先日21日(金)、有田のしん窯さんの有田焼伝統工芸師・橋口さんにご来店いただいた。そのときいただいたのが「ハマ」と呼ばれるもの。焼き物を焼くときの敷き台として使った陶板だ。
しん窯は登り窯。乾燥させた湯呑みや飯碗の生地をこのハマの上にのせて焼く。一個の湯呑みが焼きあがるごとに一個のハマが必ずできる。実際は彫刻面のうらの平らな部分を私用する。
しん窯当主 梶原茂弘氏 彫刻 谷口清高氏
ハマ・・・やきののの下に敷いて、いびつな形を決して作らない縁の下の力持ち。
「ハマちゃん」曰く。
吾輩はハマである。やきものは高温で焼くとおよそ2割縮む。吾輩もご主人を支えて一緒に2割縮む。 「良いやきものですね。」とほめられると吾輩も自分のことのようにうれしい。
吾れ唯、足るを知る。「欲張らずいまの自分を大切にしなさい」という教えである。
「吾唯足知」
「われ ただ たるを しる」と読み、一言でいうと「人は欲張らす、今の自分を大切にしなさい」という意味で「足ることを知る人は不平不満がなく、こころ豊な生活を送ることが出来る」ということのようです。
石庭で有名な京都・竜安寺にある蹲踞(つくばい)に刻まれている言葉として有名です。蹲踞とは茶室の庭先にある石の手水鉢(ちょうずばち)のことで、この手水鉢が低くすえてあって、茶客が手を洗うのに、つくばうから、蹲踞というようになったものだそうです。
竜安寺の蹲踞は「吾唯足知」の4つの漢字に含まれる「口」の部分を中央に集めて共有化し水を張るデザインになっています。
ご来店いただいた有田焼しん窯の橋口さん、小島さん。二人ともまさにこの言葉を地でいっている素晴らしい人たちでした。また逢えるのを楽しみにしています。