。。と意気込んだ私であったが、
「。。。」
ざわざわざわ、ガタン!
「○○さん、コレ先にお願い!」
バタバタバタ!
「。。。」
落ち着かなくて出ねえ~!
物音や声が近くでし過ぎて、どうもヘンな力が入ってしまい
うまく排泄出来ない。
気分だけは唐突に放尿プレイである。
それでも何とか気合を入れ、少々量は今ひとつではあったが採取に成功した。
焦ってコップをガラス戸に差し入れ、身支度をして個室を出る。
出た途端に受付から名を呼ばれ、ガン検診の用紙を書かされていると
片手に検尿コップを持った看護婦さんが、
バカでかい声で私のフルネームを叫びながら受付へ登場。
「コレ、あなたの尿ですか?
名前書いてませんけど!」
何と迂闊な事に、私は排泄がうまくいかない事に焦るあまり
コップに名前を書くのを忘れたのであった。
たくさんの人が詰め掛けている受付にて、
私はフルネームとともに
「尿に名前を書き忘れたうっかりさん」
と周囲の人々に覚えてもらえたワケである。
「す、すみません。。。そうです」
と穴があったら入りたい心持ちで私が答えると、
「ああ、そうですか、やっぱり!じゃあ名前書いときますからね!」
と看護婦は奥へ消えた。
書類に記載しなければいけない為、それが終わるまで私は
「名前を忘れたうっかりさん」
と認識した多くの人に囲まれながら羞恥プレイさながら
イヤな汗をかいたのだった。
まあそんなハプニングはあったが、
私が行った病院は「評判がいい病院」として地域を越えて有名であるらしい。
確かに設備も素晴らしいし、取られる金が高いだけあってきちんと丁寧な応対である。
中にはエステも併設されていて妊婦さんでなくても受けられるので
次回行く時には予約を入れてフェイシャルでも受けてこようか
。。。などとかいた恥も忘れて思う私であった。
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